ナタリー PowerPush - Jeepta
“4者4様の面白み”を詰め込んだシングル「日進月歩」引っさげメジャー進出
「ここはこうでしょ」って言葉に出さなくても通じ合える
──昨年末からレコーディングを続けているとも伺いました。シングル以外にも何か録ってるんですか?
石井 今は録りためてる時期なんです。メンバーも変わって、持ってるものやできることが違う大悟くんが入ったので、この4人でどんどん新しい曲を作っていきたいっていう欲求に従ってます。
──なるほど。ところで小笠原さんはchoroさんのセッション仲間だったと伺ったんですが、いつ頃から仲良くされてたんですか?
choro 6年前ですかね。僕がJeeptaに入る前から知り合いで。で、サポート頼めないかなぁって連絡したら「空いてます」ってさくっと返事をくれて。
──小笠原さん、そのとき実際にはどんな心境でした?
小笠原大悟(Dr) 実際、正直なところ、空いてはいなかったんです。
一同 (笑)。
小笠原 空いてはなかったけれど、やっぱりありがたい話だと思ったんですよ。自分のドラムを使ってもらえるのを断る理由はないんで。僕はそんなに大人気のドラマーってわけでもないので(笑)、僕のドラムを使いたいって言ってくれるのは本当にうれしかったですね。自分の時間がなくなってもとりあえずやりたいなっていう気持ちでした。しかもchoroさんからの連絡だったし。
──小笠原さんとchoroさんは、セッション仲間としてお互いに尊敬し合ってる関係だったんですか?
小笠原 choroさんのほうが年上なので、ずっと先輩として見てて。
──先輩の命令は断れないな、と?
石井 あははは!(笑)
小笠原 そうそう、縦な感じの(笑)。
choro そんなことないですよ、優しくしてますよ(笑)。
石井 そんなプレッシャーかけるような人じゃないよね。
choro 僕がわりと真面目な人間なので、人にそう感じさせてしまうところはあるかもしれないですけど。本当はそんなことないです。優しいですよ、僕は(笑)。
──小笠原さんが加入して、Jeeptaの音が持つ“体力”が増したように感じるんです。グルーヴ感が増したというか。そのあたり小笠原さんご本人にお伺いしたいのですが、いかがでしょう? Jeeptaに入って音源制作期間が続きましたが、この4人で音を作ることについてどう思われます。
小笠原 やりやすいです。「意識して合わせにいこう」っていうのがあんまりないんですよ。大きく見て、気を遣わなきゃっていう部分がないのはすごくやりやすい。それは演奏力っていうよりは、盛り上がる場所とか「ここはこうでしょ」っていうのが言葉に出さなくても通じ合うからで。
──阿吽の関係?
小笠原 そう、わりとバンドってそういうところもあるかなって。それが、違和感なく最初からあったんですよ。100%ピタッと合致するんじゃないんだけど、何か提案されたら「そういう見方もあるね」って思えるし、それがありえないようなアイデアじゃない。それは確かにそうだねって言える。だからやりやすい。
いつまでも残る曲を書きたいし、それができるバンドになりたい
──今月からはレコ発ツアーも始まります。それも対バンツアーになるとのことですが、皆さんと同世代だったり、2000年代後半からグッと成長してきたロックバンドと一緒にライブをやることが多いですよね。そういうバンドの中で、Jeeptaはこれは負けないとか、僕たちはこういうところが強みだって言えるのは、どんなところだと思いますか?
サトウ うーん……。
──勝ち負けとは違うんですかね。
サトウ どうなんでしょうね。勝ち負けではないっていうのもたしかにあるんですけど、でもここで何も言えないのもちょっと悔しい(笑)。ただ、今まで言われてきた言葉から選ぶのであれば、4者4様の面白みかな。僕らは、4人全員の個性が際立っている。僕らのライブはよく「どこを観てればいいのかわからなくなる」って言われるんですけど、それが逆に面白いところなのかな。
──確かに。Jeeptaのライブは、メンバー4人がそれぞれ個性的なプレイをするから、何度も観ないとバンドの全容がわからないと感じます。そういう意味では、Jeeptaってこういうバンドだよねってひとことでは言えないと思うんですが、そこをあえて言うとしたら、choroさんはJeeptaってどんなバンドだと思いますか?
choro 困っちゃったなぁ……どんなバンドなんですかね(笑)。でも、そんな感じで捉えられたい。聞かれて答えられない、観ればわかるよっていう感覚だといいな。言葉にはできないけど、観たら「あぁこんな感じね」ってわかるバンド。言葉では表現できないバンドでありたいなと。
──ありがとうございます。では最後に、皆さんが次に目指したいところ、メジャーでやりたいことなど、Jeeptaの今後について教えてください。
石井 ブームを作りたいとは全然思ってなくて。とりあえず僕個人としては、いつまでも残る曲を書きたいと思うし、それができるバンドになりたい。それが音楽をやる上での目標ですね。音楽のシーンを語るときには何年代とかっていいますけど、僕らはたまたまこの時代に出てきたってだけなので。それよりは、これから10年、20年、100年っていう単位で人の心の中に残る、どんどん人が伝えていってくれる歌を、曲を書く。それができるバンドになりたいです。
Jeepta(じぷた)
2004年12月に千葉で結成。翌2005年2月に初ライブを開催する。2006年7月にchoro(G)が加入したのを機に、石井卓(Vo,G)、サトウヒロユキ(B)、青木奈菜子(Dr)を含めた4人編成となる。2007年4月に自主制作盤「リコール」を発売し、2カ月で500枚を完売させる。その後、全国各地でのライブツアーやイベント出演を経て、2008年1月にミニアルバム「シナリオ」をリリース。外資系CDショップで好セールスを記録し注目を浴びる。激走するエモーショナルなサウンドとハイトーンボーカルの応酬が、ライブハウスを中心に人気を集める。2009年6月に1stフルアルバム「傾向と対策」を発表し、バンドの持つ多面性を提示した。2009年11月に、小笠原大悟が新しくドラマーとして加入した。