日向坂46 潮紗理菜&上村ひなの|“変化の6thシングル”で表現する、かわいさだけじゃない私たちらしさ

日向坂46が10月27日にシングル「ってか」をリリースした。

5月に発売されたシングル「君しか勝たん」に続く、グループにとって6枚目のシングルとなる今作の表題曲は、「ってか」という印象的な口語のリフレインとともに「見た目ではなく内面を見てほしい」という思いを歌う、女性目線の楽曲。二期生の金村美玖が初センターを務め、力強さを感じるダンスでメンバーを牽引する。

リリースに際して、音楽ナタリーではメンバーの潮紗理菜と上村ひなのにインタビューを行った。彼女たち自身が「変化のシングル」だと語る「ってか」に抱く思いは? メンバー1人ひとりが個性的な輝きを放つ日向坂46の“らしさ”とは? グループの今について、じっくりと話を聞いた。

取材 / 臼杵成晃文 / 三橋あずみ撮影 / 笹原清明

もがきながらもちょっとずつ成長

──日向坂46の皆さんに音楽ナタリーのインタビューに登場いただくのは今回が初めてなので、新作の話をする前に「日向坂46の現状はどんな感じなんだろう?」ということを聞かせてください。ここまで活動を続けられてきた中で、今、グループがすごくいい状態にあるように思えるんですが、皆さんにもそういった実感はありますか?

潮紗理菜 そうですね。これまで本当にいろんな経験をさせていただいて……「日向坂で会いましょう」(テレビ東京で毎週日曜深夜に放送中のレギュラー番組)のMCのオードリーさんだったり、いろんな方との素敵な出会いを経て、みんな自分と向き合っていて。もがきながらもちょっとずつ成長して、それぞれがひと皮むけた、成長できたと言えるようなグループになれたのかなと思います。

──その「もがき」の部分は、欅坂46の派生グループ・けやき坂46としてスタートし、ずっと自分たちの形を模索してきた日向坂46の特徴なんじゃないかなと。潮さんの言葉に深くうなずいていた上村さんはいかがですか?

左から潮紗理菜、上村ひなの。

上村ひなの みんなこの何年かで、自分の好きなことをアピールしてきて……例えば丹生明里さんはゲーム好きなことをアピールしてきたことで、今、ゲームのお仕事をたくさんやられていたりとか。好きなことがお仕事につながっている現状はすごくありがたいなと思いますし、そうやって個人個人のお仕事も増えているのは、1人ひとりの発信の成果なんじゃないかなって思います。

──より個々の色が際立ってきたことによって、チームワークもさらに強くなっている。

 そうですね。

──今年のグループの動きを見てみると、春にドラマ「声春っ!」があって、5月に前作「君しか勝たん」をリリースされて。7月には櫻坂46との合同ライブイベント「W-KEYAKI FES. 2021」を成功させ(参照:櫻坂46×日向坂46、同じ欅から生まれた2組がそれぞれの進化を見せた「W-KEYAKI FES.」)、9月には全国ツアー「全国おひさま化計画 2021」がスタートしました。特に今実施中のツアーは新鮮な活動なのかなと思うのですが(取材は10月中旬に実施)。

 こういうご時世ということもあって、最近は配信という形で何度かライブをさせていただいていたんですが、数年ぶりにツアーを回ることができて、全国のおひさま(日向坂46ファンの呼称)に会えるのは本当にうれしいですし、会場によって雰囲気も全然違うので、すごく成長できているなと思います。

上村 私はツアーに参加するのが初めてなんです。同じセットリストを何回も繰り返すにつれて成長を感じられるのも楽しいですし、お客さんの盛り上がり方や盛り上がる場面も毎回さまざまに違う中で、1公演1公演、違う楽しさを見出すことができているんです。

──そうか、上村さんは同じセットリストを繰り返すというツアーならではの行動を今初めて体験しているんですね。

上村 そうなんです。

 でも、毎回まったく同じライブという感覚はなくて。皆さんにはわからない程度に立ち位置を調整したり、「ここの間隔を詰めようね」と相談し合ったりとか。すごく細かいところですけど、やるたびにバージョンアップ、パワーアップをして次につなげているんです。それはツアーの楽しさの1つだなと思います。

笑顔のエッセンス

──時系列が前後してしまうんですが、「W-KEYAKI FES. 2021」のMCで櫻坂46の菅井友香キャプテンが「同じ欅から生えてきた枝がきれいに違う色を付け始めた」というようなことをおっしゃっていたのが印象的で。その言葉に日向坂46独自の個性もしっかりと確立されたことを感じられたのですが、本人たちはどう感じているのでしょう。ひいては「日向坂46の個性ってなんだろう」ということを、お二人はどんなふうに考えていますか?

 まず、どんなに時間が経っても進む道が違っても、櫻坂46さんは偉大な先輩ということは変わらないですし、私たちはずっと背中を追いかけ続けている立場なのですが、音楽の雰囲気や世界観、曲の伝え方はそれぞれにまったく違うのかなと感じています。日向坂46は私たちの飾らない姿を見てもらい、元気を届けるという感じなんです。例えば「青春の馬」は私たちががむしゃらになっている姿で皆さんに元気を届けたいという思いでパフォーマンスをしている、とか。

上村 「日向坂46だけが持っている要素ってなんだろう?」と考えると……私たちの曲にもカッコいい歌はあるけれど、そういう曲の中にもちょっと見える“笑顔のエッセンス”というか。私たち自身に笑顔のイメージが強くあると思うんですが、そういう部分が曲にも出ているし、だからこそ明るい曲が多いんじゃないかなと思います。

──なるほど。そして、日向坂46はメンバーそれぞれの個性も豊かですが、お二人はグループの中で自分はどういう個性を持っていると思いますか?

 私は、個性がないなと思います。

上村 いやいやいや!

潮紗理菜

 個性豊かなメンバーの中で、飛び抜けてこれが!という部分がないので……だからこそ、視野は誰よりも広く持っていたいと思っています。年齢的にもですし、一期生としてもですし、できるだけいろんなところの“架け橋”になれたらなって。私、「メンバーに限りなく近いおひさまでいたい」という目標を掲げているんです。おひさまと日向坂46の架け橋になりたいし、メンバー同士の架け橋にもなれたらいいなと日々心がけて活動しているかもしれない。「自分にできることはなんだろう?」って一時期はすごく悩んで、自分を見失って苦しい時期もあったんですけど、みんなの笑顔を見るのが自分にとっての幸せで、心が楽になるなと気付けた瞬間があって。それからはできるだけメンバー1人ひとりのことを見て、みんなには見えないところでグループを支えられたらいいなという思いを持っています。

──そうなんですね。ただ、ご自身の個性に対して謙虚なところで、上村さんが「いやいやいや」と首を横に振っていましたが(笑)。

上村 紗理菜さんは日向坂46になくてはならない存在だと私は思っていて! 紗理菜さんの優しいところとか、困っている人に手を差し伸べるところって、日向坂46全体のグループカラーにもつながっていると思いますし。

 いやいや、過言だよ!(笑)

上村 「JOYFUL LOVE」みたいに心温まる曲が多いのも、紗理菜さんがいるから……。

 いやいやいや、それは絶対ウソだよ!(笑)

上村 でも、紗理菜さんの醸し出す温かい雰囲気がグループの温かいカラーにもつながっていることは確かに感じています。あと、バラエティ番組での豊かなインドネシアキャラだったりとか(潮は幼少期にインドネシアで暮らしていた)。

 インドネシア!(笑)

上村 内面の豊かなところが、ハッピーな日向坂46の要素につながっていると思います!

 あの、言わせてないですからね!? 恥ずかしくなっちゃう(笑)。

ひなのは宇宙一

──では、上村さんはご自身の個性についてどう思いますか?

上村 私はキャッチフレーズが「いつでもどこでも変化球、ひなのなの」というものなんですけど、自分でも変だって自負しているくらい、変な性格だとは思っていて。

 ふふ。ひなのは個性の塊よ。

上村 でも日向坂46にいると「私が一番個性がないんじゃないか?」と思えるくらい、全員が個性的なんです。

 確かに、みんな変。いい意味で変だよね。

上村ひなの

上村 本当に個性的な人ばかりで。そんなグループの中で自分の得意なことをなかなか見つけられず、自分の存在意義だとかやるべきこととか、まだまだ考えている段階ではあるんですけど……でも、目の前のことに全力で、笑顔で取り組んでいく先輩方の背中を見ながら自分らしさを見つけていきたいなという感じです!

──1つ付け足すなら、上村さん、眼力がすごいですよね。先ほどの写真撮影で潮さんが上村さんに見つめられて照れていましたけど、この取材中にもそれを感じてちょっと目線をそらしてしまうくらい。

 目で伝える力がすごいですよね。

──不思議な説得力のある眼力と言いますか。

上村 ええ、そうなんですかね?

 そうだよ。だって最年少なのにこの落ち着きですからね。ひなのと同じ年齢だったときの自分って、公園を走り回っていたくらいしか記憶がないんですけど(笑)、ひなのはこんなにしっかり、謙虚で真面目で、努力家なんですよね。鏡に向かって1人で自主練をしている姿もたくさん見ますし、いい意味で年齢に見合わない落ち着きを感じます。年齢は離れていますけど、尊敬することばかりなので……あとは、ワードセンスも日向坂イチだと思いますし。

上村 そんなそんな。

 だって、世界で一番面白いあのオードリーさんが、ひなのの発言でずっと笑っているんですよ? あの世界で一番面白いオードリーさんが「面白い」と言うんだから、ひなのは宇宙一だなって思います! しかも本人は自然体なので、誰もひなのには敵わないです。

──実際面白いですし、日向坂46は“面白集団”だと思います。最近お二人が出演された「あちこちオードリー」でも言われていましたけど、面白集団と見られることへのプレッシャーも、きっとありますよね。

 そうですね。できれば目を背けたいくらいにはプレッシャーです(笑)。

上村 ホントです(笑)。かなりのプレッシャーです。

──今年の3月にナタリーの企画で、「おもカワ」というアイドルの大喜利大会を開催したんです(参照:笑いも悔し涙も!アイドルが大喜利で競い合った「おもカワ」で名回答&名シーン続出)。その大会には8組のグループに参加してもらったんですが、組み合わせを発表するたびに「なんで日向坂46を出さないんだ!」「大喜利と言えば日向坂46でしょ」という声が、本当にたくさん届きまして。

 そうだったんですね! メンバーによっては、例えば富田鈴花とか……いや、富田もああ見えて裏ではすごく考えていて、真面目で繊細な子なんですけど、富田とか佐々木久美とか、大喜利に対して「いつでもどこでも大丈夫よ!」みたいなタイプの子もいるんですけど、私たちはね。急に大喜利となると「え、どうしよう!」となっちゃうので。日向坂46に面白くて大喜利が得意なメンバーがたくさんいるのはもちろん事実なんですが、グループ全体としてそういった印象を持たれちゃうと、悩むメンバーも多いです、実は。でもなかなか言えないよね(笑)。

上村 そうですね(笑)。私含め、消極的なタイプのメンバーも多いので。

 「日向坂はバラエティに強い」「日向坂は大喜利が得意」ってグループ単位でくくられてしまうと、ちょっとビクビクっとします(笑)。

──そうなんですね。ただ、大会は継続する予定ですし、日向坂46さんにはいずれ真打として絶対にオファーしたいと思っているので、その際はぜひお願いします(笑)。

 まずは佐々木久美と富田鈴花あてにお願いします!(笑)


2021年10月27日更新