B'z×WOWOW放送記念レビュー第3弾|変わり続ける音楽業界の中で貫く“攻めの姿勢”

B'zの結成35周年を記念した特集が5月よりWOWOWで複数回にわたって放送されている。

6月にスタートした5年ぶりの大型ベスト選曲ツアー「B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-」を盛り上げるべく放送中の本プログラム。これまでもB'zのライブ映像が厳選して届けられたが、第3弾「B'z Live History Vol.3」では、2006年から2013年までの映像がオンエアされる。音楽ナタリーでは、このプログラムの放送を記念したB'zの特集を展開中。本記事では、“円熟期”とも言える時期のB'zの歩みを紐解いていく。

また前回に続き、B'zを愛する著名人によるコメントも掲載。今回はKid'z(MY FIRST STORY)と富田鈴花(日向坂46)が選ぶ、2006年から2013年までで一番好きな楽曲を紹介する。

文 / 西廣智一

20周年に向けて切られた新たなスタート

iTunes Storeをはじめとする音楽配信サービスの日本上陸、そして着うたフルサービスが携帯メディアで一般化するなど、それまでパッケージ主流だった日本での音楽の楽しみ方がデジタルへと本格的に移行した2005年以降。ライブシーンにおいても2000年前後から野外音楽フェスが全国各地で続々と立ち上げられ、この時期はリスナー側はもちろんのこと、アーティスト側にとっても大きなターニングポイントとなったことは間違いない事実だ。

5月20日放送の「B'z Live History Vol.1」では、B'zがブレイクを果たしてから幾度にわたる変革のタイミングを迎える1990年代初頭から半ばまで、6月10日放送の「B'z Live History Vol.2」では、B'zが「B'zらしさ」を確実なものへと昇華させていった1997年から2005年までを、それぞれ貴重なライブ映像を通じて振り返ってきたが、7月15日にオンエアされる「B'z Live History Vol.3」では、B'zという個性を松本孝弘(G)と稲葉浩志(Vo)がより深いところまで掘り下げて、誰にも真似できない域にまで到達させた円熟期と言える2006年から2013年までの軌跡を、ライブでの活躍に沿って紹介していく。

5カ月におよぶロングツアー「B'z LIVE-GYM 2005 -CIRCLE OF ROCK-」を2005年9月半ばに終えたB'zは、その年の11月末にメガヒットベストアルバムの続編「B'z The Best "Pleasure II"」をリリース。この作品を起点に、来たる2008年のデビュー20周年に向けて新たなスタートを切ることになる。

2006年は1月リリースの「衝動」を皮切りに、4月に「ゆるぎないものひとつ」、6月に「SPLASH!」とシングルを連発。特に「SPLASH!」はB'zとして初のDVD付き仕様も用意され、前年の「B'z LIVE-GYM 2005 -CIRCLE OF ROCK-」からの映像を楽しむことができた。そして、これらのシングルに続き、6月28日に発表されたのが通算15枚目のアルバム「MONSTER」だ。まさに“モンスター”級の存在になったB'zの飽くなき探究心が凝縮された本作は、バンドサウンド中心の王道ハードロックのみならず、デジタル要素を取り入れたダンサブルな楽曲、ポップ度の高いナンバーや美しいバラード、さらには軽やかなレゲエチューンやルーズなブルースロックなど、そのサウンドの幅を広げつつよりディープな方向へと進化した充実の1枚に仕上がっている。

この力作を携え、B'zはアルバム発売翌日の6月29日に全国ツアーの前哨戦となる「B'z SHOWCASE 2006 -YOKOSUKA MONSTER-」を実施し、7月2日からは全17公演におよぶ全国ホール / ドームツアー「B'z LIVE-GYM 2006 -MONSTER'S GARAGE-」をスタートさせた。バンドにとって2度目となる5大ドーム公演を含む本ツアー、そのドーム公演のステージデザインを担当したのはThe Rolling StonesやMetallica、Pink Floydなどのビッグアーティストのステージを手がけてきた世界的巨匠のマーク・フィッシャー。シンプルながらも先鋭的なデザインのステージは普遍性のある仕上がりで、そこにB'zならではのエンタメ色の強い演出が加わることで、最後まで目が離せない内容となっている。今回オンエアされる「MVP」では、大勢のチアリーダーがステージ上に並び、観客と一体感の強いダンスを見せてくれるので、こちらにも注目だ。

「B'z Live History Vol.3」より。

「B'z Live History Vol.3」より。

次の10年を見据えた“アクション”

5大ドームの再制覇や、海外に向けたライブ配信実施(2006年9月開催の招待制ライブ「B'z NETWORK LIVE in Japan」)と充実した2006年を経て、B'zの攻めの姿勢は2007年も変わらなかった。作品リリースにおいては、同年5月に映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」のために書き下ろされたドラマチックなバラード「永遠の翼」、10月にライブ映えのする豪快なハードロックチューン「SUPER LOVE SONG」が立て続けに発表され、12月にはニューアルバム「ACTION」が前作「MONSTER」から1年半という短いスパンで届けられた。全17曲、約70分というボリューミーな本作は、豪快なハードロックや美しいメロディを伴う感動的なバラードといった従来の定番スタイルのみならず、ジャズやラテン、オールディーズなど新鮮味の強い要素もちりばめられ、20周年という節目でありながら、すでに次の10年を見据えた“アクション”を随所から見つけることができる。

そんな2007年は、全国のZepp会場を中心とした「B'z SHOWCASE 2007 -19-」や、ホール会場中心の「B'z SHOWCASE 2007 -B'z In Your Town-」といった、初の「SHOWCASE」形態のツアーを展開。さらに、8月には日本を代表する大型ロックフェスの1つ「SUMMER SONIC」に初出演。B'zがこのようなロックフェスに出演するのはこれが初めてのことだったため、これを機に生で“ライブバンド・B'z”を目撃したというロックファンも数多くいたことだろう。

デビュー20周年を迎える2008年に入ると、前年末に発表したアルバム「ACTION」を携えた大規模ツアー「B'z LIVE-GYM 2008 -ACTION-」を開始。8月17日まで、全53公演におよんだこのロングランのホール / アリーナツアーは、多彩で充実した「ACTION」の世界観を見事に伝えつつも、アニバーサリーイヤーらしくファンクラブを通じて集った「ライブで聴きたい楽曲」を交えた、“これまで”と“これから”をつなぐ内容で展開された。また、そのような選曲面での特色に加え、本ツアーはストイックな演奏のみならず、「純情ACTION」のオープニングで見せる、スタントマンがステージセットから宙吊りになるスリリングなパフォーマンスや、大型LEDスクリーンを存分に活用した演出など、エンタテイナーとしての側面も強く打ち出しているので、多様性に満ちた彼らのステージを、オンエアを通じて存分に楽しんでほしい。

2008年はこの大掛かりなツアーを終えた直後の9月6日から、5年ぶりとなる“Pleasure”ツアー「B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-」が全国3カ所のスタジアムにて実施された。セットリストは直前の「B'z LIVE-GYM 2008 -ACTION-」と異なるもので、これぞグレイテストヒッツと呼ぶに相応しい内容。デビュー記念日の9月21日に行われたツアーファイナルの日産スタジアム公演は、台風の影響で豪雨に見舞われるものの、そんな困難をものともしない圧巻のパフォーマンスが次々展開されていく。今回のプログラムでも、名曲「BAD COMMUNICATION」や、デビュー当時のシチュエーションを再現し、松本と稲葉のみで披露された「だからその手を離して」などのオンエアを予定しているので、新たな伝説となった一夜をぜひ追体験していただきたい。

狂騒的な20周年イヤーを経て、次の10年に向けて時を刻み始めた2009年のB'z。リズム隊にチャド・スミス(Dr / Red Hot Chili Peppers)&ホアン・アルデレッテ(B / Racer X、The Mars Voltaなど)が参加した「イチブトゼンブ / DIVE」、レゲエアレンジも取り入れたグルーヴィな「MY LONELY TOWN」といったシングルを経て、約2年ぶりのオリジナルアルバム「MAGIC」を同年11月に発表。B'zだからこそ成し得た“魔法”のような瞬間が音楽を通して表現された本作は、新たな一歩にぴったりな内容と言えるものだ。

2009年は「B'z SHOWCASE 2009 -B'z In Your Town-」や「SUMMER SONIC 09」とライブ活動は限られたものだったが、2010年に入ると新作「MAGIC」を携えた全19公演におよぶホール / ドームツアー「B'z LIVE-GYM 2010 -Ain't No Magic-」を開催。ドーム公演では可動式フライングステージが採用され、「Mayday!」や「ultra soul」ではフルセットのバンドを乗せたまま、アリーナ席最後方まで約90mも移動する前代未聞の演出で、観客を圧倒した。

「B'z Live History Vol.3」より。

「B'z Live History Vol.3」より。

凝縮された“B'z流エンタテインメント”

3月初旬にツアーを終えると、松本と稲葉はソロ活動を再開させ、充実した音楽活動を送る。そして、2011年……日本は東日本大震災という、誰もが想像しなかった未曾有の災害に見舞われる。音楽をはじめとするエンタテインメントが、果たして心の底から求められているのか。さまざまなアーティストたちが自身の活動と真正面から向き合う中、B'zは「さよなら傷だらけの日々よ」「Don't Wanna Lie」といったシングルに続いて、通算18枚目のオリジナルアルバム「C'mon」を完成させる。そのストレートなタイトルからもわかるように、暗くなりがちだった当時の情勢、日常をB'zらしく、力強くたくましく突き抜けていこうとする姿勢が伝わる内容に救われたというリスナーも少なくなかったはずだ。

この年のライブ活動は7月に実施された約8年ぶりの海外公演「B'z LIVE-GYM 2011 -long time no see-」からスタートする。そして、9月からはアルバム「C'mon」を携えた全国ツアー「B'z LIVE-GYM 2011 -C'mon-」も実施。3Dプロジェクションマッピングを採用した演出から「さよなら傷だらけの日々よ」へと続くオープニングの流れは、B'z流エンタテインメントの素晴らしさが凝縮されたものだと断言したい。なお、本ツアーの宮城公演は東日本大震災の被災地復興支援として行われ、収益金全額が寄付された。

復興に向けて、日本が少しずつ日常を取り戻し始めた2012年。B'zは4月にシングル「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」をリリースすると、海外に照準を合わせた活動へと移行する。7月には全曲英語詞の配信限定アルバム「B'z」を、日本を含む世界63地域に向けてリリース。そして、9、10月には全米ツアー「B'z LIVE-GYM 2012 -Into Free-」を開催し、帰国後には凱旋アリーナツアー「B'z LIVE-GYM 2012 -Into Free- EXTRA」も行われた。

デビュー25周年を迎える2013年は、シングルやオリジナルアルバムの発表こそなかったものの、それまでに発表した50枚のシングル曲に新曲を加えたベストアルバム「B'z The Best XXV 1988-1998」「B'z The Best XXV 1999-2012」をリリース。そして、6月から9月にかけて全30公演にわたるベスト選曲の大型ツアー「B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-」が開催される。ツアーの合間には、Aerosmithとのツーマンライブ「AEROSONIC」も行われ、夏を通して日本をB'z色に染め上げた。なお、「B'z LIVE-GYM Pleasure 2013 -ENDLESS SUMMER-」の千秋楽となる日産スタジアム公演は、同会場1公演当たり史上最多となる7万5000人もの観客動員数を記録。これまでB'zの野外ライブは雨に見舞われることが多かったが、このツアーではデビュー記念日当日を含む2日間とも晴天に恵まれ、見事にジンクスを打ち破ってみせた。非常に晴れやかな表情を浮かべながら、「イチブトゼンブ」などスケール感の大きな楽曲群を演奏する松本や稲葉の様子も、このライブ映像の見どころと言えるだろう。

音楽シーン最大の転換期のみならず、歴史に残る自然災害を受けとめながら前進してきたB'zは20周年、そして25周年という節目を重ねていく。飽くなき探究心とともに自身の音楽スタイルをどんどん進化 / 深化させ、エンタテイナーとしても向上心を忘れないその姿勢を、「B'z Live History Vol.3」を通してしっかり味わっていただきたい。

「B'z Live History Vol.3」より。

「B'z Live History Vol.3」より。

Kid'z(MY FIRST STORY)と富田鈴花(日向坂46)が選ぶ、
2006年から2013年までで一番好きなB'zの楽曲

Kid'z(MY FIRST STORY)

MY FIRST STORY。右から2番目がKid'z。

MY FIRST STORY。右から2番目がKid'z。

「いつかまたここで」

この曲のメロディーは本当に頭から離れません。
曲全体の流れも無駄なセクションは全く無く、
ROCKなバックビートやギターのバッキングに対してこのピアノとストリングス。
これは反則です。笑
僕自身が高校生の時に初めて聴いて
失敗して落ち込んだ時や学校生活でしんどかった時
そして18歳で上京して周りに誰もいない状況が続き寂しい思いをした時に
1番胸に沁みた曲です。
この曲を聴くと今でも当時の記憶が鮮明に蘇ってきて、音楽って素晴らしいなと思わされます。

同じと言っていいのかわかりませんが、アーティストとして僕自身もやらせて頂いていて音楽に対する姿勢を拝見させて頂いて本当にいつも刺激になっています。
今の僕自身があるのがB'zのお二人が居たからと言っても過言ではないくらいかなり大きな影響を与えてくれました。

僕自身もいつかお二人の様なアーティストになれる様に頑張ります。
本当にありがとうございます。
これからも応援しています!!

プロフィール

Kid'z(キッド)

1992年生まれ、愛知県出身のドラマー。2016年3月よりMY FIRST STORYのメンバーとして活動している。MY FIRST STORYは現在、12カ月連続楽曲リリースを行なっており、10月まで日本全国47都道府県ツアー「MY FIRST STORY -THE TWO-」を実施中。11月にはONE OK ROCKとの対バン企画「VS」を東京ドームにて開催する。

富田鈴花(日向坂46)

富田鈴花(日向坂46)

「MY LONELY TOWN」

アルバム「MAGIC」にも収録されている「MY LONELY TOWN」が特に好きな1曲です!
迫力のあるサウンドの中で、少し暗めの雰囲気で孤独や人との繋がりに対してのもどかしい気持ちに寄り添ってくれるような歌詞がとてもB'zさんならではの曲だなと思います。

母とドライブするのが趣味で、必ずと言っていいほどB'zさんの曲を流しながら3時間くらい運転します! ドライブにピッタリな曲がありすぎて、そして好きな曲がありすぎて好きな曲を聞かれると1つに絞るのが苦しいくらい大好きです!!

私は両親の影響でB'zさんの楽曲に小さい頃から馴染みがあったのですが、その中でも「恋心 (KOI-GOKORO)」ではファンの皆さんと踊るパートがあると知らなかったので、親から聞いてライブで盛り上がっている映像を見て「うわ~楽しそう!!!」と思った記憶があります。昨年初めてライブを拝見したのですが、ぜひいつか「恋心 (KOI-GOKORO)」を踊りたいです。

また先日、日向坂46の活動内で他のアーティストさんの曲を歌える機会があったので
ファンの皆様に「いつかのメリークリスマス」を歌ってお届けしました!
日向坂46のファンの方にもB'zさんの曲が大好き、というきっかけで出会えた方がいたりするので音楽が繋ぐ力をいつも感じています。
B'zさんの曲にはいつも元気と活力をいただいているので、私も音楽を通して心が躍るようなものをみなさんに届けたいです。いつも素敵な音楽を届けて下さり本当にありがとうございます!! これからもずっとずっと応援しています!

この度は素敵な特集の機会にコメントを掲載していただけることとても嬉しく思います…! 小さい頃から大好きなB'zさんへの好きな気持ちがこの文章で伝わっていたら幸いです。よろしくお願いいたします!

プロフィール

富田鈴花(トミタスズカ)

2001年生まれ、神奈川県出身のアイドル。2017年8月に、日向坂46の前身グループ・けやき坂46のオーディションに合格し、2期生として加入した。2022年にTBS系の情報バラエティ「ラヴィット!」にシーズンレギュラーとして出演し、現在はABEMA「サーキットで会いましょう」のMCを務めるなど、さまざまな番組で活躍している。


プロフィール

B'z(ビーズ)

松本孝弘(G)と稲葉浩志(Vo)により1988年に結成され、シングル「だからその手を離して」とアルバム「B'z」の同時発売でデビューを果たす。1989年に「BAD COMMUNICATION」のヒットで注目され、翌1990年に発表した「太陽のKomachi Angel」が初のチャート1位を記録。また1991年に発表したシングル「LADY NAVIGATION」が100万枚を超えるセールスを記録し大ブレイク。その後現在まですべてのシングルが1位を獲得し、歴代シングル首位獲得数、アーティストトータルセールス数などで歴代1位の記録を更新している。2007年にはその功績が認められ、アメリカのHollywood's RockWalkの殿堂入りという快挙を成し遂げる。またエンタテインメントショーさながらの派手なパフォーマンスに定評があり、ライブはホール、アリーナ、ドーム、スタジアムなどあらゆる会場で開催されている。2023年3月にデビュー35周年記念イベント「B'z presents -Treasure Land 2023-」を開催。6月より5年ぶりの大型ツアー「B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-」がスタートし、7月12日には通算54枚目となるニューシングル「STARS」を発売した。