音楽ナタリー Power Push - HARUHI

映画「せか猫」主題歌でデビューする17歳

「せか猫」主題歌は初めて日本語で歌った曲

──今回、映画「世界から猫が消えたなら」の主題歌「ひずみ」でデビューされます。今の気持ちはいかがですか?

ずっと英語で曲を書いてきたし、私はアメリカで生まれているので、音楽活動をするならアメリカだろうなと思っていたんですよ。でも今回こんな素晴らしい曲と、素晴らしい映画との出会いがあって、日本でデビューすることができたのは本当にうれしいですね。そもそも映画の主題歌のお話をいただいたのは2年くらい前なんです。きっかけは(「世界から猫が消えたなら」原作者の)川村元気さんが知り合いを通じて私の作った曲を聴いて、気に入ってくださったところからで。ただ、けっこう前のお話だったから、当時は本当に決まるとは思ってなかったんですけど(笑)。

──「ひずみ」は小林武史さんが作詞作曲を手がけた楽曲ですね。

この曲は私が初めて日本語で歌った曲なんですよ。最初にもらったときは歌詞を理解できていないところもあったと思うんですけど、映画の世界を通して改めて歌詞を読み返してみると、その素晴らしさがわかってきたというか。その中でも「ありがとう」という言葉は自分自身もずっと大事にしていた言葉なので。聴く人ごとにいろんな世界が思い浮かぶ曲だと思うし、どこかしらグッとくるポイントがあるんじゃないかなって思います。

──日本語でのレコーディングはいかがでしたか?

この曲を最初に歌ったのは15歳のときで、その後も何度かレコーディングしてるんですよ。なので、(音源には)いろんな時期の声が混ざって使われているんです。2年前の歌は今聴くとちょっとなまってるというか、日本語の発音が変な部分があるなって自分では思うんですよね。

──そうですか? 全然違和感は感じなかったですけど。

自分で聴くとね、「あーここが!」っていうところがあるんですけど(笑)。

ライブは本当に楽しい

──2曲目の「あたたかい光」では小林さんと共に日本語での作詞にも挑戦されていますよね。

そう。日本語で作詞をしたのはこれが初めて。伝えたいメッセージとサビの部分は小林さんと一緒に決めていきました。で、そのあとにいろいろ書いてくださったものをいただいたんですけど、私はそれがあまり好きじゃなくて(笑)。

──あははは(笑)。その思いは伝えたんですか?

はい。メロディや歌詞を部分的に変えてもらって、「チューリップ」のところは私が書いて、お互いちょっとずつインプットしていってできた感じですね。

──今回カップリングには先ほどお話に出たHARUHIさん作詞作曲の英語詞曲も2曲収録されています。日本語と英語を自在に操れるところは大きな武器ですよね。

バイリンガルだからこそ気が付くことがあるみたいで、そこは面白いなって思いますね。英語はサラッと言葉をつなげて歌えるけど、日本語だと言葉の区切りを考えて歌わないと意味が伝わりにくいとか、英語だと肺やお腹から出る声、日本語だと喉から出てる声っていうイメージが強いとか、そういう発声の違いもあります。

──今後も両方の言語を使い分けて曲作りをしていく感じですか?

そうですね。今回の「ひずみ」や「あたたかい光」は全部日本語だったけど、英語と日本語がごちゃ混ぜな曲があっても面白いと思います。そういう曲のほうが私らしく歌える気もするし。いろんな曲を書いていきたいです。

──ライブ活動もここから精力的に行っていく感じですか?

今はほぼ東京でしかライブをやってないから、ここからはいろんな場所で歌いたいなって思います。ライブはとにかく楽しいですからね。今はサポートしてくれるバンドと一緒にライブをしているんですけど、メンバーと一緒に音を出すのが本当に楽しすぎて(笑)。ステージに立つと自分のほんとの性格が出ちゃいますね。

──ステージに立ったことが歌手への目覚めになったわけですからね。やっぱりそこは自分を解放できる大切な場所なんでしょうね。

そうそう。まさにそうですね、うん。

──アーティストとしての目標はありますか?

ゴールとしてはアメリカとか世界中で歌いたいっていう気持ちはあるけど、いろいろ考えたり、大げさに期待したりすることはないですね。とにかく今やりたいことを、毎日楽しんでがんばっていくだけというか。日本でデビューできることに感謝しながらも私は私の好きなことをやっていこうって。そういうマイペースなところはほんとに外国人的な考え方なんだろうなと思います(笑)。

1stシングル「ひずみ」 / 2016年5月11日発売 / Sony Music Associated Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / AICL-3104~5
通常盤 [CD] /1200円 / AICL-3106
CD収録曲
  1. ひずみ
  2. あたたかい光
  3. Empty Motion
  4. The Lion is Calling Me
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「ひずみ」ミュージックビデオ
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HARUHI(ハルヒ)

アメリカ・ロサンゼルス生まれ、17歳の女性シンガーソングライター。13歳から楽曲制作を開始し、歌唱表現力や楽曲のクオリティに音楽業界からの注目が集まる。川村元気のベストセラー小説が原作で、佐藤健と宮崎あおいが主演を務める映画「世界から猫が消えたなら」の主題歌を表題曲とした1stシングル「ひずみ」で2016年5月にメジャーデビュー。今作の表題曲は小林武史のプロデュース曲で、カップリング曲「Empty Motion」「The Lion is Calling Me」ではHARUHI本人が作詞作曲を手がけ、「あたたかい光」は小林武史と共同制作を行った。6月11日に東京都内にてSony Music Shopでの「ひずみ」先着購入者を対象としたプレミアムライブを行う。