ナタリー PowerPush - ゴスペラーズ

最新作「STEP FOR FIVE」メンバーのフィーチャー曲を徹底解説

ゴスペラーズが約1年5カ月ぶりにリリースするニューアルバム「STEP FOR FIVE」。シングル曲「STEP!」「It's Alright ~君といるだけで~」「BRIDGE」に加え、アッパーなダンスチューンから、アカペラ、バラードなどさまざまな表情を見せる楽曲たちが並ぶ中、今回は各メンバーをフィーチャーしたナンバーが収録されているのが大きなトピックとなっている。それぞれが持つ嗜好と個性を弾けさせたその試みは、デビュー18年目のグループにまた新たな風を送り込むことに成功している。

今回のインタビューでは、熱いこだわりをもって作り上げられたソロをフィーチャーした楽曲の話題を中心に、新作の魅力に迫ってみた。

取材・文 / もりひでゆき

 
mixiチェック

自分の特徴みたいなものが改めて見えた

──完成したアルバムの手応えはいかがですか?

村上てつや 前作の「ハモリズム」とうまく対比が取れたなと思いますね。まあ別に前作から遠くに行きゃいいって話じゃないんですが、活動していく中で少しでも自分たちが新鮮な感じでやれることは大事ですから。変な裏切りなんかをあまりするタイプではないグループだけど、そういう中でうまくピョコンとね、遠くに飛べた気がしてます。

──前作はグループとしての“ハモり”を突き詰めた作品でしたが、今回はソロをフィーチャーした楽曲が収録されている点で斬新な印象がありますよね。

村上 メンバーそれぞれをフィーチャーする楽曲を作ってもいいかもねっていうアイデアは「ハモリズム」の制作中に出てはいたんですよ。それが今回のタイミングでできたのは、チームワークに終始した作品の後だからみんなの気持ちがそこに飛びやすかったっていうのがあるでしょうね。他のメンバーの作品に対してはいい意味で無責任にというか(笑)、ある程度距離を置いて接することができたので、実際の作業に対してフレッシュさを保てたところもすごくあったし。非常に風通し良くできたと思いますよ。

──ソロをフィーチャーした曲にはそれぞれ5人のカラーが明確に現れていて、すごく面白かったです。

酒井雄二 ああ、それは良かったです。

村上 意外なものってありました?

──いや、全部が納得できる感じでしたね。

村上 そうなんだよね。それぞれのメンバーがチョイスした楽曲は、今まで応援してきてくれた人に納得して聴いてもらえるものになった気はしていて。全く新しいものを持ってくるんじゃなくて、今まであったものからもう少し踏み込んだ感じというかね、各自がそういう楽曲に仕上げられたかなと。

安岡優 そうなった理由としては、各自がそれぞれ10曲くらいずつ出してきた候補曲に対して他のメンバーやスタッフにいいと思うものを投票してもらったことが大きいと思うんですよ。この人にはこういう曲を歌ってほしいんだよね、みたいな意見を訊くことができたから自分の特徴みたいなものが改めて見えたし、だからこそ独りよがりな自分らしさにならなかったんだろうなと。もちろん意見を聞きつつも最終的に選んだのは本人なんですけど、すごく面白い経験になりましたね。

村上 で、後から調べてわかったんだけど、それぞれが選んだ曲は図らずも投票で1位か2位になった曲なんだよね。

──なるほど。自分がやりたいと思うものと、他の人がやってほしいと思うものにズレがなかったっていうことなんですね。

村上 そうそう。俺の楽曲だけは書き下ろしになったからそれには当てはまらないんだけど、他の4人の曲はそういうことなんだよね。

北山陽一 で、それが結果としてアルバムとしてのトータリティに直結してると思うんですよ。アルバムの全体像が見えていたわけではないけど、この曲だったら趣味全開で突き詰めていったとしてもゴスペラーズとしての居どころ、落としどころがあるだろうなっていう部分にみんなの意識が働いていたと思うから。曲を作る最初の段階でちゃんとゴスペラーズとしてのフィルターがかかっているっていう。

──ソロをフィーチャーしているとは言え、5人の声が入るという意味では完璧なソロ曲ではなく、あくまでもゴスペラーズの曲でないとダメなわけですもんね。で、そこさえしっかり認識していれば、思いっきり個人の趣味で突っ走っても大丈夫だと。

黒沢薫 そうそう。だって他のメンバーやスタッフからお墨付きもらってるわけだから。

安岡 自分自身も思い切りやれるし、思い切って他のメンバーに協力も頼めるしっていうね。そういう意味では、ソロコーナーではあるけど、ソロであるのはプロデュースの部分だけなんですよ。結局、歌うのはゴスペラーズとしてだから。

──曲作りの段階でいつもとは違う部分もありましたか?

黒沢 まずキーを気にしなくていいのがありますよね。普段は、基本的に全員の声が出るキーで作らないといけないわけですよ。そうじゃないと歌えないから(笑)。でも今回は自分の得意な、一番おいしいキーで作れたっていうのはあります。単純に「ここ高い声出したらカッコいいじゃん」みたいな感じでね。結果的に自分で自分の首を絞めることにはなったんですけど(笑)。

北山 いつもに比べれば、「ゴスペラーズってなんだろう」ってあまり考えることなく、ある程度自由にやれるところが違いますよね、やっぱり。

ニューアルバム「STEP FOR FIVE」 / 2012年11月7日発売 / Ki/oon Music
ニューアルバム「STEP FOR FIVE(初回限定盤)」[CD+DVD] / 4000円 / Ki/oon Music / KSCL-2143~2144
ニューアルバム「STEP FOR FIVE(通常盤)」[CD] / 3100円 / Ki/oon Music / KSCL-2145
CD収録曲
  1. STEP!
  2. It's Alright ~君といるだけで~
  3. 2080
  4. CLASH
  5. 真夏の夜の夢
  6. Love me! Love me!
  7. astro note
  8. Your Hero
  9. Soul Song Juke
  10. ギリギリSHOUT!!
  11. BRIDGE
初回限定版DVD収録内容
  • マイケル鶴岡先生の「STEP!」振付講座
  • マイケル鶴岡先生の「ギリギリSHOUT!!」振付講座
ゴスペラーズごすぺらーず

北山陽一、黒沢薫、酒井雄二、村上てつや、安岡優の5人からなるボーカルグループ。1991年、早稲田大学のアカペラサークル「Street Corner Symphony」内で結成され、1994年にシングル「Promise」でメジャーデビュー。シングル「永遠に」「ひとり」が立て続けに大ヒットを記録し、トップアーティストの仲間入りを果たす。毎年精力的に全国ツアーを行う一方、他アーティストへの楽曲提供・プロデュースやソロ活動なども活発に行っている。2012年11月7日、約1年5カ月ぶりとなる最新フルアルバム「STEP FOR FIVE」をリリース。11月16日からは全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2012~2013“FOR FIVE”」を開催する。