ナタリー PowerPush - FLOPPY
1年半ぶりの新作完成 写楽&戸田の“放課後”トーク
中高生のリアルな日常を
──戸田くんは12月のライブはどういう心境で迎えたんですか?
戸田 僕は常にライブの1週間前からライブサイクルの準備をするんです。チェック項目みたいな自前のテキストがありまして、起きる時間から気の持ち様まで調整していきます。なので、いつも通りに調整していけば問題ないと思っていました。
──マメなんですね(笑)。
戸田 それをやっておかないと、すごく不安になるんです。自分の生活や記憶をあてにしていないので。
──しかも機材チェックだけじゃなくて。
戸田 生活態度まで(笑)。何時に寝て、何時に起きる、何日に爪を切るとか。会場の入り時間が決まった時点で、生活サイクルを少しずつそこに向けていくんです。1週間くらい前から戻さないと時差ボケが起こっちゃうので、体調管理も含めてですね。
──他に特記項目は?
戸田 油物やカフェインの抑制が始まります。ライブでの不安を極力取り除くためには、実際、身体に良いか悪いかよりも、日々不安を排除してきたという事実が必要なんです。
──写楽くんはそういう体調管理は?
写楽 全然しないですね(笑)。
戸田 写楽さんは前日でもバーボンですよね(笑)。
──なるほど。じゃあ、FLOPPYという名前でやる限りはライブも作品も劇的に変わることはないと。
写楽 そんなに変わらないんじゃないかなあ、とは思います。
──今作が旅の途中報告だとするなら、今後は住める星を見つけて、そこでの生活が描かれていくという感じですか?
写楽 多分その続きを。アルバムのトータルイメージでなくても、アルバムの1曲がその続きだったりっていうものはあると思います。
戸田 さらに次の作品では中高生のリアルな日常を(笑)。
写楽 まあ、僕にしてみたら中高生の日常はある意味ファンタジーですからね。もしかしたら、取り入れることはできるかもしれない(笑)。
ケーブルで床暖いらず
──ちょっと気になったんですけど、昨年の震災のときって何やってました?
写楽 オイラは家でゴロゴロしてて、ガシャーンってなって。機材類は大丈夫でしたね。
戸田 僕は仕事部屋にいたのですが、四方に機材が置いてありまして。目の前からパソコンのモニターとモニタースピーカー、右からモジュラーシンセと3400ピースのデススターが降ってきました。
写楽 ああ、確かに自分の部屋もモニターは倒れてた。
戸田 1回全部元に戻したら、次の余震でもう1回倒れてきて、あわててガムテープでそこらじゅうの機材を固定して。
──機材が倒れてきてケガはしなかったんですか?
戸田 最初は押さえてたんですけど、危ないので仕事部屋から避難しました。あとは台所で食器が降るのを眺めてました。
写楽 そういえば、ゲーム機が壊れました。ちょうどXboxをやってたら地震で倒れて。中でゲームソフトが「ギーーーッ」って音をたてて回転してたから慌てて取り出したら、グルグルのキズが。
戸田 レコード盤みたいに。
写楽 ゲーム買い直しました。被害はそんくらいですかね。
──雑誌「キーボード・マガジン」で戸田くんの仕事部屋が紹介されていたことがありましたが、機材がきれいに配置されていて驚きました。普段から整理整頓されているんですか?
戸田 あれは引っ越した直後だったので、比較的きれいなのではないでしょうか。普段からケーブル類はなるべく片付けるようにしていますが、付箋やら紙があたり一面に貼ってあります。締切や進行を忘れないためと、四方からプレッシャーがかかるように(笑)。そういう意味ではとっちらかってますね。
──写楽くんの部屋はどうですか?
写楽 もう、超すごい汚いです。前までは自分のパソコン部屋でパソコンのスペースだけはあったんですけど、最近は足元にもケーブルがあって。常にケーブルの上に足をのっけて作業してるので、どこにも足の踏み場がなくなりました。
戸田 床暖いらずで(笑)。
──ケーブルが暖かいから(笑)。
写楽 一生、今の家に住むしかないなと思っていて。
──もっと広いとこに引っ越すという選択肢だってあるじゃないですか。
写楽 引っ越すとなったら、片付けられないので、全部捨てて全部買い直すか、一生そこに住むしかないなって。
戸田 燃やすしかない(笑)。
──戸田くんが引っ越したのは、やはり機材で部屋がいっぱいになったからですか?
戸田 いえ、地震のアレで部屋が大変になったので、どうせならと引っ越しました。仕事部屋の大きさは引っ越し後も変わらないのですが、一から再配置できたので以前よりは機能的に良くまとめることができました。
──ゴチャゴチャしてるほうがアイデアが浮かぶって人と、きれいに片付いてないとダメっていう人がいますよね。お2人は、やはり前者のタイプですか? ゴチャゴチャしてるのが当たり前っていう。
写楽 そうですね。でもきれいな状態になったことが、生まれてから今までないので(笑)、きれいだったらもっとはかどっているのかもしれない(笑)。
FLOPPY(ふろっぴー)
小林写楽(Vo,Technology)、戸田宏武(Syn,Technology)の2人によるテクノポップユニット。2004年に活動を開始し、2005年に初音源「FLOPPY」をリリース。以降、コンスタントにリリースやライブを行い、幅広い層からの支持を集めている。80年代歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディと、近未来的なビジュアル、レトロフューチャーな世界観が特徴。2012年6月6日、およそ1年半ぶりとなるニューアルバム「GREENWORLD」を発表する。