音楽ナタリー PowerPush - fhána
アニソンシーンを疾走中 広がっていく4人の世界
fhánaのニューシングル「星屑のインターリュード」がリリースされた。本作の表題曲は、現在放送中のテレビアニメ「天体のメソッド」のエンディング主題歌として書き下ろしされたもの。懐かしい1990年代J-POPサウンドをfhána独自のフィルターを通して現代の音に昇華させた、疾走感が心地よいアッパーチューンとなっている。
デビュー以来、リリースされたシングルの表題曲にはすべてアニメのタイアップが付き、アニメの世界に寄り添ったクオリティの高いアニソンを作り続けている彼ら。アニメファン、アニソンファンから熱い支持を集め、ユニットとして大きな飛躍を遂げている中、1年ぶりとなるインタビューが実現した。前回登場時からの期間で彼らの中に訪れた変化や本作に詰め込まれたこだわりについて、メンバー4人に話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき ライブ撮影 / キセキミチコ
あくまでもマイペース
──ナタリーへの登場は1年ぶりとなりますが、その間のfhánaの快進撃が本当にすごくて。リリースされたシングルにはすべてアニメタイアップが付いていましたし、夏には前回のインタビューで目標として掲げていた「アニサマ」(Animelo Summer Live 2014-ONENESS-)にも出演。iTunesが選出する「NEW ARTIST 2014」にエントリーされたのも、その注目度の高さを物語っていると思います。そんな状況からユニットとしてのテンションはより高まっているだろうし、なんらかの心境の変化もあったのではないかなと思うのですが。
yuxuki waga ほんとにありがたい状況ですよね。ただ、ユニットのテンションとしてはそんなに変わってないというか。
kevin mitsunaga うん、変わってないですね。
towana えー! そうなの? 私は内面的な部分での変化はあったと思いますよ。「アニサマ」もそうですけど、夏には大きなステージでライブをたくさんやらせていただいたので、見られる意識みたいなものは変化したんじゃないかなって。fhánaのことを知ってくれてる方が増えてきたことも単純にうれしいですし。
yuxuki ああ、確かに僕らに興味を持って来てくれるお客さんが増えたなとか、盛り上がり方が変わったなっていう変化はありますね。だからより楽しくライブできるようになった感じはあります。
kevin そういう意味で厳密に言えば変わってるところはいろいろあるのかもしれないですね。ただ、音楽を作るという部分に関しては、相変わらずそのときの精一杯でがんばっているだけなんですよ。周りの状況がいろいろ変化していくけど、それで浮き足立つわけではなく、あくまでもマイペースというか。
佐藤純一 うん。マイペースがいいのかなって思いますね。例えば周りの状況を見て特別無理してがんばったとしても、それがどういう反応を生むかはわからないわけじゃないですか。今以上に盛り上がってくれるかもしれないし、逆にしらけるかもしれないし。だったら今の状況はうれしいこととして受け止めつつも、今までと変わらずに自分たちが思うことを普通にやっていくほうがいいんじゃないかなって。
イベント出演で見つけた新たな壁
──では、ライブの見せ方に関してはどうでしょう。さまざまなイベント出演を通して、何か見えてきたものがありました?
佐藤 そこは着実によくなっているとは思いますね。まだまだ摸索しながら、改善していっている最中ではあるんですけど。fhánaとしてのライブに慣れてきたところはあるかな。
yuxuki この夏で相当鍛えられた感がありますからね(笑)。
kevin そうですね。でも、鍛えられたと同時に力不足を感じる部分もあります。成長したと思ったらまた違う壁が出てくる、みたいな感じで。
──そういうことを繰り返す中で、fhánaとしてのライブスタイルが固まっていくんでしょうね。
yuxuki そうなんでしょうね、うん。
佐藤 僕以外のメンバーはライブが大好きで楽しんでると思います。でも僕はもともと、ライブが苦手なんですよ。
──え、そうなんですか?
佐藤 もちろんやるからにはいいライブをして周りをアッと言わせたいし、来てくれたお客さんに感動してもらいたいと強く思っていると同時に、スタッフも含め、ライブに関わってくれる方が増えれば増えるほど、いろんなことを考えちゃうっていうのもあります。ライブにしてもレコーディングにしても、自分たちだけでやってるときはもっと単純だったはずなんだけど、そうはいかなくなってしまうというか。自分は今まで以上に全体的なことを考えながらライブをやってる感覚で、どうしても気を遣ってしまうというか。
yuxuki そんなこと考えてたんすか!(笑) まあでもfhána全体としては、ライブはやる気マンマンモードですからね。念のため。
kevin うん。苦手っていうのとやりたくないのは違いますから。
佐藤 もちろんやりたくないわけじゃないです。でも、「ライブ楽しいっす」「超やりたいっす」って優等生的な答えはちょっと言えないというか(笑)。
yuxuki・kevin・towana あははは(笑)。
──それだけライブというものを真剣に考えているってことなんでしょうね。こだわりが強いからこそ考えることも増えてきてしまうという。
佐藤 そうかもしれないですね。
yuxuki ライブリハのときは進行に関してとか、かなりいろいろ言ってくれますからね。「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」って。
kevin うちのリーダーはすごいですよ、そのこだわりは。
──towanaさんはライブに関していかがですか?
towana 私はすごく単純で。もともとライブが本当に大好きなので、fhánaの音楽をお客さんと一緒に楽しめることがうれしくてしょうがないです。まだまだパフォーマンス面で足りてない部分はたくさんあるとは思うんですけど、これからもどんどんライブはやっていきたいですね。
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収録曲
- 星屑のインターリュード
- ソライロピクチャー
- 星屑のインターリュード(Avec Avec “twilight town” Remix)
- 星屑のインターリュード(Instrumental)
- ソライロピクチャー(Instrumental)
fhána(ファナ)
佐藤純一(FLEET)、yuxuki waga(s10rw)、kevin mitsunaga(Leggysalad)という3人のプロデューサーと、女性ボーカリストtowanaによる4人組ユニット。それぞれ個別に活動していた佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunagaの3人が2009年に出会い、ボーカリストを固定しないユニットとして始動した。2012年秋にはゲストボーカルの1人だったtowanaが正式加入。「僕らはみんな河合荘」「ウィッチクラフトワークス」「ぎんぎつね」「有頂天家族」といったアニメ作品でテーマソングを担当して高い評価を集めた。さらにChouChoや相沢舞のプロデュース、さよならポニーテールやDECO*27の楽曲のリミックスなども行っている。2014年11月5日にシングル「星屑のインターリュード」をリリースした。シングル表題曲はアニメ「天体のメソッド」のエンディング曲。