音楽ナタリー Power Push - 「ミステリヤ・ブッフ」三浦基(地点)×空間現代 対談

音の洪水が描く革命劇

2013年に演劇「ファッツァー」で共演し話題を呼んだ劇団・地点とロックバンド・空間現代。同作は国内のみならずロシアや中国で再演され、今もなお話題を集めている。そして彼らは音楽ライブでのコラボを幾度か挟み、国際的な舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー15」内の1プログラムとして上演される新作「ミステリヤ・ブッフ」で再びタッグを組む。今回音楽ナタリーでは地点の演出家・三浦基と、空間現代の野口順哉(G, Vo)、古谷野慶輔(B)、山田英晶(Dr)の対談をセッティング。2組の出会いや「ファッツァー」上演までの舞台裏、「ミステリヤ・ブッフ」の詳細について語ってもらった。

取材・文 / 高橋拓也 撮影 / 宮腰まみこ

 
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訳わかんないけどすごいな、カッコいいな

──お2組はどのようなきっかけで知り合いに?

空間現代、三浦基。

三浦基 最初は空間現代のみんながライブに招待してくれたんですよ。京都のライブハウス、METROってところで。

古谷野慶輔(B) 僕が地点の演劇を好きだったんです。

三浦 どの作品を観たの?

古谷野 最初に「あたしちゃん、行く先を言って -太田省吾全テクストより-」(2009年)を川崎で観て「訳わかんないけどすごいな、カッコいいな」って思って。それから何作か観たんですけど「光のない。」(2012年)ですごく感動したんです。

三浦 ほかの2人は?

野口順哉(G, Vo) ちょいちょい観てました。

山田英晶(Dr) 古谷野から話を聞いて誘われたり。

古谷野 「すごいもん観た!」って2人にすぐしゃべったんですよ。ちょうどその時期僕たちの2ndアルバム(「空間現代2」)がリリースされる頃だったんですけど、レコ発の対バンに地点を呼びたいっていう話にもなって。それでオファーのメールを送ったんですけどスケジュールをチェックしないまま連絡しちゃって(笑)。公演が重なっていて共演できなかったんです。でも諦めきれなかったんで、京都でのライブが決まったときに「ぜひ観ていただけないでしょうか?」って誘ったんです。それで来ていただいて初めて会った。

三浦基

三浦 誰かから「空間現代いいよ」って薦められたわけではなかったんです。CDも送ってきてくれたんですけど、あんまり音楽を聴く習慣もなかったし、聴いてみても「なんか壊れてんのかな?」って。最初はよくわかんなかったです。それであんまり興味なくて。

古谷野 ははは(笑)。

三浦 でもしつこくメールしてくるから、たまたま稽古が行き詰まってたときにライブがあったので劇団のみんなと観に行ったんです。そしたらびっくりしちゃって。それですぐに「一緒になんかやろう」って決めたんだったかな。

古谷野 ライブのあとに三浦さんがメールを送ってきてくれて。

三浦 逆にこっちからオファーして「ファッツァー」(2013年)に取りかかったんです。

古谷野 まさか地点の音楽を担当するとは全然思っていなかった。対バンでオファーしたときも空間現代と地点は別々で出演する形で考えていましたし。

三浦さんも「山田を見せたい」って話してました

──「ファッツァー」では空間現代が“楽曲提供”ではなく、“出演”という形で作品に携わっていたのも特徴的で。

山田英晶(Dr)

山田 生演奏とあらかじめ録音しておいたものを再生する方法、どちらでもできるように用意していたんですけど。

三浦 実際に稽古では両方とも試したんです。でも出演してもらったほうが面白いし迫力も違うから、今は生演奏で上演することのほうが圧倒的に多いですね。

──演奏も舞台裏ではなく、劇団員の皆さんと一緒にステージに上がって演奏していましたね。ステージ奥の隅に山田さん、手前の左右に古谷野さん、野口さんとトライアングルになるような配列で。

山田 最初からあの位置で決まったような記憶があります。いろんなパターンがあるかなって話もあったけど、試しにあの配置で演奏してみてそのまま決定したような。

野口 山田が舞台に立つのには驚いたよね。「役者と並んじゃうのか」っていう(笑)。

古谷野 三浦さんも「山田を見せたい」って話してましたよね? ライブでも山田のドラムの動きは重要なので。

三浦 山田の空振りの動きで感動する部分はあるだろうから、演劇でもその姿を見せるイメージが浮かんでたんじゃないかな。オペラだとオーケストラピットに楽団を入れて演奏するっていうのが普通なんだけど、そうじゃないスタイルのほうが面白いんじゃないかなっていうのもあったし。あと、彼らはトライアングルを組んで、アイコンタクトできないと演奏できなかったから。どっちみち会場が狭い空間だったしね。

演劇×ダンス×美術×音楽…に出会う37日間
フェスティバル/トーキョー15

2015年10月30日(金)~12月6日(日)

地点×空間現代「ミステリヤ・ブッフ」
地点×空間現代「ミステリヤ・ブッフ」

2015年11月20日(金)~28日(土)
東京都 にしすがも創造舎

作:ヴラジーミル・マヤコフスキー

演出:三浦基

音楽:空間現代

出演:安部聡子 / 石田大 / 小河原康二 / 窪田史恵 / 河野早紀 / 小林洋平

ゾンビオペラ「死の舞踏」イラスト:古泉智浩
ゾンビオペラ「死の舞踏」

2015年11月12日(木)~15日(日)
東京都 にしすがも創造舎

コンセプト・作曲:安野太郎

ドラマトゥルク:渡邊未帆

美術:危口統之

出演:浅井信好 / 岸本昌也 / 左藤英美 / 新大久保鷹 / 滝腰教寛 / 東金晃生 / 中村桃子 / 長屋耕太 / 八重尾恵 / 山崎春美

V.A.「空間現代Remixes」 / 2015年9月2日発売 / 2592円 / HEADZ / UNKNOWNMIX-40 / HEADZ-208
V.A.「空間現代Remixes」
収録曲
  1. 同期 / Mark Fell
  2. 不通 / Hair Stylistics
  3. 痛い / ZS
  4. 通過 / Takeshi Ikeda(core of bells)
  5. 通過 / 蓮沼執太(feat. 古川日出男)
  6. 誰か / Oval
  7. 誰か / 宇波拓
  8. 不通 / 湯浅学
  9. 同期(相違remix) / OMSB
三浦基(ミウラモトイ)

演出家。地点代表。1999年から2001年まで文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在。帰国後、劇団・地点の活動を本格的に開始する。2005年には東京から京都へ活動拠点を移し、2013年に地点の稽古場兼アトリエ施設「アンダースロー」を開場。同施設を軸足に、国内外の公共劇場やフェスティバルで演劇作品の上演を行っている。

空間現代(クウカンゲンダイ)

2006年に野口順哉(G, Vo)、古谷野慶輔(B)、山田英晶(Dr)の3人によって結成されたロックバンド。一定のリズムやフレーズを反復するようなアレンジを特徴とする。2009年に1stアルバム「空間現代」、2012年に2ndアルバム「空間現代2」、2014年にライブアルバム「LIVE」を発表。今年9月には、これまでに配信リリースされたリミックス曲をまとめたアルバム「空間現代 Remixes」を発売した。地点のほかECDや飴屋法水、灰野敬二、Phewなどミュージシャン、演出家、ダンサーとのコラボライブも数多く実施している。