ナタリー PowerPush - DOPING PANDA
初のベストアルバムは眼中になし!? Yutaka Furukawa、次回作を大いに語る
僕は絶対に大丈夫です
──その話を今のFurukawaさんがすると説得力がありますね。
うん、なんかね、そこをすごく実感する1年だったなって。自分が求める音が作れなくて、書きたいものを書けなくて、そういう挫折があってそれを乗り越えて乗り越えて達観したときに、ポンと鳴らした音が「音楽だ」って言えるようになりたい。そしたら自分にしか作れないものが絶対作れるはずだから。セールスとか関係ないです。わかってもらおうとかね、そういうのはなんかどうでもよくなっちゃったっていうか。今2、3万人の人にわかってもらえたとして、そのあとに何かあるのかっていうと、僕は何も感じないんですよね。
──その2、3万人を見てるわけじゃない?
うん、もちろんわかってくれてる人に対しては最低限敬意を表したいと思ってますよ。僕が今やってることって、本当にファンをないがしろにした行動ですからね。だからたぶん「ドーパン終わっちゃってんな」って思ってる人もいるだろうし、そう言われる中、恥ずかしがりながらライブ会場に足を運んでくれてる子もいると思う。こんな自虐的な話もどうかと思うけど(笑)。
──いやいや(笑)。
自分はライブでも音源でも実験的なことをすごくやるから、来てくれてるファンの子にも、わかんないことがいっぱいあると思うんですよ。なんであの人立ち位置毎回変えてるんだろうとか、なんであの人は変な高い声の出し方してんだろうとか、今日セットリストおかしいぞとか、この曲意味わかんないとか、いっぱいあると思うんだけど。でもそれをやんないと前に進めないんで。それでも「Furukawaがこれをやってるってことは絶対このあとに何かあるんだ」って、そう信じて聴いてくれてる人のためなら、俺はなんでもできる自信がありますね。
──そう言ってもらえたらファンとしては心強いです。
だからドーパンのファンが不安になる必要はないですよ。大丈夫です。大丈夫としか言いようがない。だって、大丈夫でしょう僕は! 絶対に。
──はい(笑)、そう思います。
これをやり続けていけばこの島国ではトップに立てる
──今後のドーパンはどういう方向に進んでいくんでしょうか。
今思ってるのは「よくわかんねえけどすごい」って言われるものを作りたいってことですね。それは音源だけじゃなくてライブもそう。「この人たちのライブは今まで観たほかのライブとは全然違う。なんで違うんだろう?」って思わせたい。俺はライブに関してはずっと音源よりももっとエンタテインメントっぽくやってきたつもりなんですけど、今後はその2つを近づけていくべきかなと思ってます。
──以前、音源は緻密に作り込んでいく、ライブはエンタテインメントとして盛り上げていく、というお話をされてたと思うんですけど、そこの考え方は少し変わってきたということですかね。
うん、今は自信があるんです。このままやっててもダメだ、自分たちでやるって言って、見切り発車的にこれまでのやり方を捨てたんだけど、本当にこれをやり続けていけば少なくともこの島国ではトップに立てるっていう自信が今はあるんですね。それはライブも楽曲も。ままごとですから、この国のシーンなんていうのは。
──すごい自信ですけど、この音源を聴くと、その宣言もあながち大げさではないという気がしてきますね。
ありがとうございます。まあ昔からビッグマウスなんで「あいつまた言ってんな」ぐらいに思われるんだろうけど、でも絶対結果残しますよ。もうその自信だけはあるんで。
──今のFurukawaさんが前向きなのはよくわかりました。このインタビューが今回のベストアルバムのプロモーションになるのかどうかは正直微妙ですけど(笑)。
あー、今日ほとんどベストの話してないですからね。
──でもこのベストはベストで、すごく楽しめる良い作品だと思いますけどね。
うん、それ今一番的を射た表現だと思います。「すごく楽しめる良い作品」(笑)。このベストを評するにピッタシな感じです。まったく問題ないですね。
DISC 1
- beautiful survivor
- I'll be there
- Crazy
- nothin'
- majestic trancer feat.VERBAL(m-flo)
- We won't stop
- crazy one more time
- Lost & Found
- Moralist
- The Fire -Alarmix-
- transient happines
- Hi-Fi
- MIRACLE
- beat addiction
DISC 2
- Go the Distance [Hercules]
- The way to you
- Mayonnaise on my toast
- GAME
- Start me up
- Under the Sea [The Little Mermaid]
- ターボ意味無し
- she loves the CREAM
- Lovers Soca
- Everything under the sun
- Fine by me
- Candy House
- Stairs
- after dawn
DOPING PANDA(どーぴんぐぱんだ)
Yutaka Furukawa(Vo, G)、Taro Houjou(B, Cho)、Hayato(Dr, Cho)から成る3ピースバンド。1997年の結成当初は主にパンク / メロコアシーン界隈で活動していたが、ダンスミュージックの要素を大胆に取り入れ、エレクトロとロックのハイブリッドな融合を担う存在に。インディーズでのブレイクを受けて、2005年にミニアルバム「High Fidelity」でメジャーデビュー。時代の空気を反映させたサウンドとエンタテインメント性抜群のライブパフォーマンスで、幅広いリスナーからの支持を獲得する。その後も全国各地でツアーやフェス出演を精力的に展開しつつ、2008年6月には「beautiful survivor」が資生堂ANESSAのCM曲に起用。2008年にはイギリスで初の海外公演に挑戦するなどワールドワイドな活動にも注目が集まっている。