音楽ナタリー PowerPush - DJ Deckstream×VERBAL(m-flo)×Shing02

ヒップホップシーンのカリスマ3者、初共演を語る

優雅でありながら荒々しい。そんなサウンドメイクが真骨頂のDJ Deckstreamが、1年4カ月ぶりとなるニューアルバム「DRESS CODE」を完成させた。本作にはレジェンドから新鋭まで、シーンを騒がす日本のラッパーがずらりと集結。しかも、予想のナナメ上をいくコラボを多く実現させた話題沸騰必至の1枚となっている。

今回は、同作収録の「Young World feat. VERBAL(m-flo) & Shing02」で顔をそろえたVERBALとShing02、DJ Deckstreamの鼎談が実現。この曲に込めた思いやアルバム制作の裏話、さらには日本のラップシーンへの提言まで大いに語ってもらった。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 佐藤類

 
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3人の出会い

──まずは3人の出会いから伺いたいんですが、皆さんに共通するキーワードは「hydeout productions」(nujabesが主宰していたレーベル)ですよね。

左からShing02、DJ Deckstream、VERBAL。

DJ Deckstream そうですね。俺とVERBALくんはもう出会って20年くらい?

VERBAL そんなに経ってないでしょ(笑)。最初に会ったのは99年くらいだから、15年くらいかな。

──VERBALさんとDeckstreamさんの出会いはnujabesさんを通じて?

VERBAL そうです。当時、Mountain Brothersっていうアジア系のラップグループがいて、彼らのアナログ盤の営業を僕がやってあげてたんです。で、渋谷にあったGUINNES RECORDS(nujabesがオーナー)に飛び込みで営業に入ったらnujabesがいて。「ところで君はラップしないの?」って聞かれて、たまたまデモテープを持ってたから渡したら、「じゃあ、今度ウチに来てレコーディングしてみようよ」って。それでnujabesの家に行ったときに「彼も曲を作ってるんだよね」ってDeckstreamと出会った気がするんです。

Deckstream そのとき俺はまだ何もリリースしてない時期で。DJしかやってなかったときなんですよね。音を作ってたけど、まだ趣味程度でしたね。

──当時はDeckstreamさんがMonorisick、VERBALさんはL Universeという名前で活動されてましたよね。

VERBAL そうですね。でも、L UniverseとVERBALは、ほぼ同時くらいに使い始めてたんですけど。

──hydeout productionsを離れるときに、MonorisickからDJ Deckstreamに改名するわけですが、その名付け親はVERBALさんなんですよね。

Deckstream そうなんです。手先が器用っていう意味のDexterityと、究極っていう意味のExtremeの造語で。

──Shing02さんと2人の縁は?

Shing02 僕がnujabesと初めて曲を作ったのは2000年だと思うんですけど。

──「Luv(sic)」ですね。リリースは2001年でした。

Shing02 それを作ったときに、VERBALくんが電話くれたのを覚えてますね、「よかったよ」って。

VERBAL 俺、そんな粋なことしてました?

Shing02 しかも、留守電だったような気がする、昔のピーってヤツ。

Deckstream ちょっとウチの留守電にも入れといてよ、よかったよって。

VERBAL 何それ(笑)。じゃあ、今日、入れとくよ。

Shing02 でも、実際のところ、僕は今日に至るまで、2人とそんなに遊んだことはないんですよ。nujabesが亡くなったときとか、節目節目で顔は合わせてるけど、そもそも僕はアメリカに住んでて日本にいる時間は限られているし、nujabesのサークルにも出たり入ったりだったんで。だから2人とはレコードを通じてっていう関係なんですよね。

意外とこの3人の組み合わせはなかったな

──今回の「Young World feat. VERBAL(m-flo) & Shing02」」は、どんなきっかけで生まれたんですか?

Deckstream 前作(「DECKSTREAM.JP」)は歌モノも入ってるけど、今回はラップものしか入れないアルバムを作りたかったんです。で、VERBALくんのところに行って、参加のお願いをしがてら、今回こういう人たちにお願いしようと思ってるっていうリストも見てもらってたら、誰かと一緒にやるほうが面白いよねって話になって。

VERBAL 今までやったことない人がいいっていうのもあったし、そのリストを見たときに、「意外とこの3人の組み合わせはなかったな」と思って。

DJ Deckstream

Deckstream ただ、俺はShing02くんの連絡先を知らなかったんで、VERBALくんにその場で連絡を取ってもらったんです。

VERBAL 僕がずっと昔に交換した連絡先を持ってたんですよ。で、まだ使えるかわからないけどっていうくらいのテンションでメールしたら、すぐに返事が来て。

──歌詞のコンセプトはどのように決めていったんですか?

Deckstream 歌モノを入れないっていうコンセプトにも通じてくるんですけど、今回はよくあるラブソングとかは入れなくていいやと思って。そうじゃなくて、もっとメッセージ性があるような作品にしたかったんです。ラッパーさんとプライベートで飲みに行って話すと、いろいろと社会のことについて考えてる人が多いし、自分発信の人が多いと思うんですよ。

──洞察力に富む人も多いし。

Deckstream そう。だから、逆にこちらからトピックを渡すようなことはあんまりしないようにして、今、2014年に言いたいことって何がありますか?って聞いて、そこからいろいろ相談していって決めていったんです。「Young World」もそう。Shing02くんに、2014年の今というテーマでアイデアを出してもらった。

DJ Deckstream ニューアルバム「DRESS CODE」2014年12月10日発売 / 2500円 / Sepera / XQBZ-1036
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / VIZL-718 / Amazon.co.jp
収録曲
  1. Young World feat. VERBAL(m-flo) & Shing02
  2. SEASON4 feat. S-WORD & RINO LATINA II
  3. You Only Live Once feat. 漢 a.k.a. GAMI & 輪入道
  4. 見えないけどRZ feat. 妄走族
  5. Most Beautiful In The World feat. SEAMO & D.O
  6. Stay Ready feat. JAZEE MINOR & Minami(CREAM)
  7. Time Capsule feat. NIPPS & YURIKA
  8. Far East Movement feat. RINO LATINA II & SKY-HI
  9. 夜とその先 feat. WATT a.k.a ヨッテルブッテル
  10. Stormy feat. Mummy-D(Rhymester) & RYUZO
  11. Minority Rules feat. Arkitec & 大神
  12. Walk With Me feat. Takuma The Great

右 / DJ Deckstream、左 / VERBAL(m-flo)、中央 / Shing02

右 / DJ Deckstream(ディージェイデックストリーム)

DJ、トラックメーカー。1990年代後半からアンダーグラウンドのヒップホップシーンにて活動を開始。2001年、m-floのリミックスをきっかけに注目を集め、2007年10月に1stフルアルバム「Sound Tracks」、2009年2月に2ndアルバム「Sound Tracks2」を発表。独特のサウンドメイキングが大きな話題となり、外資系CDショップを中心に爆発的な売上を記録する。また「Rahze」名義でダンスアルバムを制作し、レーベル「Sepera」を立ち上げ自身のプロデュース作品をリリースするなど、精力的に音楽活動を展開している。

左 / VERBAL(バーバル)

m-flo、TERIYAKI BOYZのメンバー。1998年に☆Takuとm-floを結成。m-floでの活動のほか、2004年からはTERIYAKI BOYZとしても活躍し、ファレル・ウィリアムス、カニエ・ウェスト、ウィル・アイ・アムなど海外のアーティストとも交流が深い。またジュエリーブランド「ANTONIO MURPHY & ASTRO」「AMBUSH」のデザイナーとしてファッション界でも名が知られている。

中央 / Shing02(シンゴツー)

1975年生まれ、東京都出身のヒップホップアーティスト。日本のほかタンザニアやイギリスで少年時代を過ごし、15歳のときに暮らし始めたアメリカ・カリフォルニアでヒップホップと出会う。1996年にMCとして日本での活動をスタート。1999年にリリースしたアルバム「緑黄色人種」がロングヒットを記録し、2008年には長年の構想を経て完成したアルバム「歪曲」をリリース。国内でのライブ活動を積極的に行いつつ、グローバルかつ独立した視点を持つリリックや変幻自在のスタイルで幅広い支持を獲得している。