スルメ曲ならぬ、むさぼり曲

──ちなみに「初恋モンスター」では“男の娘アイドル”のレンレンとして、エンディング主題歌「キミに捧げる鎮魂歌」もレンレンのキャラクターソングとして蒼井さんが歌われています。公式サイトで蒼井さんのコメントが発表されたときは「アイドルだからかわいく歌いたい。でも、レンレンが持つギャップも表現したい。ということで、歌い出しはアイドルポップス、サビはビジュアルメタルという、新しいジャンルの曲が誕生しました！ 結局は、最後の『かにのみそしる』に全部持っていかれてますが（笑）」と……ちょっと情報量が多すぎる内容に、初めは何を言っているんだろうと思ったんですが（笑）。

そうですよね（笑）。想像ができなかったと思います。

──楽曲も聴きましたが、驚いている間にあっという間に1曲が終わってしまったというか。でも聴いて初めて「あ、そういうことか」と蒼井さんのコメントが理解できました。

この曲はスルメ曲ならぬ、むさぼり曲ですね。

──ははは（笑）。

油断していたら何もかもわからないまま終わっちゃうので、気になった方は何度か聴いていただくことになると思うんですけど、「何度もむさぼらせてしまう我を許したまへ」みたいな（笑）。何度でも聴いて、楽しんでいただけたらうれしいですね。歌詞の通りに、蟹の味噌汁を作っていただいてもいいですし。

──うまく作れるか心配です。

きっと失敗しちゃうと思います（笑）。「初恋モンスター」はアニメも面白いので、オープニングからエンディングまで見逃さないでいただきたいですね。本編にレンレンとしても出演させていただいているんですけど、主人公・奏役の櫻井（孝宏）さんをはじめ、アフレコ中もみなさん小学生ノリなんですよ。アフレコが始まる前とか休憩中も、少年時代に戻ったかのようなテンションで。楽しすぎて逆に疲れちゃうくらいのノリで作られているアニメなので、観ていただく皆さんにとっても元気になれる作品じゃないかなと。ぜひ大笑いしながら観ていただけたらうれしいですね。

ステージ上でもキャラを演じきることで感謝を伝えたい

──レンレンの楽曲もそうですが、蒼井さんは声優として活動していく中でいわゆる“キャラクターソング”と呼ばれる曲もたくさん歌われていますよね。2015年9月に行われた「少年ハリウッド」のライブイベント「ときめきミュージックルーム SPECIAL SUIT LIVE」で、蒼井さんご自身が演じるトミー（富井大樹）の「運気上昇イエローパンチ」を、完璧に歌って踊っていたのがすごく印象に残っていて。

そんな、全然完璧ではないですよ！

──いやいや。今年の1月に行われた「うたの☆プリンスさまっ♪」のライブイベント「マジLOVELIVE 5th STAGE」でも、美風藍役のキャストとしてステージに立たれていましたけど、「Innocent Wind」で最後にステージから倒れ込む演出は、アニメのワンシーンを再現されていましたよね。

はい、そうですね。

──歌やダンスはもちろん、そういった演出も含めて全身でパフォーマンスをしていて。ファンの皆さんはうれしい気持ちでいっぱいだったと思います。その2作品に限らずですけど、なんで蒼井さんはそこまでやってくれるんだろうと純粋に気になったんです。

「うたプリ」に関していうと、美風藍を演じさせていただくことが決定したとき、僕はまだ名前も知られていないくらいの新人で。「うたプリ」は大きな作品ですし、ファンの皆さんの愛もすごく大きい。そんな作品に、僕みたいな新人が先輩役として参加するというのは、ファンの皆さんに不安を与えてしまったと思うんです。

──周りの声優さんたちはキャリアも長く積んでいらっしゃって、人気のある方たちばかりでしたしね。

今更言葉にすると言い訳のようになってしまいますが、最初の頃は演技をしても自分の未熟さや実力のなさで、ファンの皆さんを不安な気持ちにさせてしまっていたと思います。ただそれでも「蒼井さんの演じる美風藍が好きです」「応援してます」と言ってくださってる方々もいて。美風藍を演じるたび、美風藍として歌う楽曲が増えていくたびに、皆さんから美風藍に対してへの愛もどんどん大きくなっていくのを感じたんです。何度も言うようですが、僕の活動の原動力として、皆さんへの感謝の気持ちというのはすごく大きくて。

──ええ。

ゲームでもアニメでも、僕が美風藍を演じているわけですよね。それはライブでも同じで。もちろん、自分が美風藍と同一だとは決して思っていません。その場所に立つのは蒼井翔太です。だけど、少しでもアニメやゲームのワンシーンや、キャラクターの姿が思い浮かぶように、ステージ上で“美風藍”を演じきることで皆さんへの感謝を伝えたいと思ったんです。それは「少年ハリウッド」でも、ほかの作品でも同じです。キャラクターソングを歌うイベントに出るときは、必ずキャラクターをイメージした衣装を選んだり、少しでもそのキャラクターがそこに居ることを感じてもらえるように歌うことを意識しています。

──「ときミュ」のときは、トミーのように髪型を外ハネにされていましたよね。

してましたね。

──あの場ではトミーの“お友達”としてステージに立たれていましたが、「運気上昇イエローパンチ」をパフォーマンスしていた蒼井さんに、トミーの姿が重なった人は多かったと思います。

わあ、それが一番うれしいんですよ。ステージに立っているのは僕たち“中の人”なので、もちろん「蒼井くんがよかった」と言ってもらえることもうれしいんですけど、「トミーが見えた」と言っていただけると、がんばってよかったなって思えるんです。

──ファンの方、みんな大盛り上がりでした。

そう言っていただけてよかったです。ダンスもがんばって覚えましたから（笑）。