TVアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」が、4月4日より放送開始される。山口悟の同名小説を原作とする本作は、プレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢・カタリナに転生してしまった女子高生を描く転生コメディで、近年の“悪役令嬢もの”ブームを代表する作品のひとつだ。
コミックナタリーではアニメ放送開始に合わせ、オープニングテーマを手がけるangelaと、アニメではジオルド・スティアート役を務め、エンディングテーマも担当する蒼井翔太による初対談をセッティング。レーベルメイトであり、かねてより親交のある2組による息の合った掛け合いを堪能あれ。さまざまなポーズや表情で特集を賑わせてくれたフォトギャラリーも必見。
取材・文 / 柳川春香 撮影 / 曽我美芽
ヘアメイク / 山本隆太、渡部亜紀 スタイリスト / ヨシダミホ
衣装協力 / JUSTIN DAVIS(JACK of ALL TRADES PRESS ROOM)(03-3401-5001)
HYSTERIC GLAMOUR(03-3478-8471)
蒼井翔太はかわいいんですよ……(KATSU)
──angelaさんと蒼井さんは、どちらもコミックナタリーには初登場ということで。
KATSU 蒼井翔太です!(モノマネをしながら)
atsuko 文字だから! 伝わらないから!
蒼井翔太 ありがとうございます(笑)。おふたりにはいつも本当にお世話になっております。
──皆さんはキングアミューズメントクリエイティブのレーベルメイトでいらっしゃって、普段から交流があるんですよね。
蒼井 はい。ライブイベントでご一緒させていただいたり、ラジオにも呼んでもらったり。でも、こうして対談をさせていただくことは初めてなので、うれしいですね。
atsuko 現場で会ってしゃべることはよくあるけど、ゆっくり話す機会はなかなかないもんね。
──蒼井さんから見て、angelaのおふたりはどんな方ですか?
蒼井 僕は蒼井翔太として活動する前からangelaさんの楽曲を聴いていたので、まずatsuko姐さんは“カッコいいお姉さん”というイメージだったんですけど……。
atsuko あはは!(笑)
蒼井 もちろん、それもありつつですよ! でも、お話させてもらうと本当に楽しくて、つっこんでもくれるし面白いことも言ってくださるし、すごく気さくで。KATSU兄さんも、本当に両手を広げて待っててくれる、懐に飛び込んでいけるような人ですね。
KATSU おいで!(両手を広げながら)
atsuko ごめんね、面倒くさくて……。
蒼井 一言もそんなこと言ってないですよ!?
──(笑)。angelaのおふたりから見た蒼井さんはどうでしょう?
KATSU かわいいんですよ……(しみじみとした様子で)。
atsuko 翔太くんはもう、スーパースターじゃないですか。声優としてはもちろん、歌って踊れて演技ができて、それでいてかわいかったりカッコよかったりもして、話も面白い。すごいな!と思って、いつも尊敬の眼差しで見てます。
蒼井 そんな、驚きです……!
KATSU さらに下の世代の声優さんにとって、それぞれ目指す人っていると思うんですけど、「蒼井翔太になりたい」ってすごくハードルが高いと思うんです。そのくらい唯一無二のポジションを、どうやって作り上げてるのかっていうと、翔ちゃんが“蒼井翔太”を作るために、ときには自分を犠牲にするくらいストイックに努力している。そこが誰にも真似できないと思います。
蒼井 ありがとうございます。やったことがないことに足を踏み入れるときは、やっぱり「自分にできるんだろうか」って自問自答することはあるんですけど、いろんなことに挑戦させて頂けるのは幸せだなって思いますし、どこにもない“蒼井翔太”という花を咲かせることで、世の中からより目を向けてもらえるんじゃないかなって思いはありますね。
KATSU それでいて「スタッフの皆さんがいてくれるから、蒼井翔太ができてるんです」って言うし。そういうのが、angelaは言えない(笑)。
atsuko 言ってるよ!
KATSU 俺は言ったことがない(笑)。
atsuko 言ったほうがいいよ! それが正解だよ?
この視点から見たことはなかったので、
すごく新鮮でした(蒼井)
──仲良しな様子が伝わってきました(笑)。今日はアニメ「はめふら」のオープニングとエンディング担当ということでの対談ですが、蒼井さんは「はめふら」にジオルド役として出演もされていて。それこそ乙女ゲームの攻略対象の役って、今までたくさん演じてこられたと思うんですが、本作はちょっとそれとは違いますよね。
蒼井 そうですね。出演させていただいた乙女ゲームは自分でプレイもするんですが、ライバルキャラの視点から見たことはなかったので、すごく新鮮でした。主人公のカタリナは、転生前にこのゲームをプレイしていて、自分の破滅フラグを回避しようとするんだけど、ちょっと抜けているところもあって。でもそこがみんなに親しまれて、さらに女の子にも愛されるっていうのが面白いですよね。アフレコでも女性陣がわいわい盛り上がってる現場で、男性陣が邪魔をしないようにそっと見守っている感じが新鮮でした(笑)。
──ジオルドは“攻略対象”の1人ですが、腹黒でドSな王子というキャラクターですね。
蒼井 はい、王道の王子様というキャラクターです。カタリナの婚約者でもあって、自分に自信は持っているんですが、すごく嫉妬する性格なんですよ。カタリナをみんなが求めるから、やきもちを焼いちゃう。腹黒ってあまり演じたことがなかったので、どんなキャラだろうと思ってたんですけど、演じてみたら「かわいいじゃん!」と思うようになりましたね。
──個性豊かなキャラクターが揃っていますが、蒼井さんだったら誰のルートを見てみたいですか?
蒼井 アフレコを通してそれぞれの思いも見ていたりするので、悩みますね……。ソフィアもかわいいし、メアリもすごくかわいいシーンがあるんですけど……でもやっぱりマリアですかね。真の主人公のルートは見てみたいな。
──atsukoさんは、攻略対象4人の中では誰がタイプですか?
atsuko あの、音楽の才能がある子が気になります。
蒼井 アランですね! 僕のやっているジオルドの弟です。アランは男らしくて、ちょっと鈍感で、とてもかわいらしい弟ですよ。
atsuko ちょっとダークというか、硬派な感じがいいなあって……あ! いや、違う! こういうときは、「ジオルドですね」!
蒼井 あはは!(笑) 今のが一番面白い流れです!(笑)
──ちなみにKATSUさんは?
KATSU 僕もジオルド一択です!
──でも、KATSUさんコメントでは「カタリナ推し」って言ってましたよね?(参照:アニメ「はめふら」OPはangela!KATSU「エンドレスループのフラグしかないオープニング」)
全員 あはは!
KATSU どうしてもカタリナ目線で見てるから、感情移入しちゃいますよね。
atsuko 転生する前があるから、感覚が庶民に近いっていうのもあるかも(笑)。
蒼井 カタリナはちょっとおバカさんなところも含めて、本当に愛すべきキャラクターですね。
「はめふら」の入れたい要素を
全部入れたらこうなった(atsuko)
──angelaはこれまで数々のアニメ主題歌を担当されてますが、いわゆる“転生もの”の主題歌は初めてなんですよね。
atsuko そうなんです。自分たちはそのフィールドには向いていないのかな、という思いが勝手にあって、お話をいただいたときはびっくりしました。普段バトルものやSFもので歌わせていただくことが多いので、「私たちでいいんですか!?」みたいな。
KATSU 曲を作り始めたらすごく楽しくて。普段やらないようなテイストだし、あれもやっていいんだ、これもやっていいんだって。「ご褒美をいただいた」って気持ちだったので、だったら思いっきりやってやろうと思いました。
──「乙女のルートはひとつじゃない!」というタイトルの発表時に、atsukoさんがコメントで「全部乗せ」とおっしゃっていましたけど、本当に要素が盛りだくさんで、展開もめまぐるしく変わっていく、賑やかな曲になりましたよね。
atsuko ラーメンみたいな表現ですみません(笑)。原作小説を読ませていただいて、カタリナの1人脳内会議だったり、魔法を習得するための修行がトンチンカンなところだったり、そういうドタバタした部分を表現したい、それでいて絵からは中世の貴族的な音楽も聞こえてくるし、明るいポップな感じもあるからそれも入れたい……っていうのを全部入れたら、こうなりました。
蒼井 全部乗せって、成立させるのが本当に難しいじゃないですか。でもかわいらしさと、ロイヤルな雰囲気と、angelaさんらしさが、ここまできれいに収まっているのが素晴らしいなと思いました。
atsuko ありがとうございます。ベートーヴェンさんの力もお借りして(笑)。
──やっぱりそこは無視できないと思うんですが、サビ前にベートーヴェンの「運命」のフレーズを入れるっていう思い切ったアイデアは、どこから出てきたんでしょう?
KATSU あれはatsukoのアイデアだよね。ベートーヴェンの「運命」って、誰もが聴いた瞬間に「どうしよう」って危機感を感じられる曲じゃないですか。そこから明るいサビに行くことで、「ハッピーエンドになるといいな」っていう思いを表現できたらと思ったんです。
atsuko 最初は「ジャジャジャジャーン!」って歌う予定だったんですよ。ライブでみんなで歌ったら面白いんじゃないかって。
蒼井 楽しそう!
atsuko でも歌ったら、ギャグにしかならなくて(笑)。
KATSU 歌入れまでやったんですけど、最後の編集段階で「やっぱりやめよう」ってなったんです。そのあとで気付いたんですけど、焼き肉のタレのCMで「ジャジャジャジャーン!」って歌うのがあるんですよ。
蒼井 先を越されていたと(笑)。
KATSU あぶねー!って(笑)。
atsuko すみません、そんな笑い話ばっかりで(笑)。
蒼井 atsuko姐さんの歌い方のバリエーションもすごいじゃないですか。Aメロはすごくかわいらしくて、Bメロに入ったらオペラのような歌い方になって、サビは“angela節”という感じで。
atsuko 歌のテンションはけっこうがんばりましたね。持って生まれた声質ってあるじゃないですか。
蒼井 ありますよね。
atsuko 私は声質が太めなので、どうしても明るくポップな曲よりも、ダークめの曲に合うんです。いつものように歌うと明るい曲でも暗さが出てくるというか、破滅の影が見え始めるので(笑)、それを感じさせないテンションに持っていって歌うようにがんばった部分はあります。
──でも2017年にリリースされたTVアニメ「アホガール」のオープニングテーマ「全力☆Summer!」以降は特に、angelaの明るくポップな部分も定着してきたように思います。
KATSU 確かに、アニメの制作サイドが頼んでくれたきっかけは「全力☆Summer!」だったみたいなんです。けどあの曲を求めているわけじゃなく、angelaさんの思う「はめふら」の曲を書いてもらいたい、というだけのリクエストで。そこからどういう曲にするか、キンクリの制作チームで話し合って決めたんですけど……本当は翔ちゃんがエンディングテーマで手がけた「BAD END」みたいな曲をやろうとしてたんですよ(笑)。
蒼井 え⁉
atsuko キングレコードさん的には多分こっちじゃなかったんだよね(笑)。この曲のデモを出したら「もうちょっとカッコいい感じの曲も」って言われて、トライしたんですけど、できなかったんです(笑)。最初に読んで、プロデューサーと話をして、帰ったその日に「さあ作ろう」って言って作った、そのときの感覚を出せてるこっちの曲のほうが、やっぱりいいなということになって。
KATSU 自分の中にある「はめふら」のイメージとそのカッコいい曲が、どうしても結びつかなくて。仮歌まで録ったんですけど、ここで疑問を持ったまま進めても、どこかで“破滅”するだろうなって。
蒼井 そんなことがあったんですか。
KATSU でもangelaができなかった“カッコいい曲”の部分は、見事に翔ちゃんがエンディングで回収してくれたので、本当によかったです。