AKB48の通算50枚目のシングル「11月のアンクレット」がリリースされた。タイトル曲は年内をもってグループを卒業する渡辺麻友が最後にセンターを飾るナンバーで、初選抜入りの4名を含む全28名が参加している。
音楽ナタリーでは、10月末に埼玉・さいたまスーパーアリーナで渡辺の卒業コンサート「渡辺麻友卒業コンサート~みんなの夢が叶いますように~」が行われた翌日、渡辺麻友と柏木由紀の2人にインタビューを実施。デビュー11年目となるグループ3期生であり、チームBの仲良しコンビ“まゆゆきりん”としても知られる2人に、渡辺の卒コンを終えた心境を聞くと共に、活動年数にちなんで11個の質問を投げかけた。渡辺が“王道アイドル”としての地位を築き上げることができた理由や、グループ内で現役最後の3期生となる柏木に今の率直な思いを語ってもらいつつ、「アイドルとは何か?」についても答えてもらった。
取材・文 / 小野田衛 撮影 / 藤田二朗
感情があふれた卒コンから一夜明けて
──昨日は本当に素敵な卒業公演でした(参照:渡辺麻友「AKB48の未来は明るい」新たな船出を飾った卒業コンサート)。最後は天使をモチーフにした演出でステージの天井間際まで舞い上がっていきましたが、すさまじい高度で怖くなかったですか?
渡辺麻友 リハのときは、ものすごく怖くて泣きそうになっていました。だけど、不思議と本番ではアドレナリンがめっちゃ出ていたみたいで、むしろ気持ちよくなっちゃって。
──百戦錬磨の渡辺さんでも、昨日のステージに上がる前は相当緊張したのだとか。
渡辺 五感を失ったと言うか、生きた心地がしないと言うか、取り乱していたと言うか……正直、自分では緊張しているかどうかもわからないくらいでした。「どうしよう?」っていう考えだけが頭の中をグルグル回るんですけど、もう今さらどうしようもないじゃないですか。それでステージに上がった瞬間……気が付いたら嗚咽を漏らしていました。感情よりも先に、抑えきれない量の涙があふれ出てきていました。初めての経験でした。
柏木由紀 本番の何十分か前、一緒に写真を撮ったときはそこまで追い詰められていると思わなかったんですけどね。もちろん卒業コンサートだから緊張するのは当たり前なんだけど、1曲目「初日」を歌う様子を見て「えーっ!?」って驚いちゃって。たぶん緊張感だけじゃなかったと思う。
渡辺 うん、違った。
柏木 もっといろんな感情がごちゃ混ぜになると言うか……そのへんは経験した人じゃないとわからないんだろうけど。
渡辺 それこそ“言葉にできない思い”だよ。「私って、こんな感情を持っているんだ!」って自分が自分にビックリする状態で。
──コンサートの中でも最大の山場は、盟友・柏木さんから渡辺さんへ手紙が読まれた場面でした。これは、どういった経緯で?
柏木 麻友の卒業が決まってから、どこかのタイミングでお手紙は渡したいと思っていたんです。というのは、今さら面と向かって「ありがとう」とか感謝の気持ちを伝えるのも照れくさい間柄だから、これはもう文章にするしかないと思っていて(笑)。それで何回か手紙を渡すチャンスはあったんですけど、どうせなら一番大きな場所で渡したほうがいいじゃないですか。麻友にとってもファンの方にとっても、特別な日ですしね。
渡辺 こっちは何も知らされていなかったから、オロオロしちゃいました。あのタイミングで、ゆきりんからの手紙なんて、100%泣くやつじゃないですか。「おいおい、勘弁してくれよ!」って思いましたから(笑)。それで案の定、ボロ泣きしちゃって……さっき、手紙の現物をいただきました。大切に保管します。だって考えてみたら、付き合い自体は長いけど、手紙をもらうなんて初めてだったし。LINEで長文とかもしないよね?
柏木 全然しないねー。手紙に関して言うと、実は私が麻友からもらうパターンは過去に2回くらいあったんです。生誕祭のときとか番組の企画とかに。逆に私から書いたことは1回もなかった。そこで今回、とうとう満を持して渡したというわけです(笑)。
渡辺 いや、でも本当にうれしかったです。内容にも心がこもっていて。
ものすごくかわいい、だから切ない
──昨日のコンサートでは最新シングル「11月のアンクレット」、それに渡辺さんの卒業ソング「サヨナラで終わるわけじゃない」も初披露されました。
渡辺 私にとって最後のシングルが、グループにとっても50枚目の記念すべきシングルということで、ちょっと運命的なものを感じてしまいます。ここでAKB人生を終えることができて光栄です。「11月のアンクレット」はメロディも美しく、切なさがあふれている感じ。私個人としても、ここ最近のAKB48楽曲の中で一番好きです。
柏木 音楽自体ももちろんだけど、衣装も振付も世界観も麻友にぴったり合っていると思うんです。とにかく重要なのは、「麻友がものすごくかわいい」ということ。MVも麻友が一番かわいい状態で撮れているし、だからこそ「こんなかわいいのに……」って卒業していなくなってしまうことが切ないんです。これは麻友じゃないと成立しない曲だと思う。
渡辺 「サヨナラで終わるわけじゃない」は、秋元康先生から歌詞をいただいた時点で衝撃を受けました。事前に打ち合わせをしたわけじゃないのに、私の気持ちがそのまま書かれているんです。「改めてすごい人なんだなあ」って感動しましたし、卒業にあたって大きな宝物をいただいた気がします。
柏木 昨日は麻友がこの曲を歌っているところを、同期の子たちと一緒に観ていたんです。3期生の中で、今もAKB48に残っているのは麻友と私だけ。すでに卒業した子たちは「今まで本当にお疲れ! 早くこっちにおいでよ」って感じで、麻友を迎え入れる体勢でいるんです。一方で私は1人だけ取り残される感じだから……いろんなことを考えてしまいました。誰よりも切なくこの曲を聴いていたと思う。
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11年目のまゆゆきりんに向けた11の質問
- AKB48「11月のアンクレット」
- 2017年11月22日発売 / キングレコード
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Type A初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90511~2 -
Type A通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-511~2 -
- CD収録曲
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- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 思い出せてよかった / STU48
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 思い出せてよかった(off vocal ver.)
- DVD収録内容
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- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
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Type B初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90513~4 -
Type B通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-513~4 -
- CD収録曲
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- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 生きることに熱狂を! / Team 8
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 生きることに熱狂を!(off vocal ver.)
- DVD収録内容
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- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
-
Type C初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90515~6 -
Type C通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-515~6 -
- CD収録曲
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- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 微笑みの瞬間 / 7秒後、君が好きになる。
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 微笑みの瞬間(off vocal ver.)
- DVD収録内容
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- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
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Type D初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90517~8 -
Type D通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-517~8 -
- CD収録曲
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- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 野蛮な求愛 / ダンス選抜
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 野蛮な求愛(off vocal ver.)
- DVD収録内容
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- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
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Type E初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90519~20 -
Type E通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-519~20 -
- CD収録曲
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- 11月のアンクレット
- サヨナラで終わるわけじゃない(※渡辺麻友卒業ソング)
- 法定速度と優越感 / U-17選抜
- 11月のアンクレット(off vocal ver.)
- サヨナラで終わるわけじゃない(off vocal ver.)
- 法定速度と優越感(off vocal ver.)
- DVD収録内容
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- 新曲3曲のミュージックビデオを収録
- 50thシングル表題曲選抜メンバー
入山杏奈、岡田奈々、岡部麟、小栗有以、柏木由紀、加藤玲奈、小嶋真子、高橋朱里、峯岸みなみ、向井地美音、横山由依、渡辺麻友、小畑優奈、須田亜香里、松井珠理奈、白間美瑠、山本彩加、山本彩、吉田朱里、兒玉遥、指原莉乃、田中美久、松岡はな、宮脇咲良、荻野由佳、北原里英、中井りか、瀧野由美子
- AKB48(エイケイビーフォーティエイト)
- 秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べば毎日会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で毎日ステージを行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年1月には初のドキュメンタリー映画「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」が公開。同年8月には「AKB48 22ndシングル 選抜総選挙」での上位21名が歌う22ndシングル「フライングゲット」をリリースし、発売初日に100万枚を売り上げたことでも話題を集めた。以後、10月に東日本大震災復興応援ソング「風は吹いている」などでミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。また2009年から年に1回、シングル曲のメンバーをファン投票によって決める「AKB48 選抜総選挙」を行っており、2013年の「恋するフォーチュンクッキー」では指原莉乃が、2014年の「心のプラカード」では渡辺麻友が総選挙1位としてセンターを務めた。2017年8月に49thシングル「#好きなんだ」をリリースし、11月に50thシングル「11月のアンクレット」を発表。最新シングルでは2017年内をもってグループを卒業する渡辺麻友がセンターを務めている。