コミックナタリー Power Push - 伊坂幸太郎 / 大須賀めぐみ「Waltz」

オリジナル原作×マンガの方程式

伊坂幸太郎の小説世界を大胆に再構築した「魔王 JUVENILE REMIX」を代表作に持ち、気鋭のコミカライズ作家として注目を受けている大須賀めぐみ。ゲッサン(小学館)にて現在連載中の「Waltz」は「魔王 JUVENILE REMIX」の登場人物・蝉を主人公としたスピンオフ作品で、伊坂が同作のために書き下ろしたオリジナルストーリーが展開されている。

オリジナル作品とはひと味違う、原作とマンガの関係性が織り成すコミカライズの魅力にコミックナタリーは注目。今回の特集のため大須賀が初イラスト化した、伊坂小説のキャラクタービジュアルを公開するとともにイラスト化のポイントを大須賀自身にセルフ解説してもらった。さらに最新作「Waltz」の制作工程について訊き、コミカライズの真髄に迫る。

取材・文/淵上龍一 編集・撮影/唐木元

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コミカライズ実践編。あの伊坂キャラを初イラスト化

──今日はコミカライズの方法論とその実際についてお話しいただけるということで、キャラクターイラストを描いてきてくださったんですよね。

「魔王 JUVENILE REMIX」「Waltz」には、伊坂先生のいろんな小説のキャラクターを登場させてきたんですが、せっかくなので今まで描いたことのないキャラクターを描かせてもらいました。

──初イラスト化のキャラクターということですね! では絵を見ながら、各キャラクターのポイントを解説お願いします。


警察官なのに残忍な性格をした、ゆがみなく悪いやつ。表情からそれが伝わればいいな、と。カップルを拉致してボコボコにして、男性のほうに「女を好きにしていいと言え。そしたらお前だけは助けてやる」と言ったりするような意地悪さは、恐ろしいけど魅力的なんですよね。「魔王 JUVENILE REMIX」にも機会があれば登場させたいと思っていました。


男性と格闘して勝つなど、武闘派なイメージがあるのでクンフーのポーズを……。実際の小説では別に拳法を使ったりとかはしていません(笑)。アクティブな女性なので、スカートのスリットも叶姉妹ぐらいがっつり入れてみようかと。アホ毛は、アシスタントさんの提案を採用しました。


城山と同じく「オーデュボンの祈り」のキャラクター。長髪で、丸机に銃を置いているという小説の描写は忠実に再現しました。ファッションとか人目とか全然気にしないタイプだと思うので、シャツのボタンは1個しか留めていなくて(笑)。ズボンもズルズル。他の人がやったらだらしなく見えても、この人がやったらOKみたいな、人間離れした美貌をもった人という印象で描きました。

伊坂幸太郎/大須賀めぐみ「Waltz」(1) / 2001年3月12日発売 / 460円(税込) / 小学館ゲッサン少年サンデーコミックス / ISBN:978-4-09-122226-8

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あらすじ

街を彷徨う、名もなき、若き殺し屋。孤独な彼の前に現れた「岩西」と名乗る男は、彼を「蝉」と呼んだ。
今、最も注目される小説家、伊坂幸太郎の原作「魔王」を大胆にコミカライズした前作「魔王 JUVENILE REMIX」からさかのぼること数年前。あの人気キャラクター、蝉と岩西の出会いを描く、殺し屋たちの円舞曲!!

大須賀めぐみ(おおすがめぐみ)

プロフィール写真

12月21日生まれ。千葉県出身。2002年、少年サンデーR増刊(小学館)にて「トンパチ」でデビュー。2007年、週刊少年サンデー(小学館)にて伊坂幸太郎の小説「魔王」を少年向けにアレンジした「魔王 JUVENILE REMIX」で連載デビューした。