コミックナタリー Power Push - 「タブー・タトゥー」

LOVE無駄口!吹き出し外の書き文字が熱い 王道少年マンガに込められたB級のこだわり

残酷な現実から目を背けない少年マンガ

──一方でバトルシーンはかなり迫力があります。先ほどもちょっと話題に出たように、内臓が飛び出るような強烈な表現も多いです。

真じろう これもB級映画的な好みが出ています。ホラーやスプラッタはB級の宝庫なんですよ。それと、作品のテーマ的にも多少グロい部分があったほうがいいかなと。「キツい現実から目を背けない」というのは意識している部分なので。だから、主人公のセーギが敵にやられたらちゃんとボコボコになるし、血が出るし、内臓が飛び出ることもある。そういう部分はごまかさず、きちんと描きたいなと思っています。

編集長 「力がなければ負けてしまう」というテーマは、最初から意識して描いてますよね。セーギが最初に力を手に入れる場面も、負けそうなときに父の話を思い出して覚醒するという流れ。その力をどう使うかで悩みながら成長していく。実にまっとうな少年の成長物語。その点が唯一の少年マンガらしさ(笑)。

戦いの最中に瀕死となり「欲しいもんがある時は手を伸ばすんだ」という父親の言葉を思い出すセーギ。このフラッシュバックをきっかけに、呪紋の能力が覚醒する。

──「力がなければ負けてしまう」というのは確かにこの作品で印象的なところです。主要キャラクターもあっさり死んでしまったりする。

真じろう セーギたちがちゃんと絶望を感じるような話を入れないとなと思っていて。

編集長 「殺すな!」って伝えたこともあるんですよ。当時の担当者に、それはやめておこうってかなり強く。でも、反映されなかった(笑)。

──そういうのって編集長として最終的にNGを出したりはしないんですか?

編集長 話が破綻していたり、ブレていたら止めます。でも破綻していない以上は、作家さんの描いたものを通しますよ。

──本当に自由にやっているんですね。その結果、「タブー・タトゥー」は約6年半とアライブの現役最長連載になっています。

真じろう 掲載誌を意識したのは本当に最初の頃に少しだけでしたね。あとはフリーダムです(笑)。

テレビアニメ「タブー・タトゥー」ティザービジュアル。

編集長 アライブの本流とは、やっぱり違う作品ではあります。でも、それに抗い続けて長期連載になっている。それは本当にすごいことだと思っています。雑誌っていうのは「雑」というくらいですから、いろいろなものが入っているのが本質。そして、そこから何かヒット作が生まれて、雑誌全体を変えてしまうこともある。「タブー・タトゥー」もそういう可能性のひとつですよ。

──アニメも始まり「タブー・タトゥー」がどのようなうねりを見せていくのか、目が離せませんね。物語のほうも、いよいよクライマックスですし。

真じろう ラストの構想はほぼできあがっています。ただ、そこへ辿り着くまでの過程はまだ悩んでいる部分がありますね。

編集長 その辺は僕も読者として楽しみにしています。まだいろんな展開が考えられますから。

──楽しみですね! 本日はありがとうございました。

テレビアニメ「タブー・タトゥー」
「タブー・タトゥー」
赤塚正義(ジャスティス)、通称セーギの掌にはタトゥーがある。ただのタトゥーではない。時空を歪め、「無」を創り出すことで周囲に壊滅的なダメージをもたらす特別な兵器──「呪紋」。セーギはエージェントの少女・イジーの任務である呪紋の回収を手伝うことになるのだが──!? セーギが巻き込まれる国家間の陰謀と、呪紋に秘められた大きな謎を描くアクション巨編!
放送情報
  • テレビ東京:毎週月曜26:05~放送中
  • BSジャパン:毎週土曜24:00~放送中
  • AT-X:毎週水曜24:30~放送中
  • 原作:真じろう(月刊コミックアライブ連載)
  • 監督:渡部高志
  • アニメーション制作:J.C.STAFF
真じろう(シンジロウ)
真じろう

月刊コミックアライブにて「タブー・タトゥー」を、ヤングエース(ともにKADOKAWA)にて「Fate/Zero」を連載中。そのほか「ゾディアックゲーム」全4巻がマッグガーデンより刊行されている。