コミックナタリー Power Push - 週刊少年サンデー

「ハガレン」の荒川弘、新作は学園青春もの! サンデーの血脈を見せつける、春の新連載攻勢

サンデーのいいところも悪いところも理解している

──失礼な質問かもしれませんが、部数が落ち続けているこのタイミングで編集長になるというのは、辛くないですか? イケイケの時期にやるのとはちょっと違うと思うのですが。

逆に、私はこの苦しい時期に編集長になってよかったと思ってますよ。新しいことがいろいろできる。調子いいときなら控えていたことも、今なら「面白いからやっちゃおう!」と言えるし。それと、20年近く(サンデーに)いるので、サンデーのいいところも悪いところもよく理解しているって自信はあるんでね。そこを活かして勝負していきたい。

──20年は長いですね。新卒からサンデー配属ですか?

最初は4年間はビッグコミックに。そのあと、92年かな、サンデーに異動して、それ以来ずっとですね。藤田和日郎さんの「うしおととら」が最初の担当作品でした。

──ほかにはどんな作品を担当されましたか。

僕が(作品を)立ち上げたわけじゃないですけど、大きな作品では「名探偵コナン」とか「犬夜叉」とかやらせてもらってます。あとは……本当、長いんでね。いま中核となってもらってる作家さんたちはひととおり担当してますね。長いだけなんですよ、僕(笑)。

──いやいや。時流に則すのが大事とおっしゃいましたが、そのバックボーンには20年積み上げてきたDNAがあるということですね。荒川さんがサンデーを選んだ理由も、そのあたりが合致したからではないでしょうか。

本当にそうだと思います。別にお金で引っ張ってきたわけでもないし、別にもうお金で動くような人でもないですしね(笑)。サンデーらしい魅力のある、荒川さんにとっても新しい作品が生まれてくるんじゃないかなと確信しています。

他にも注目作が目白押し! 春の新連載ラインナップ

ランウェイを☆プロデュース!!

14号(3月2日発売)スタート / ランウェイを☆プロデュース!! / あらいきよこ

東京ガールズコレクションとのコラボでファッションの世界を描く!
サプライズ満載のイベントプロデューサー物語。

東京ガールズコレクションという、すごくパワーのある流行の最先端を題材にしたマンガです。女性の世界の話なので女性のマンガ家さんがいいんじゃないかと、過去にモデルの話を描いたこともあるあらい先生にもちかけました。女性読者を意識したというわけではなく、とにかくいま世の中で話題になっているものをマンガに取り込んでいこう、という動きの第1弾ですね。

ポケットモンスター RéBURST

15号(3月9日発売)スタート / ポケットモンスター RéBURST / シナリオ:楠出尽/作画:田村光久

ポケモンとともに旅に出た主人公リョウガの冒険。
そのポケモン世界はいまだかつてないものだった──。

©2011Pokémon. ©1995-2011 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは、任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

ポケモンなんですが、ポケモンとは違うんです(笑)。とにかくビックリすると思いますよ。ポケモンさんとは3年ほど前から企画を温めていたのですが、けっこうハードルは高かったです。「せっかくサンデーでやるなら、既存のポケモンの延長じゃ意味がない」という気持ちでは合意していたんですが、でもズレすぎると「ここまで変えたら問題でしょう」というせめぎ合いがあって。僕らには少年誌の伝統として「主人公が自分で血と汗を流さないと」っていう世界観があるので、それをどうやったらポケモンで実現できるか、長い時間じっくり話し合って形にしました。

 BUYUDEN[武勇伝]

16号(3月16日発売)スタート / BUYUDEN[武勇伝] / 満田拓也

世界は拳ひとつで変わる!
ボクシングの世界に飛び込んだ少年の姿を描く。

満田さんの描くマンガって、どんなに遠回りや損をしても、最終的に自分が行き着きたい場所、ベストなものを目指して走っていく世界なんです。いまの風潮としては、そんな損をするくらいなら、ちょっとマシなほう、ベターを選ぶほうが主流だと思うんですが。ただベストを目指す物語を描こうとすると、普通はある種の怖いキャラクターになりがちなんですが、満田さんが描くと、どこか柔らかくて親しみがあるキャラクターになる。それが満田さんの魅力だと思うし、サンデーのDNAでもあると思うんです。

おすもじっ! 司の一貫

17号(3月23日発売)スタート / おすもじっ! 司の一貫 / 原作・構成:鹿賀ミツル / 作画:加藤広史

伝統息づく京都の町を舞台に、鮨に賭ける少女と少年のジュブナイル

編集長になったときからグルメマンガをサンデーでやりたいと思っていて、2年も掛かってしまったけれど、ようやく始められます。第1弾のテーマは寿司職人で、いわゆる成長ものとアイデア料理ものの両方が入っている感じ。取材もかなりしたので、相当うんちくも入っています。今後も料理マンガはいくつか始まると思いますが、まずは1本。

週刊少年サンデー vol.19 / 2011年4月6日発売 / 小学館 / 特別定価270円

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連載ラインナップ

新井隆広「ARAGO」/渡瀬悠宇「アラタカンガタリ~革神語~」/険持ちよ「怪体真書Ø」/若木民喜「神のみぞ知るセカイ」/高橋留美子「境界のRINNE」/佐々木健「KING GOLF」/ひらかわあや「國崎出雲の事情」/田辺イエロウ「結界師」/藤田和日郎「月光条例」/西森博之「鋼鉄の華っ柱」/寒川一之「最後は?ストレート!!」/入江謙三取材・原作 橋口たかし作画「最上の明医~ザ・キング・オブ・ニート~」/松江名俊「史上最強の弟子ケンイチ」/福田宏「常住戦陣!! ムシブギョー」/椎名高志「絶対可憐チルドレン」/小林裕和「戦国八咫烏」/尹仁完原作 梁慶一作画「DEFENSE DEVIL」/藤木俊「はじめてのあく」/畑健二郎「ハヤテのごとく!」/田中モトユキ「BE BLUES!~青になれ~」/楠出尽シナリオ 田村光久作画「ポケットモンスターRéBURST」/大高忍「マギ」/青山剛昌「名探偵コナン」/あらいきよこ「ランウェイを☆プロデュース!!」/満田拓也「BUYUDEN[武勇伝]」/鹿賀ミツル原作・構成 加藤広史作画「おすもじっ! 司の一貫」/荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」