コミックナタリー PowerPush - 冨明仁「ストラヴァガンツァ-異彩の姫-」

花も恥じらう鉄仮面ヒロイン ジェントル・エロスの新境地

鉄仮面で頭を覆った美少女、という型破りなヒロイン像を打ち出した「ストラヴァガンツァ-異彩の姫-」。個性派作品が揃うハルタ(KADOKAWA エンターブレイン)においても、そのビジュアルは異彩を放っている。 コミックナタリーでは単行本3巻が2月14日に発売されることを記念して、作者の冨明仁にインタビューを敢行。仮面に込められたテーマと、重厚なファンタジー世界への思いを語ってもらった。

取材/唐木元 文/淵上龍一

人前で素顔を見せない、鉄仮面の女王ビビアン

仮面の女王ビビアン

「ストラヴァガンツァ-異彩の姫-」の主人公・ビビアンは、森の奥深くにたたずむ平和な王国・オーロリアを統治する女王。常に鉄仮面を着けており、その素顔を知る者は城内にわずかしかいない。
それはすなわち、仮面を外せばビビアンが女王とわかる者はいないということ。市民の少女クラリアに変装し、時にはこっそりとお城を抜け出すことも。物語は彼女がお忍びで出かけた山中で、凶暴な猿・ウンバに襲われたことから転がり始める。

喜怒哀楽が浮かぶ無表情な仮面

鉄仮面という無骨な外見とは裏腹に、ビビアン自身はお茶目な少女。侍女と一緒におふざけをしたり、舞踏会で華麗なダンスを披露したり、ときには子供に泣かれ傷つくことも。ここでは彼女の人間味が冷たく無表情な鉄仮面から溢れ出すシーンを集めてみた。

  • 喜び仮面
  • 怒り仮面
  • 悲しむ仮面
  • 楽しい仮面
  • 誇らし仮面
  • 怯え仮面
  • お願い仮面
  • イタズラ仮面

試し読み「ビビアンと6人の侍女」

女王のビビアンには、6人の侍女が仕えている。彼女らは女王の世話係を務めるだけでなく、時にはビビアンと一緒にイタズラをすることも。1巻収録の第4話では、侍女たちに鉄仮面をかぶせ女王が7人になる珍エピソードからビビアンの日常が垣間見える。

冨明仁インタビュー、鉄仮面女王の誕生秘話を語る

試し読み「ビビアンと6人の侍女」

冨明仁「ストラヴァガンツァ-異彩の姫-」3巻 / 2015年2月14日発売 / 670円 / 株式会社KADOKAWA
あらすじ

民に、友に、自らに――ビビアンは誓う。愛する国を守り、甦らせることを!
巨森族の助けを借り、ミテラは復興への一歩を踏み出した。だが一方で、ウンバ狂乱の謎は解き明かせぬまま、深まっていくばかり。愛する国と民のため、仮面女王ビビアンは“彼女にしかできない”大胆な行動に出る……!豊かな画力で繰り広げられる戦闘群像劇、第3巻。物語はついに核心へ!

冨明仁(トミアキヒト)
冨明仁

東京都生まれ。2006年、コミックビームFellows! vol.2(エンターブレイン)掲載の読切作品「もっと もっと…!」でデビュー。2008年、Fellows! vol.1にて初連載「彼女の彼」を開始。以後、精緻なだけでなく美しく温かみのある人物・背景描写で読者を虜にし続ける。「玲瓏館健在なりや」全2巻、短編集「柔らかい女」「艶やかな女」の単行本4冊を刊行しており、現在ハルタ(KADOKAWA エンターブレイン)にて長編作品「ストラヴァガンツァ -異彩の姫-」を連載中。