神威は小野くんの初めての部分が出ている（浪川）

──浪川さん、小野さんも、ご自身とキャラクターの共通点や共感できるポイントはありますか？

浪川　僕自身が有馬のキャラクターの全貌をまだ掴めていないんですよね。有馬ってろくろや紅緒の味方のはずなのに、2人が嫌がることをしてみたりと、いろんな顔を持っているので、どういうふうに演じればいいのか、最初はちょっと悩んでいたんです。自分の中で最初に有馬の声をいくつか想像してみて、どうしようって。ただ演出の方から「できるだけぶっ飛んだ感じを出してほしい」と、声の高さも指示されたので、そこから役作りを始めて。あと有馬の顔芸が好きですね。

石川・小野　ははは（笑）。

浪川　小野くんは神威に共感できるところとかあるの？

小野　うーん、神威は紅緒の親の仇ですからね。

浪川　なかなか難しいよね、あのキャラに共感するっていうのは（笑）。

小野　そうなんですよね（笑）。神威って相手が熱い言葉をぶつけてきても、「スン」っていなすようなキャラクターなんですよ。「相手と情報を交換する」っていう意味での会話は成り立っているけど、「相手と感情のやり取りをする」っていう意味では会話の体をなしていない。これまで僕が演じさせていただいたキャラクターって、熱さに対して熱さで返すようなキャラが多かったんです。だから神威は演じていて今までにない引き出しを開けてもらっている感じがしますね。

浪川　俺、2回くらい収録で小野くんと一緒になっているけど、小野くんの初めての部分がすごく出てるよね。普段やらないような芝居だし、「何を考えているのか全然わからない」っていう神威のキャラクター性が出てる。

小野　正直僕も神威を演じる上で、どういうテンションで行くのか決めあぐねていた部分があったんです。その中で何パターンか試したうえで、あまり抑揚のない、今の神威になりました。ただ単に棒読みになってしまわないように演じさせてもらっています。

石川　僕はまだアフレコで小野さんと一緒になったことがないので、今後の展開で士門と神威が戦うようなことがあれば楽しみです。

アフレコ中に花江くんが呪われた（小野）

──アフレコ中の印象に残っているエピソードはありますか？

小野　あります。実は僕、今日もアフレコだったんですけど、そのときに花江くんが呪われたんですよ。

石川　えっ、なんですかそれ。

小野　隣に座っていた花江くんが、突然椅子から跳ねて。「花ちゃん大丈夫か？」って聞いたら「えっ、何が？」って言うんですよ。僕しか見ていなかったら見間違いってことで済むんですけど、ほかにも見ていた人がいたので、花江くんに穢れがついたのか!?なんて……。実は、花江くんの座っていたところが冷房が直撃する席だったんですが、プルって震える動作が、体が浮くぐらい大きくなっちゃったっていう……。

浪川　時間ないのにすごいどうでもいい話したな（笑）。

小野　（笑）すみません。石川くんは？

石川　僕は基本的にアフレコ中、大人しいからなあ。

浪川　いやいや、存在感あるでしょ。沢城みゆきが演じているすばるっていうキャラクターが京都弁で話すんですが、現場に京都弁をしゃべれる方が指導に来てくれているんですね。その京都弁を聞いた瞬間、耳コピしてそのまましゃべってるのを見ると、流石だなって思います。僕なんか標準語ですら上手くしゃべれないのに。

石川　はは……そんなことないですよ。

浪川　そこ苦笑いしてないで、もうちょい早めにフォローしてくれる？（笑）

ダイナミックな原作に、役者のパワーを乗せる（小野）

──石川さんはキャスト発表時のコメントで「作品内で全力で呪文を唱えられることが嬉しくてたまりません」と仰っていましたが（参照：アニメ「双星の陰陽師」オリジナルキャラ役に福山潤！浪川大輔らも出演）、実際に劇中で呪文を唱えながらバトルをしてみていかがでしたか。

石川　まだアニメで士門が戦っているシーンはさわりくらいなので、呪文も短いものなんですけど、めちゃくちゃ唱えづらかったですね。ただ強い呪文ほど長くなるというか、唱えづらくなってくるとは思うので、そこはやりがいのひとつだと思いますね。

小野　「双星の陰陽師」の戦いって描かれ方がダイナミックなので、その分、役者も負けじと声を張り上げてぐわっと出す部分が多々あるんですよ。それがパワフルだし魅力的ですよね。アニメでは元々力強い原作の絵柄に役者のパワーが乗っかるので、バトルの魅力がより際立っているんじゃないかと思います。

浪川　先ほども言いましたが、この作品って原作からして濃いめで、すごく立体的に感じられる作品だと思うんです。原作を読むときって、皆さん自分のペースでページをめくるわけじゃないですか。でもアニメだと完全に作り手が決めたペースで観てもらうことになるので、その中で「こういう見方ができるんだ」という新しい発見だったり、新しい解釈を持ってもらえるとうれしいですし、そうなるように演じています。