コミックナタリー Power Push - 「恋するアプリ」

本当の“好き”が、アプリで測れたら? 「ラブアラーム」で翻弄される青春ラブストーリーを作者が語る

Webtoonは編集部の干渉が少ない

──先生は長く紙媒体で活躍されていましたが、近年はWebにその舞台を移されています。新しいチャレンジに踏み切った理由はなんですか。

Webtoon()が急速かつ爆発的な成長を遂げたので、紙マンガからの移行は自然な流れでしたね。私以外にも、紙からスタートして今はWebで活躍してる作家さんがたくさんいますし。

──紙と違うと感じるところは?

作家の立場からすると、Webtoonは紙のマンガより編集部の干渉が少ないと思います。だから結構自由にやらせていただいている感じです。思いっきりページ数を増やしたり、コマとコマの間に空白を入れたりするのは紙では想像もできないことだったんですが、今はそのあたりを自分自身で決められるようになりました。

──紙より制限がない分、編集部の関わり方も違うんですね。

読者との関わり方も違いますね。出版社では作家と読者の間に編集部が存在するんですが、Webtoonは作家と読者の距離がもっと近いんです。以前は読者の反応も編集部を通して聞いていたので明確に知ることが難しかったんですけど、今は誤字脱字や間違った内容があれば読者が指摘してくれたりして。反応が非常に早いですし、明確ですね。

ジョジョが最後にする選択は

──話をストーリーに戻しますが、ジョジョとヒカルはどうなるのか、と気になる読者も多いのではと思います。

「恋するアプリ」第10話より。モト君と付き合っているジョジョに、ヒカルがキスしようとするシーン。

ジョジョはヒカルと結ばれるのか、または玲と結ばれるのかが皆さん一番気になるみたいですね。そういった反応をいただければいただけるほど、「私、自分の仕事ができているな」って思います(笑)。ジョジョが最後にどんな選択をするのかが、この作品では重要なポイントですから。

──やっぱりジョジョは、先生にとってもお気に入りのキャラクターですか?

私はキャラクターに対して、愛情というよりも、完成度の高いストーリーを作ってくれる大事な要素だと感じているところがあって。だからジョジョ、ヒカル、玲の3人とも、私にとって一番大切な存在で、いつも彼らの心を理解しようと努力しています。

──そうなんですね。ラストの構想はもうすでに決まっているんでしょうか。

はい、ラストについては最初から明確に決めています。来年で連載終了予定なんですが、最後の最後まで気にしてもらいたいですね。物語のラストでジョジョは「私たちはなぜ人を好きになるのか」についての答えを見つけるはず。今教えられるのはここまでです(笑)。

いつか歴史マンガを描きたい

──では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

「恋するアプリ」第24話より。ジョジョがヒカルに別れを告げるシーン。

まず来年終了する「恋するアプリ」を、きちんと仕上げていい作品にするのが一番大きな目標です。これが終わったら次回作の準備に入ると思いますね。描きたいストーリーがたくさんあるので。

──精力的ですね。作品のアイデアはどこから湧いてくるのでしょうか。

アイデアがどこから生まれるのかは自分でもよくわかりません。ただ私が本気で好きなものを描くと、読者も好きになってくれるような気がします。音楽好きが転じて描いた「오디션(オーディション)」も、興味のあったIT技術を用いて描いた「恋するアプリ」も好評だと感じます。

──最近好きになったものはありますか。

日本のマンガだと、五十嵐大介さんの「魔女」が好きですね。原稿がうまく進まないときに、これを読むと頭が冴えるんです。あとは海外ドラマも好きで、アメリカのものをよく観ます。最近では、中国の「瑯琊榜(ろうやぼう)」というドラマがすごく面白かった! いつか、マンガで歴史ものを描きたいという夢ができました(笑)。

──その作品が日本でも読めるようになることを楽しみにしています。ありがとうございました!

Column「Webtoonってなに?」

──Webtoonってなんですか?

主に韓国で使われるマンガ分類のひとつ「Webtoon」は、「Web」+「Cartoon」の造語です。つまりネット上で読むデジタルマンガを指します。

──Webtoonの特徴はなんですか?

色表現の豊富さ
Webtoonはパソコンで制作するためカラーバリエーションが豊富で、キャラクターや背景の表現力が上がり、読者は視覚的な楽しみを得られます。
作家の自由度の高さ
Webtoonは紙面上の制約が少なく、編集者もいないことが多いため、連載期間や掲載量など作家の裁量で決められることが多く、作家の思い描く世界観に近い作品に繋がります。またBGMやエフェクト効果などを用いることで、視覚だけでなく聴覚にも訴え、読者の没入感を高める作品に仕上げることもできます。
読者と作家のコミュニケーションのしやすさ
Webtoonでは読者と作家間で、コメントなどを通じてコミュニケーションできます。読者のフィードバックがすぐ確認できるため、読者が望んでいることがわかり、今後の方向性の参考にする作家も。その好循環がコンテンツの質の向上に繋がり、読者に支持されるアマチュア作家が数多く生み出される構造を作りました。

──Webマンガが韓国で大人気って本当ですか?

韓国ではネット利用者の30%が2~3日に1回Webtoonを閲覧し、月間平均利用時間は370分。YouTubeの月間平均利用時間の145分を大きく上回ると言われています。メインの読者層は10代~40代。スマートフォンの普及により、スキマ時間に消費できるコンテンツとしてルールが簡単なカジュアルゲームとWebtoonが人気を博していると言えるでしょう。

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KYE YOUNG CHON「恋するアプリ」
KYE YOUNG CHON「恋するアプリ」

本物の「好き」という気持ちがわかるアプリ「ラブアラーム」に翻弄される男女の青春ラブストーリー。従姉妹の家に居候している主人公ジョジョは、恵まれない環境にも屈さず健気に毎日を送っていた。ある日、「ラブアラーム」のおかげで学校一の人気者・ヒカルと出会う。ジョジョはヒカルの強引な態度に惹かれるが、ヒカルと気持ちを確かめ合ったのもつかの間、自分の居場所を守るため、大好きなヒカルに別れを告げることに……。無料マンガアプリ・ピッコマで、毎週火曜日と金曜日に新エピソード公開。

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KYE YOUNG CHON(チョン・ゲヨン)
KYE YOUNG CHON

韓国を代表するマンガ家の1人。1996年、韓国の少女マンガ誌ウィンクの新人漫画公募展にて「탤런트(タレント)」で大賞を受賞しデビュー。1997年に発表した音楽マンガ「오디션(オーディション)」は爆発的な人気を得て、韓国の少女マンガの販売部数1位を記録した。1998年に初連載作「언플러그드 보이(アンプラグドボーイ)」をスタートさせ、人気を博す。2009年にWebマンガとして発表した「예쁜 남자(キレイな男)」は、2013年にチャン・グンソク主演でドラマ化。現在は韓国のDaum Webtoonにて「恋するアプリ」を発表しており、日本のピッコマでも連載中。