コミックナタリー Power Push - ハレルヤオーバードライブ!
ゲッサン発、バンドマンガの最新型はツーバス美少女とのハイスクールラブストーリー!
今年5月に創刊されたゲッサン発の単行本がいよいよリリースされる。第1弾となる5タイトルからコミックナタリーが注目したのは、バンド&ラブな高校生活を描いた「ハレルヤオーバードライブ!」だ。これが初連載となる気鋭・高田康太郎と担当編集者の星野文彦氏に、作品誕生の秘話から、音楽ファンの琴線をくすぐるディテール作りまで存分に語ってもらった。
取材・文・撮影/唐木元
等身大のバンドライフをやろう
──まずは初単行本のリリース、おめでとうございます。僕らナタリーは音楽ニュースサイトからスタートしたこともあり、バンドものの最新型として「ハレルヤ」には注目していました。
高田 ありがとうございます。僕自身、大学時代は軽音サークルでバンドやってたので、もともと描いてみたかったところにゲッサン創刊でお話をいただいて。
星野 編集部としては、ゲッサンのラインナップを考えてるときに文化部ものが絶対必要だって話があって、バンドマンガ欲しいね、と言っていたんです。じゃあ高田君バンド大好きだし来てくれ、と。
高田 それが創刊の1年くらい前ですね。
星野 最初やりとりしていたネームはちょっとギャグ寄りの、スーパースターが普通の高校生を巻き込んでバンドやってく、みたいのだったんです。でもそれがうまく転がらず、2人で話してたときに彼の大学時代のエピソードを聞いて。それで方向性が決まりましたね。
──そのエピソードというのは。
高田 いやその……当時、軽音サークルで好きな人がいまして。サークルの先輩に「お前明日告白しろ」とか強要されるんですよ、飲み屋で。でもベロベロになってしまって、その、おイタをしてルパン三世みたいな状況で警察のご厄介になり、先輩に迎えにきてもらって、それでも翌日告白したとかいう、まあしょうもない話ですよ。
星野 や、面白かったよ! 結局バンド関係ないんだけど、それが高田先生のバンドライフだったんだなー、と。だったら変にマンガ的なスーパースターだのやんないで、等身大な身の回りの話を描こうと決まったんです。例えば「タッチ」が野球マンガかと言ったら、野球はやってるけどあれは青春群像劇ですよね。それと同じで。
高田 だからプロを目指す、成り上がるみたいな話じゃなくて、小雨とハルさんの恋愛が軸で、そのために音楽に傾倒していくって流れなんです。
星野 登場人物も、けっこう実在のバンド仲間を登場させてるよね。
高田 ですね。当時サークルにいた学年が1個上の女の先輩が、ドラムを叩いてるんですけど、背がすごい低いんです。それでツーバス。
──まんまハルさんじゃないですか!
高田 ですね……まんまじゃないけど、モデルにはなってます。あと(サークルに)入ったばかりのとき、髪がツヤツヤですごいガタイのデカい人が部室に座ってたんですよ。こりゃ「この人絶対ドラムだな」と思い込んでたら実はベーシストでびっくりした、ってのもあって。
──鷹木部長ですね。作中ではベースじゃなくボーカルですが。
星野 そう。デブだからドラムって決めつけると怒られる(笑)。「その話面白いから使おう!」って盛り上がっていたら、高田先生から「ほんとは軽音楽部なんだけど、学校で禁じられてるから金属理科学研究部として活動してる。読みは“メタりか”ってどうすか?」ってアイデアが出て、「それいいよ!!」って即決でした。
あらすじ
「君は音楽の魔法を信じるかい?」サクラ舞い散る新学期。新入生の朝桜小雨は“リベンジ”のため、軽音楽部への入部を決意! しかしその高校には軽音部が存在しないという衝撃の事実が!!
悩める小雨がその時、目にしたのは…!? ボーイ・ミーツ・ガールなハイスクールバンドラブストーリー!!
高田康太郎(たかだこうたろう)
10月25日生まれ 愛媛県出身。2006年「ポテトシくんのユウウツ」で少年サンデーまんがカレッジ佳作受賞。2008年、週刊少年サンデー超増刊にて「ハリケーンハリケーン」でデビュー。ゲッサン創刊2号にて、「ハレルヤオーバードライブ!」で連載デビュー。