コミックナタリー Power Push - 大月悠祐子「ど根性ガエルの娘」

国民的人気作品の影で起きた家庭崩壊 実の娘が描く、父の苦悩と再生への道

「ど根性ガエルの娘の家族」からのメッセージ

  • 父(吉沢やすみ)

    自分がとんでもないことをやったっていうのは、わかってるんですけどね。マンガを読んで、軽い気持ちで「オーバーだね」って話したら「いや、もっとひどいこともあった」とかって言われて。自分のことが描いてあるんだけど、マンガとして読んだら面白いなと思ったんですよね。だから、なんでも描いていいよって悠祐子に言えたんですよ。

    考えたら悠祐子は10年以上マンガ家をやってるんだよね。旦那の大井くんもがんばってるし。僕のマンガ家生活ってのは「ど根性ガエル」の6年と、そのあとの2年間ぐらい。10年もやってないうちにダメになってしまった人間から言わせると、とにかく続けていくってことがすごいことだと言いたい。長く続けると絶対いいことがあると思うし。そういう面でもがんばってほしいね。

  • 母

    悠祐子がここまでマンガを続けてこれたっていうのは、やっぱり好きだったんだなって思うんですね。持ち込んでもダメだったし送ってもダンボールで送り返されるし、これで食べていくのは無理なんじゃないかって考えたことがあって。諦めて就職をしようと思った、そのときに仕事の依頼が入ってきて。運がいいというかなんというか。そこからは本当に狂ったように描いて「私は、やっぱりこれで食べていきたい!」って言って。仕事を取ったら何も残らないってわけじゃないんですけど、悠祐子にはマンガしかないと思います。

  • 弟

    姉の描いたマンガの中で「ど根性ガエルの娘」が一番面白いです。反応は良かれ悪かれ……心(感)が揺さぶられる(動)人が多くいると思います。

    姉は正面から家族とぶつかり、よけるのが下手で、逃げずに、逃げ方もわからずに、バカ正直にマンガを描き続けてました。マンガ家になれて、自分を出せる場所ができてホント良かったね。

大月悠祐子「ど根性ガエルの娘(1)」 / 2015年11月27日発売 / 1080円 / KADOKAWA
「ど根性ガエルの娘」

日本のすべての家族に贈る、感動の一家再生物語。
アニメ化もされ、日本のお茶の間をにぎわせた名作マンガ「ど根性ガエル」。
その著者・吉沢やすみの実娘が描く、家族の再生物語──。
「ど根性ガエル」の連載終了後、極度のスランプに陥った著者の父・吉沢やすみ。仕事を放棄し、ギャンブルにのめり込む父によって、家族は崩壊していく。
──だが、妻の文子だけは夫を信じていた。
愛する妻の支えを得て、すこしずつ、一歩ずつ、ドン底から再生していく家族の姿を、実の娘・大月悠祐子が描きだす。

大月悠祐子(オオツキユウコ)
大月悠祐子

旧ペンネームはかなん。2001年頃よりブロッコリーの「ギャラクシーエンジェル」シリーズのキャラクター原案、およびマンガ版の作画を担当。2011年から2012年にかけて、電撃大王ジェネシス(アスキー・メディアワークス)で連載された偏愛オムニバス「妄想少年観測少女」では、男女の恋愛の機微を鮮烈に描く新たな一面を発揮し、注目を集めた。

「ど根性ガエルの娘の夫」大井昌和より

大月悠祐子の夫は、実は「ちぃちゃんのおしながき」「おくさん」などを代表作に持つマンガ家・大井昌和。妻・大月と義父・吉沢やすみの関係を見守ってきた彼に「ど根性ガエルの娘」の舞台裏を描き下ろしてもらった。