「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。」|イタかわいい男子たちの“NAKAYOSHI FOREVER”を積み重ねた先に見えたもの

かまってちゃんも被害妄想キャラも、実は自分の一部

──花鳥、小雪、月宮の3人は、作品の誕生と同時に生まれたキャラだったというお話でしたが、ひびきや最上はどのようにして生まれたのでしょう。

あとから出てくるキャラに関しては、小雪とどう絡めば新しいツッコミが生まれるかなというのを軸にイメージを膨らませて、それをビジュアル化していく感じです。ひびきはかわいい後輩ポジションのキャラが描きたくて、ですね。

──なるほど。ひびきの魅力はどんな部分?

第38話より、みんなに愛してもらえないと嘆くひびき。

すぐ泣いちゃうところとか(笑)。彼も話が進むごとに性格が少し変化していて、だんだん自分がかわいいんだってことに目覚めて、あざとくなってきちゃいました。でも、そんなあざとさも私は気に入っています。

──見た目にもかなり特徴のあるキャラですよね。

レトロっぽい少年服が好きなので、リボンタイだったり、サスペンダーだったり、ハーフパンツだったり、デザイン的には結構趣味を詰め込んだ感じです。実際に描いていて楽しいのは、少年らしくてシンプルな小雪だったりするんですが……。

──デザインを凝りすぎると、あとで苦労してしまうと。

第14話より、「楽器のたしなみくらいならある」と輪ゴム琴を披露する最上。

最上も、般若のパーツを描くのが大変で(笑)。彼は中二病っぽいキャラの和風版を描きたいと思って作り上げたキャラですね。花鳥とはまた違ったボケ方をしてくれるので描いていても楽しいし、ツッコミの種類にも幅が出ましたから、それは狙い通りでした。最上は感覚がちょっと人とズレているところとか、自分のことをすごくダメだと思いこんでいるので、ちょっとやさしくされるだけで過剰に喜んじゃうところがかわいいかなと思います。

──どのキャラもすごく個性的なんですが、亜樹さんが自分に似ていると思うキャラは?

そうですね……似ているところがあるとすれば、誰と言うより、それぞれの悪目立ちするところなんじゃないかな。かまってちゃんだったり、被害妄想的だったり、つい揶揄したくなったりとか。私は普段、それを表に出さないようにしようと思って生活してますけど、キャラには全部出しちゃってる。ツッコむセリフも自分で描いているので、けっこう自虐的な部分もあるのかもしれない(笑)。

8巻の表紙は5人の成長した姿がテーマ

──「ぼくはか」は月刊コミックジーンの2017年9月号で第50話に到達しましたね。お気に入りだったり、印象に残っていたりするエピソードはありますか?

第8話より、ケルベロスを助けようとしてトラックの前に飛び出す小雪。

交通事故の回(2巻に収録されている第8話)かな。家出したケルベロスを探す導入部から、事故で幽体離脱してしまった小雪を花鳥たちが助けようとして、それを小雪が嫌がる……という一連の流れがうまくいって、いいタイミングでツッコミが入れられたかなと。「こういう話を描きたい」とテーマを決めてから取り組むことが多いので、オチにうまくつなげられず悩むことが多いんです。この回は読者さんからの反響も大きかったと聞いています。

担当編集 アンケートが非常によかったです。反響が大きかったという意味では、第34話の「イケメンは顔だけ」のくだりもTwitterで盛り上がっていました。

第34話より、小雪の矛盾を淡々と指摘する月宮。

イケメンを憎むあまり「結局顔かよ」と口にした小雪に対して、月宮が「中身でならイケメンに勝てると思ってるのかなあ」「都合いい言いわけして逃げてるんじゃないの?」と正論を語るんですよね。

──鋭い指摘です。笑えるだけじゃなく、読んでいてはっとさせられるようなツッコミも多いですよね。

言われてみると、そういうのを描きたいと思っている気持ちもありますね。自分の言葉ではうまく言えないんだけど、キャラに言わせることで客観的に見られると言うか。

──ほかにも印象的だった読者の声はありますか?

第4話に、小雪が必須アミノ酸9種を覚えるために月宮の暗記ノートを借りたら、必須アミノ酸の名称を盛り込んだ魔法少女もののマンガが描かれていて……という小ネタがあるんですけど。これが「実際に役に立ちました」というファンレターがちらほら届いて、びっくりしましたね。

──(笑)。月宮は意外な才能がたくさんありますよね。小雪が教師志望という話が出てきますが、月宮は将来マンガ家というコースも?

「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。」8巻

うーん、マンガはあくまで趣味の範疇だと思いますね。実はちょうど8巻の表紙を“みんなの将来の夢”というテーマで描いたところなんです。花鳥はファンタジーな雰囲気のままで、小雪は教師、月宮は教祖風(笑)。最上は実家の財産とかがありそうなので裕福に暮らしてそうなイメージ、ひびきはアイドルとかやりたそうかなって。考えるのは楽しかったです。

──なるほど。亜樹さんご自身は、いつ頃からマンガ家を目指されたんでしょうか。

小学2年生のときですね。「ちびまる子ちゃん」の巻末に載っていた、さくらももこ先生がマンガを投稿したときのエッセイを読んだのがきっかけで、「私もマンガ家になろう」と決めたんです。

──小学2年生とは、かなり早いですね!

少年向け少女向け問わず、コメディ調のものが好きで、「ちびまる子ちゃん」や「魔法陣グルグル」みたいなマンガを描きたいと思っていました。一方で「笑ゥせぇるすまん」のような、ちょっとブラックなマンガも好きで。アニメの「おジャ魔女どれみ」にも刺激を受けていると思います。絵的なかわいさだったり、家族や友達との問題を落とし込んだストーリーだったりが好きで、夢中で観ていましたね。

──そういった作品の要素が、「ぼくはか」につながっているんですね。ちなみに、最近ハマった作品は何かありますか?

最近だと、「ラブライブ!」や「Free!」。基本的にはグループ感と言うか、みんなでわいわいと何かに挑戦しているのが好きなんでしょうね。それでいて、個々の関係性みたいなエピソードを見るのも好きなんです。「ぼくはか」で言うと、小雪と花鳥が2人でいるときと、小雪と月宮が2人でいるときとでは、会話も空気も違うじゃないですか。その2人にしかない関係が垣間見えると、ぐっときますね(笑)。

振り返ったとき「楽しかったな」 と思える学校生活に

──「ぼくはか」では今後、どんな物語が描かれるのでしょう。

ふわっとですが、彼らが高校を卒業するまで描けたらいいなと。最初は連載がどれくらい続けられるかもわかりませんでしたし、特に何も決めていなかったんですけど、話が続くうちに学年も上がり、彼らも少しずつ成長してきているので、しっかり送り出してあげたいなと考えています。

担当編集 「ぼくはか」は各話読み切りスタイルなので、いつどこから読んでも楽しめるように、時間の流れを進めるのはなるべく止めてもらっていたんです。

第50話より、琴子と一緒に花火大会へ行く小雪。

なので、ごく最近ですね。しっかりと着地点を見据えて、関係性を進めるようなエピソードも描こうと決めたのは。第50話の小雪と琴子のエピソードもその1つです。

──なるほど。付かず離れずの曖昧な関係から、一歩進んでもいいだろうと。

そうしたいなと。第1話ではあんなに花鳥を嫌がっていた小雪も、将来この学校生活を振り返ったときに「なんだかんだ楽しかったな」って感じるんじゃないかって気持ちが、心の中に芽生えていると思うんです。花鳥だって、中二病という言葉だけでは片づけられない広がりのあるキャラになった。そんな今だからこそ描ける関係性の話もたくさんあると思うんです。

──8巻分のエピソードを積み重ねたことで、お話の基盤となる部分がしっかりできて、それがゴールに向かって動き出した。これからがますます面白くなるマンガだと言えるかもしれませんね。

そう感じていただけるよう、がんばりたいと思います。

──では最後に、この特集を読んだ方にメッセージをお願いします。

本当に困ったキャラクターたちなんですけど、これを機に「ぼくはか」を手に取ってみようかなという方にも、温かい目で見てもらえたらと思います。ずっと応援してくださっている方には、ぜひこれからも彼らの成長だったり相変わらずだったりする部分を見守ってほしいです。そして、“NAKAYOSHI FOREVER”な彼らが旅立つその瞬間を、一緒に見届けていただけたら嬉しいです!

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亜樹新(アキアラタ)
亜樹新
2006年、コミックブレイドMASAMUNE(マッグガーデン)でスタートした「葬送曲ナイトメア」で連載デビュー。主な著作に「宝皇学園MiSORA組」「フェティッシュベリー」など。2013年より月刊コミックジーン(KADOKAWA)で「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。」を連載中。