こんなに先が見えない番組初めて

──まずは、「この3人で番組始めます」と知らされたときの気持ちから聞かせてください。

児嶋　言ってやれ、拓。

高橋　お願いします。

鈴木　これはですね、「こんなに先が見えない番組初めてだな」と。

高橋　こら！

児嶋　俺もだよ。

高橋　こらこらこら！ 3人ともですよ。

鈴木　お前も入ってるんじゃねえかよ。これはしょうがないですよね。やっぱり（アンジャッシュ）渡部さんがいたり、（キングオブコメディ）今野くんがいたほうが見えますもん。

児嶋　なんで、お前だけ相方いなくていいんだよ。塚っちゃん（ドランクドラゴン塚地）がいたほうがいいよ。

高橋　最初は「見えない、見えない」って冗談で言ってましたけど、最終回終わってもまだ見えない（笑）。

鈴木　なんだこの見えないまんま終わる番組は。

高橋　最終回終わっても、ずっと反省してましたから。

鈴木　「あれどうすればよかったんだろう？」みたいな。

高橋　「あそこはああだったな」とか、「あそこはダメだよ」みたいな。

鈴木　とにかく反省ですね。「撮れ高次第」は反省。

高橋　全然打ち上げるテンションじゃないですよね。いまから反省会やりたい。

児嶋　本編の収録中に反省会して、カメラ止めたあとにもその反省会をするみたいな。反省ばっかりだったな。まったく成長しなかったけど。

高橋　途中からあまりにも反省が多いから、企画を実行する前から練習するっていうくだりがついて、練習、本番、反省っていうセットになってましたから。

鈴木　番組内で企画会議をやるなんて、本当に革新的なことをやってるとは思います。普通のバラエティ番組は本編しかないじゃないですか。で、終わってからスタッフさんたちが「もっとこうしよう、ああしよう」っていう打ち合わせをやるんでしょうけど、それを番組の中で全部見せちゃってますから。

高橋　そうですね、内側を全部見せましたからね。

鈴木　これはねえ、本当にテレビでやっちゃいけないというか、テレビ局の人がひた隠しにするようなことをやってますね。

児嶋　裏側の醜い汚い部分も。

鈴木　全部見せちゃってる。だから「テレビってこうやって作るんだ！」っていう社会勉強としては抜群ですね。3人とも初めてだったんじゃないですか。「よし、自分が頑張るぞ」みたいな。僕も今までにない姿を見せてますし。

児嶋　確かにみんなそうだな。

鈴木　こんなにボケ倒してるのも初めてですしね。

ほかじゃ味わえない快感みたいな楽しさ

──「自分がリードしなきゃ」みたいな気持ちは、みなさんそれぞれありましたか？

鈴木　ありましたね！

児嶋　あ、あったの？

鈴木　ありました、ありました！

児嶋　僕は間違いなくあった。

高橋　児嶋さんがやっぱりなにより先輩ですから。

児嶋　先輩だし、番組のためにちゃんとしなきゃなってっていう気持ちはありました。拓ちゃんがそう思っていたとは俺はちょっと……。

鈴木　思ってましたよ！「この2人じゃ、俺が何とかしなきゃいけない」と思って。

児嶋　やかましいな！

──あはははは（笑）。

鈴木　この2人でしょ？ 一緒にいるのが。

児嶋　こっちのセリフだ。

高橋　僕はなんか調子のいいほうに、そのときそのときでついていこうかなと。

鈴木　たぶん俺と児嶋さんがそうなのかもわかんないですけど、“かんだた”って知ってます？「蜘蛛の糸」に出てくる。あの状態になっちゃってましたね。

児嶋　なんだそれ。

高橋　わかりにくいなー。

鈴木　要は、かんだたって悪い奴がいて、そいつは人を殺したり強盗したりいっぱいやったから地獄にいたんです。ただ、かんだたはクモが足元にいたときに、そいつを殺さないで助けてやったことがあって。そしたら、お釈迦様が「こんなに悪い奴でも一度だけいいことをしたことがある」って、上からクモの糸を垂らして、地獄にいるかんだたを救いだそうとしたんですね。かんだたは、助けてもらおうと思って糸をつかんで上に登っていくんですけど、下から悪い奴がバーッと一斉にあがってきて。で、もう自分が一番になりたいから、そいつらを追っ払おうとしたんです。そしたら、お釈迦様がそれを見てクモの糸をバサッと切って、またかんだたは地獄に落ちちゃうっていう。まさにそれです！

児嶋　どういうことだよ。

──あはははは（笑）。

児嶋　その話がどこにつながるんだよ。

鈴木　要は、この3人の中で誰が主導権を握るかっていう争いが、かんだたと同じなんです。

高橋　（児嶋さん）いまだにわかってない（笑）。

児嶋　いやいや、わかるけど。そういうことなの？

高橋　自分が上に行きたいために、下の2人を切っちゃう。

鈴木　切っちゃう！

高橋　言ってることはわかるんですけど、そのツラで芥川龍之介出してるんじゃねえよ。

（一同、笑）

高橋　偉そうに文学出してくるんじゃねえよ。腹立ちましたよ。

児嶋　結局自分も戒め受けちゃったっていうこと言いたいの？

鈴木　受けちゃった。最後にはそうなりますから。

──高橋さんは最初から主導権を握るのは諦めていたんですか？

高橋　そうですね。僕はこのメンバーだと上には行けないんで、落ちたときにケガだけしないようにしようみたいな感じの。糸切られそうだったら登らないみたいな。

児嶋　でも前半はそんな感じだったんですけど、途中からみんな同じ方向を向いてたと思いますよ。「こんなところで権力争いしてどうすんだ、チームじゃねえか」みたいなことになって。

高橋　でも、「同じ方向を向こう！」って一瞬おだやかになったじゃないですか。あのときに変なバネ巻かれちゃって、そのときに余計おかしくなっちゃいましたよ。

鈴木　これぞ不協和音というかね。

児嶋　かと言って楽しいんですよ。やってる最中はね。

鈴木　楽しいですよ。

高橋　ほかじゃ味わえない快感みたいな楽しさ。

児嶋　楽しいし、手前味噌ですけど面白いところもいっぱいあるんですけど、なんかうまくいかなかったな。

鈴木　なんでしょうね、この歯車の合わなさは。