領収書ボケの中で一番面白い

──作品の中で印象的なシーンはどこでしょうか？

宮下　「ヒーローに憧れているけど、自分はヒーローのような振る舞いがなかなかできなくて、もがいている。そこを乗り越えて自分が本当のヒーローになろうと決心する」みたいな瞬間のシーンはすごく共感しやすいです。僕はシュワちゃんの映画が好きで、「仮面ライダー」も未だに観ていて、ヒーロー物がすごく好きなので。

草薙　怪しげなものを買わされるシーンに「領収書」というフレーズを入れたボケがあって、芸人の中にも領収書のボケをコントに入れてる人はいますけど、今まで聞いた中で一番面白かったです。めちゃめちゃ笑いました。

宮下　あと、教祖・多磨瑠役の淡梨（たんり）さん。この人の顔がマジで好きです。「少林サッカー」の“魔の手”の人（チャン・クォックァン）にちょっと似てる。また何か別の作品に出てほしいです。

──「カメ止め」に出ていた無名の方も、その後に活躍されていますからね。

宮下　淡梨さん、次来るんじゃないですか。

──ここまで笑いに関する話もしていただきました。上田監督自身がお笑いの大ファンということで、「スペシャルアクターズ」のコメディの要素についてはいかがですか？

宮下　芸人としてコメディの部分に言及するのはちょっと難しいですけど、役者の人について「ここで使ったらこの人が一番生きて面白くなるな」というのがちゃんと丁寧に考えられているんだなというのは伝わってきました。欲を言えば、多磨瑠の顔のアップがもうちょっと見たかった（笑）。唯一ダメ出しするとすれば「多磨瑠のアップをもうちょっとくれ」というところです。

草薙　僕らが偉そうに言うのもアレなんですけど、和人たちと一緒に集団に潜入した清水八枝子（清瀬やえこ）が暴れる場面があって、そのあとのシーンの間（ま）がすごくちょうどよくて面白いなと思いました。観ていて気持ちよかったです。

ヒットを出したあとのプレッシャー

──「スペシャルアクターズ」について、上田監督は「カメ止め」ヒット後のプレッシャーを感じられていたそうです。

草薙　あんなに面白いものを作った人が第2作を出すとなったら、観る側は期待しちゃいますよね。とりあえず「カメ止め」が好きだった人はみんな観るでしょうし。

宮下　「カメ止め」のあとは絶対にヒットしなきゃいけない、という気持ちもあると思うんですよ。そんな中でイケメン俳優や今売れている女優を使わない、みたいなところから自分のポリシーを曲げないカッコよさが伝わってきます。僕が監督だったら間違いなく橋本環奈を起用します（笑）。

──おニ人はプレッシャーを受ける監督の気持ちはわかりますか？

草薙　その気持ちはわからないです。ひょっこりはんとかに質問するんならわかるんですけど（笑）。「おもしろ荘」（日本テレビ系）に初めて出たときにひょっこりはんが一緒で、そのあとにバーンと売れていって、「次どうするか」みたいなプレッシャーはすごそうでした。

宮下　プレッシャーのことは、ひょっこりはんに聞いてください（笑）。自分はプレッシャーがあったとしても、あまり感じないようにしています。プレッシャーを受け入れて、なお乗り越えていくみたいな強さを上田監督に感じるので見習わなきゃいけないなと思います。

草薙　こんなにプレッシャーかかるのって、それだけ大ヒットを出したってことだから、この世にたった数人ですもんね。僕だったら2本目を作る勇気が出なくて、1本だけで逃げると思います（笑）。

宮下草薙にとってのヒーローは？

──先ほど宮下さんも少しお話になったように主人公がヒーローに憧れる物語でもあります。おニ人にとってのヒーローは？

宮下　僕はヒーロー映画が好きで1人に絞るのが難しいんですけど、映画ということに絞るとシュワちゃんがやっぱりいつまでもヒーローです。なんでもパワーで解決してくれる。安心して観られるんです、シュワちゃんの映画って。僕が元気ないときは「コマンドー」でシュワちゃんがロケットランチャーをぶっ放しているのを観て「すごいなシュワちゃんは！」と。

草薙　僕は、はんにゃの金田さんをずっと子供の頃に観ていたのが芸人になろうと思ったきっかけです。「ズクダンズンブングンゲーム」、部屋に鍵かけて1人でやってました（笑）。実際に会えたときに「わーっ！」てなったし、こないだLINEを交換してもらって、めちゃめちゃうれしかったです。ヒーローは金田さんです……大丈夫ですか？ 違う人のほうがいいですか？（笑）

──もちろん大丈夫です！ 宮下さんは芸人の中でヒーローを挙げるなら誰でしょうか？

宮下　さまぁ～ずさんです。僕が幼少期に芸人を目指してから、関西人じゃないことがしばらくコンプレックスだったんです。関西弁に比べて関東の言葉ってあんまり面白くないなと。でも、さまぁ～ずさんが関東の言葉で面白くツッコんでいたり、関東芸人として活躍していたりするのを見て、関東でも行けるんだと。あのお二人が面白いおかげで、芸人を目指す最後のひと押しになりました。

──宮下草薙のお二人が街ぶらロケを練習されているというエピソードをお聞きしたことがあります。それもさまぁ～ずさんの影響でしょうか？

宮下　そうです。「モヤモヤさまぁ～ず2」（テレビ東京系）が大好きで。あんな番組がすごくやりたいです。

草薙　2人で観てましたよ。「モヤさま」の時間になると宮下の部屋に呼ばれて、変なところで笑うとめちゃめちゃ怒られて（笑）。

宮下　「モヤさま」は最高の時間なんだから！

──お二人にとってのヒーローの熱い話ありがとうございました。最後にもしこの映画をまわりの芸人に薦めるとしたら、どういう薦め方をしますか？

宮下　どんどん展開が変わっていくので、あんまり詳しくは言えない映画だと思うんです。それこそ「カメ止め」を観て面白かったら絶対に観に行ったほうがいいよ、という感じにはなりますね。まずは「カメ止め」から入ってほしいです。

草薙　僕の場合も詳しくは言えないから、（秘密めかすように小声で）「ちょっと来て……」って呼んで、「面白いよ……」って（笑）。今は宮下としか内容を話せないので、これを観た人と話したいです。俳優の人たちも最初は誰も知らなかったけど、次から何かに出てたら「あ、あの人だ」ってわかるもんね。それはすごいなと。

宮下　「スペシャルアクターズのあの人だ」ってなるもんね。淡梨さん、面白いから絶対に次来ると思う！

草薙　めちゃめちゃ推してるね（笑）。