先輩芸人のネタを完コピして気付いたこと
トツカミツカ落合 夏休みの課題で芸人さんのネタを1個まるまる覚えて、夏休み明けにコンビで見せるという授業もありました。僕にとっては一番これが今につながっているかなと。講師の人も見たことあるネタのほうがやりやすいので、賞レースとかの決勝に行っている人からネタを選ぶよう言われて。相方と誰にするか話し合って、その時点で自分たちが誰っぽいか、誰をやったらいいかみたいな話をするので、かなり意味のある時間でした。実際にやったのはオズワルドさんです。僕らは全然オズワルドさんっぽくないんですけど、逆にそれがよかったなと。
──どのあたりがよかったでしょうか?
トツカミツカ落合 オズワルドさんの漫才、ゆっくりに見えるんですけど、実際めっちゃ早いです。最初「お世話になってます」で入るからゆっくりだと思いつつ、やってみたら早口でしゃべらないと口が追いつかない。逆にこれぐらい早くても聞き取れていれば笑えるからいいんだ、と気づけました。すごくいい授業。
パブン新谷 年に2回、3回とかやりたいくらいですね。俺らもその授業でアキナさんが「M-1」決勝でやられていたネタをコピーしてやったんですけど、めちゃめちゃウケたよね、正直。
一同 それはアキナさんがすごいから!
パブン中平 でも、それで「ウケるって気持ちいいな」みたいに思いました。
デイドリームきこ 私たちは男性ブランコさんのネタ。パントマイムみたいなものが多いネタをうまくなりたいねという意味で選びました。
デイドリームふうと 動きが難しかったです。ちょっと独特な感じ。
デイドリームきこ そこで動きが多いネタは我々は向いてないかもしれないね、と気づけました。
めおしぼたん立石 我々は先輩の技を盗むという意図を一切汲まずに、ただ「漫才をやってみたいから」という理由でロングコートダディさんの漫才をやって、めっちゃ楽しかったです。
めおしぼたん神崎 楽しかった。
めおしぼたん立石 そこから「やっていて楽しいネタを作ろう」と思えたんですよ。そのほうがお客さんも一緒に楽しくなって笑ってくれやすいのかなと。その思いは今でも生きています。
めおしぼたん神崎 ちょっと兎さんの声真似をしながらやりました。語尾とか関西弁とかをみんなに見せて「似てるね」と言われて、うれしくてホクホクで帰りました(笑)。
相方が小学生の人気者となり、うれしくて泣く
──皆さんが芸人になって一番うれしかったことは?
パブン新谷 単純に言うと、本当に毎日楽しいです。前職は市役所の職員だったんですよ。ずっとお笑いが好きだったのもあって、そこを辞めてから、生きるのが楽しくて。バイトとかはちょっと大変ですけど、毎日こうして友達とか同期とか、常に誰かといるような感じで、そういうのが好きなんです。芸人になって本当によかったです。お金はないですけど、楽しいほうが勝っています。
パブン中平 我々は裏方での仕事に定評があるので、東京03さんの単独のお手伝いもさせていただいています。あれだけのお客さんの笑いをドカドカ獲っているのを舞台袖で見学させてもらえますし、裏でしゃべったりしてくれるんですよ。「いつかネタを見たいね」とか、そういうことを言ってくれるのも本当によかったなと思います。
パブン新谷 彼(相方・中平)は東京03さんが全芸能人の中で一番好きなんですよ。飯塚さんにも名前を覚えてもらえたりして。すごいことだよね。
パブン中平 すごく気さくに話しかけてくれます。
パブン新谷 空港でもお土産を買ってくれようとして。
パブン中平 移動は違う便なんですけど、たまたま新千歳空港で会ったときに「おお、パブンじゃん」となって。めっちゃいい人です。
パブン新谷 先輩の単独ライブを袖で見られる、というのは芸人じゃないと無理だもんね。
パブン中平 いつかネタを見てもらえるようにがんばります。
トツカミツカ落合 こいつ(相方・あわ)も東京03さんがすごく好きで。
トツカミツカあわ 高校のときに“夢コント”というのを書いていたことがあります。「東京03さんのコントに俺が出たとしたら?」みたいな夢です。JCAに通っていたときにうれしかったのが、飯塚さんが自販機で缶コーヒーを間違って買ったらしくて、「これ欲しい人いる?」と言われて、それをもらったことです。未だにその缶は枕の横に置いてあります(笑)。
トツカミツカ落合 あと芸人になってよかったことは、ウケるとやっぱりめちゃくちゃうれしいです。自分がネタを作っているときはウケるかどうかわからないので、それがウケたときは「正しかったんだ」と思います。僕らも大学の同級生で、たぶんまわりからは就職すると思われていたんですけど、いきなり芸人やるって言い出したので、そのときの友達とかがネタを見て面白かったよと言ってくれると、それもよかったなと思います。
デイドリームふうと 私は大学で演劇部に入っていて、裏方の照明とか部長とかをやってたので、全然舞台に立っていなくて「役者さんは舞台に立てていいな」とか「楽屋があっていいな」と思っていました。なので、こないだの「THE W」で広い舞台に立てて、すごくうれしかったです。
デイドリームきこ 私も「THE W」の準決勝に行けたのがうれしくて、自分の一番好きなことでがんばったことがちゃんと結果として残ってよかったです。まだまだこれから、もっとうれしいことがあるのかもなあとか思ったら、すごくいい道だなと思います。
めおしぼたん立石 我々は小学校に行って小学生に審査してもらう、というお笑いイベントに出させていただいたときですね。ネタをやったあと、出演者が体育館の四隅に分かれて「面白かった人に集まれ! おいで!」みたいに呼んで、小学生がワーッと来てくれるみたいな。我々のところにもありがたいことにけっこう来てくれて、初めて神崎竜生を見たであろう小学生が「わー! 神崎竜生ー!」みたいな(笑)。こいつがなんかグッチャグチャになっているのを見て、俺泣いちゃって(笑)。うれしいなって。お笑い芸人がいっぱいいる中、ああいうときに揉みくちゃにされる人って、その中でも一部やと思うんですよ。「芸人になってるなぁ、着実に」と思いました。
めおしぼたん神崎 そうですね。芸人になってちょっとずつ人気者に近づいてる感があります。
パブン新谷 それを自分で言われるとなあ(笑)。
めおしぼたん神崎 自分のことを知ってくれている人が日々増えていってるなと。話しかけてくれる先輩がいたりとか。あと僕らは「野方お笑い総選挙」というイベントにも出場しました。
めおしぼたん立石 東京の野方が街をあげて、動画審査とかでお笑い賞レースみたいに8組のファイナリストを決めて、野方区民ホールで本気でネタをやって1位を決める大会です。8組に残りました。
めおしぼたん神崎 野方で1週間ぐらい実際に街を練り歩いて。「めおしぼたんです」って言いながら。
めおしぼたん立石 自分の名前を売るみたいなことをしたんですよ。
めおしぼたん神崎 その間、街を歩く人が手を振ってくれたりして、神崎竜生を知っている人が増えました。芸人じゃないとなかなか街で大きな声は出せないです。
──その総選挙の結果は?
めおしぼたん立石 1年目の我々、本当に胸を張って、3位です。
一同 すごい!
めおしぼたん立石 ただ、2位がJCA生(鉄筋ビビンバ)やったんですけど(笑)。JCAのときから、こういう大会に出られるのは、いい経験になると思います。
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お笑いだけしていればいい、夢のような1年間