プロダクション人力舎のお笑い養成学校、スクールJCAが34期生(2025年5月入学)を募集している。この機会に、JCAを最近卒業した31期生のパブン、トツカミツカ、32期生のデイドリーム、めおしぼたんの4組が座談会に集結。現役で活躍する人気芸人による授業、先輩芸人のネタをカバーする授業の思い出など、「夢のようだった」という1年間のリアルな話を聞いた。
取材・文 / 成田邦洋撮影 / 小林恵里
スクールJCAとは?
数多くのお笑い芸人を擁するプロダクション人力舎が1992年に開校した、関東初のお笑い芸人養成学校。人力舎のノウハウをもとに、基礎からライブまでの実践型カリキュラムを用意している。
講師陣はお笑い界を知り尽くすタレントや放送作家などのプロばかり。場数を踏むためのライブも幾度となく経験でき、その実力次第では人力舎に所属してプロの芸人としてデビューすることが可能だ。
現在スクールJCAは34期生(2025年5月開校)を募集中。オフィシャルサイトで詳細を確認して、芸人生活への第一歩を踏み出そう。
「M-1」3回戦進出も講師の人はキツく言ってくれた
──スクールJCAを卒業された若手4組の皆様に、JCA時代の思い出、芸人になってよかったこと、芸人を目指す人へのメッセージなどをお聞きしていきます。まずはどういった経緯でJCAに入られたのか、1組ずつ教えてください。
パブン中平健斗 僕たちは社会人を5年間やっていました。2020年に1回、「M-1グランプリ」に出たんですけど、そのときはコロナ禍で、無観客の中で落ちちゃって「このまま終わるのもアレだな」ということでお互いに仕事を辞めて養成所に入りました。人力舎に所属している先輩に好きな方が多く、彼(相方・新谷)も「ここじゃないとイヤだ」ということでJCAに。
──お二人はもともとお知り合いだったんですか?
パブン新谷祐介 大学の同級生で4年間一緒でした。それぞれが就職して、ごはんに行きながら東京03さんのライブを観に行ったりしている中、「やってみる?」みたいな流れになりました。
──大学でお笑い関係のサークルに入っていましたか?
パブン中平 お笑い関係は入っていなくて個人的に2人ともお笑いが好きでした。学部も一緒で授業もかぶっていたので仲良くなりました。
──お二人は裏方の仕事に定評があると伺っています。
パブン中平 ほかの人にやらせるよりは、こいつを行かせておけば、みたいな感じでしょうか。
パブン新谷 社会人経験があるので、その信頼はあると思います。受付とか、そのあたりはミスなくできそうかな、くらいです。
パブン中平 (めおしぼたんの)神崎竜生よりはいいと思います(笑)。
──次はトツカミツカのお二人、お願いします。
トツカミツカ落合正基 僕らは大学の同級生で「お笑いやろう」となって、パブンと似ているんですけど、「M-1」に出てみよう、となりました。オーディションで所属できるほかの事務所を受けたり、ライブに出たりしたんですけど、あまりに周りとの差がすごすぎて、これは養成所に通って学ぶしかないなと。僕のバイト先の先輩でJCAに通っている人がいたり、人力舎周りの人がたまたま多いのもあって人力舎にしようと思いました。当時「M-1」で真空ジェシカさんが勢いがあったのもあります。
トツカミツカあわ 僕は相方の言うとおりに誘われて入りました。
トツカミツカ落合 こいつはただ朝起きてごはんを食べるだけなんですよ。
トツカミツカあわ 若手芸人にしては珍しく健康な生活を送っています(笑)。
──お二人は今年「M-1グランプリ2024」で3回戦まで進出されましたね。
トツカミツカ落合 3回戦に行けたのはうれしいですけど、悔しいのもあります。3回戦に行くと知っている芸人の人ばっかりで、芸能人との戦いだと思いました。楽屋もテレビみたいで“食らっちゃう”部分もありましたけど、これでライブとかの出番が増えたらいいなと思います。
トツカミツカあわ 他事務所の人とコミュニケーションが取れました。誰とも仲良くない状態だったらかなり緊張してガチガチだったと思うんですけど、緊張がほどけました。
トツカミツカ落合 2回戦が終わって3回戦に行く前に、JCAの講師の人にネタを見てもらったら、けっこうキツく言ってくれたんですよ。芸人仲間にネタを見てもらったら、みんな優しいんで「まあ行けるじゃないかな?」みたいな感じですけど、講師の人は「ここはあんまり面白くない」とか言ってくれたので、それはすごくよかったなと思います。養成所に通っていたからこそ、な気がしますね。1年ずっと一緒にいたので。
──デイドリームのお二人はどんな経緯で入られましたか?
デイドリームきこ 私たちは2人で入ってきたわけではなくて、お互い大学卒業してから入って養成所で組んだコンビです。
デイドリームふうと 私は大学が近かったので、ここにしました(笑)。JCA生や人力舎の方が、よく新宿中央公園で練習していらっしゃって、大学の帰りにコンビの方が練習してるのを見て、なんかいいなと思って入ったという経緯です。
デイドリームきこ 私は小さい頃からお笑い好きというタイプではなく、人前に立つのもそんな好きではなかったんですけど、大学4年の就活の時期に、「就活や仕事よりも好きなものがあったら、そっちの方向に行こう」とは思っていて。たまたま大学で「お笑い、いいなあ」と思うようになって、4年のときに「今、好きだから行ってみよう」と思いました。JCAは養成所を探しているときに評判として「一番地味」というか、おとなしい人が多いと聞いていたので、じゃあ自分でもなじめるかなと思って、ここにしました。
デイドリームふうと あと、ほかと比べて授業料が安いです(笑)。
──お二人は「THE W 2024」で準決勝に進出されました(※決勝進出者発表前の取材。惜しくも準決勝で敗退となった)。準決勝を終えられた今の心境は?
デイドリームふうと やりきりましたけど……。
デイドリームきこ 「ちょっと飲まれちゃったな」というのもあります。
デイドリームふうと すごく広い舞台でお客さんもたくさんいて。
デイドリームきこ ルミネtheよしもとでやらせてもらって。すごくいい経験でした。
デイドリームふうと マイクを付けてコントをやったのは初めてだったのでドキドキしましたけど楽しかった。
デイドリームきこ 先輩のターリーターキーさんにもすごく助けていただきました。それも人力舎に入ったからで、本当にありがたかったです。安心しました。
──めおしぼたんのお二人はいかがでしょうか?
めおしぼたん立石 我々も養成所で知り合ったんですけど、僕は大学を卒業した年にJCAに来ました。もともとテレビっ子でめっちゃテレビ好きで。「はねるのトびら」(フジテレビ系)とか、コント番組があまり地元の大阪にない文化でめっちゃオモロいなと思っていて。北陽さんが特に好きで、ネタの動画とかDVDをいっぱい見て、「こんなコントができる事務所がいいな」と思ってJCAに入りました。
めおしぼたん神崎 えー、神崎竜生は(とフルネームで名乗る)……とにかく人気者になりたい一心でずっと来たんですけど。10代の頃に「ジュノンボーイコンテスト」を受けたりして、けっこういいところまで行きました。“ベスト150”です!
一同 すごいのかな?
めおしぼたん神崎 そこから社会人を経験して毎日同じ作業を繰り返している中で、「一度の人生、何かしよう」と思って、養成所に入ろうと地元の石川から東京に来ました。JCAを選んだ理由は、ネットに「ゆるい」と書いてあったので(笑)。とにかく人気者になりたい一心です。
──人気者になるために今、具体的にしていることは?
めおしぼたん神崎 とにかく声を大きく出す!
めおしぼたん立石 養成所では大きい声を学ぶ授業がありました。発声の授業では我々、大活躍でした。
めおしぼたん神崎 名前を連呼すると覚えてもらえます。人気者への近道です!
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真空ジェシカ川北の授業「もっと恥ずかしいと思いなさい」