真空ジェシカ川北の授業「もっと恥ずかしいと思いなさい」
──JCAの授業で役に立ったことや印象的なことを聞かせてください。
パブン新谷 即興のコントを作る授業がありました。その場で5人組とかを勝手に組んで、あるお題に対して15分から20分ぐらいで即興コント作るんです。もともと即興コントはけっこう好きで、学生のときにノリでやったりしていたので、その授業がすごく楽しくて。ほかの人の考え方とか「これを面白いと思ってるんだ」とか、即興でどんどん展開されていく感じがすごく刺激になりました。それが一番印象的です。
パブン中平 僕はパントマイムの授業です。お笑いをやるってなってもたぶん軽視しそうで、自分じゃ絶対勉強しないんですけど、やってみると発見があって。同じセリフを言っていても動きが大きいとそれだけでウケたりするんですね。今コントも少しやるので、パントマイムをやれてよかったです。
パブン新谷 “エアの動き”とかね。
パブン中平 ドアを開ける動きで、開けたあとに閉めるときの位置が全然違う、とかも最初はあったんですけど、そこは動画とかを見ながら意識しています。そういう考えがついたのも、その授業のおかげなので役に立ったと思います!
トツカミツカ落合 講師に元エレファントジョンの森枝さんがいて、ネタを見てくれます。漫才を一線でやっていた方から意見をもらえるのはすごくうれしいです。森枝さんは僕らのことを養成所の頃から知っているんで、事務所に所属してからも、たとえばネタ作ってるときに「こっちのほうが笑いを獲りやすいんじゃない?」みたいなアドバイスをしてくれるのでありがたいです。
トツカミツカあわ 僕が役に立ったなと思うのは演技指導の授業です。コントでも漫才でも嘘くさくない演技というか、「嘘じゃない」と相手に伝えるためにはこういう心持ちでやったほうがいい、みたいなことはネタ合わせをしているときとかに思います。相方がネタ書いてるんですけど、相方に「もっとこういう感情で言って」みたいなことを言われるときは、その授業を思い出して、なんとか怒られないようにやってます。
トツカミツカ落合 怒ったことないんですけど(笑)。
デイドリームふうと 私はダンスの授業が新鮮でした。あんまり運動神経がよろしくないので、体の硬さとかがすごく身にしみてわかって、あれからちょっと意識して、軽くですけど体操とかもするようになりました。ダンスを練習してがんばった記憶があります。
デイドリームきこ ネタ見せの授業では、講師の方はもちろん、生徒がみんなでお客さんのように見てくれるんですよ。初めてネタ見せでコントをやったとき、それまで自分に「お笑いとかできるのかな?」と思っていたんですけど、けっこうみんなが笑ってくれて、それがすごくうれしくて。「ああ、コント楽しいな」と初めて思えた瞬間だったので、それがすごく印象的です。その経験がなかったら続いていたかな?と思うぐらい、自分の中では養成所の中で大きな出来事です。
──そのときは、もうお二人でコンビを組んでいましたか?
デイドリームふうと 組んでいました。最初に組んだ相方です。同期の方の意見も聞けたりして、すごくいい機会。場にも慣れられるし、ありがたい授業です。
めおしぼたん立石 卒業間近に一回だけ特別講師で先輩の真空ジェシカの川北さんが来てくださって、授業してくれました。めっちゃ変な授業だったんです。いっぱい生徒がおる中から1人だけ「お前、行け!」みたいに立たされて「10分、目の前で面白いことをやれ。ほかの全員は絶対笑うなよ」と。「お客さんは優しいからライブとかで笑ってくださるけど、生きていて人がふざけてるのを見て、笑って楽しむなんてありえないことだ」と。その中でも一番、心に残っている川北さんの言葉は、「人前で一生懸命おどけたり、変なことをして大声出したりするのって、恥ずかしいことだから、もっと恥ずかしいと思いなさい」というものです。すごく心に残っています。
一同 ザワザワ……。
めおしぼたん立石 僕、もともとお笑いがめっちゃ好きで、芸人さんっていいなと思っていたんですけど、「恥ずかしいと思わなアカンねや」と。それはどういうことかと言うと、堂々とすることも大事なんですけど、「失敗したらちゃんとあとで落ち込んだりしなさい」ということなんでしょうね。それが今の心の指針になっています。いい授業やったなと思います。
めおしぼたん神崎 どの授業でも「やりたい人、手を挙げろ」とか「誰か、今出て」みたいなのがけっこう多くて、JCAの途中くらいから、いかに最初に手を挙げられるか、というふうになってきました。とにかく前に出さえすればどうにかなるだろうと。そういう場合、ほかの同期がみんな前で見ててくれるんで、誰かしらがツッコんでくれたり、ただ動いてるだけでもボケにしてくれる。とりあえず波を起こすと、誰かが何かしてくれる。それが今も通ずるものとしてあります。そういう積極性を学びました。
虹の黄昏の授業でみんな声が大きくなった
──ほかにJCA時代の印象的な思い出がある方はいますか?
めおしぼたん神崎 いいですか?(とすぐに挙手) 最初に手、挙げますから。僕ら32期から毎月ラバーガールの飛永さんが講師で来てくれています。第一線で活躍している先輩に毎回見てもらって、「めおしぼたんの何月のあのときのこのネタはこうだったから……」と前のことを踏まえてアドバイスしてくれる。
めおしぼたん立石 飛永さんが一回だけ手放しに褒めてくれて「お前ら、もう行けるよ!」みたいな。それで勇気づいて、養成所の最後のライブみたいな卒業公演に臨めました。養成所の終盤になってくると講師も「アラとかあってもいいところだけ前に出して行ってこい」みたいな雰囲気で乗せてくれるので、プロの芸人に向かってジャンプする勢いがつく、めっちゃいい養成所なんじゃないかなと思います。
トツカミツカあわ 虹の黄昏さんが特別講師として来た授業もありました。人力舎に入るのは内気な感じの人が多いので、それを打ち破るために、虹の黄昏さんに1人ずつ当てられて。
トツカミツカ落合 大声を出したり、全力でなんかやったりとかしました。
トツカミツカあわ あの授業が終わってから、みんな声が大きくなったような気がします(笑)。
めおしぼたん立石 それで4組ぐらい芸風変わったんじゃないですかね?(笑) 思いっきりやるのがオモロいみたいに感化されちゃって。
デイドリームきこ 私たちも、もともと持っているコントを、とにかく大きな声でやってみました。「その振り切っているところが逆に面白いかもよ」みたいなことを言ってもらえました。
めおしぼたん立石 いろんな可能性を探してくれます。
めおしぼたん神崎 あとは「全力にらめっこ」というのもしましたね。
めおしぼたん立石 現代のお笑い理論にない新しいオモシロの見つけ方を探ってくれる講師の方で、2人ずつ選ばれて「全力でにらめっこしよう。力ずくでお互いを笑わしに行け」と。みんな1回ずつ選ばれたんですけど、神崎竜生が、こいつだけ「俺やります!」って自己申告して4回やった。
めおしぼたん神崎 それで優勝しました。
めおしぼたん立石 参加人数は少なかったけどな。いい授業でした。
トツカミツカ落合 「ツギクル芸人グランプリ」(フジテレビ)のあと、そのネタについて講師が説明する授業もありました。まさに今テレビで見たばかりのネタなので、めちゃくちゃ参考になってよかったです。
パブン新谷 声優さんのようにアニメのアフレコをしてみる授業は、こいつ(相方・中平)が上手すぎました。台本を渡されてやってみたら、「え? 声優やってた?」みたいにザワザワして。
パブン中平 今でもセリフは覚えています。少年の声が合っているらしいです。
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先輩芸人のネタを完コピして気付いたこと