プロダクション人力舎のお笑い養成学校、スクールJCAが28期生(2019年5月開校)を募集中。これに伴い今年2019年1月に同校でオープンキャンパスが実施され、JCA3期生のアンタッチャブル柴田が特別授業を行った。このオープンキャンパスに参加したのは、いずれもお笑い芸人を目指す若者たち。柴田は彼らに向けてJCAの魅力や芸人生活の楽しさを軽妙に語った。お笑いナタリーではそんな特別授業の様子を伝えるほか、授業後に行った柴田のインタビューを掲載する。
取材・文 / 成田邦洋 写真 / 辺見真也
数多くのお笑い芸人を擁するプロダクション人力舎が1992年に開校した、関東初のお笑い芸人養成学校。人力舎のノウハウをもとに、基礎からライブまでの実践型カリキュラムを用意している。
講師陣はお笑い界を知り尽くすタレントや放送作家などのプロばかり。場数を踏むためのライブも数多く経験でき、その実力次第では人力舎に所属してプロの芸人としてデビューすることが可能だ。
現在スクールJCAは28期生(2019年5月開校)を募集中。オフィシャルサイトで詳細を確認して、芸人生活への第一歩を踏み出そう。
この日、スクールJCAにはオープンキャンパス史上最高人数の芸人志望者が集結。今回特別講師として柴田は、同じくJCA卒業生のリニア、しんぷる内藤といった後輩芸人と掛け合いを繰り広げながら1時間を超える授業を軽やかに展開した。
柴田は登場するなり「人力舎のオープンキャンパスに来るような奴は、結局人力舎に入るんだよ!」と決めつけて参加者たちをなごませ、ほかの事務所と人力舎の比較論を披露。「『お笑いで成功しようが失敗しようが、まずは楽しんでいたい』。だから人力舎に来てるわけです」と未来の後輩になるかもしれない若者たちの心情を代弁した。
人力舎の社風について柴田は「和気あいあいとしていて非常にアットホーム。環境も整っている」と評し、「俺たちのときは慰め合いで伸びてきた(笑)」と同期と過ごした日々を振り返る。芸人になるための心構えを聞かれると「トガッちゃダメだよ。今のうちからとりあえず丸くなっておこう。チームプレーでやっていったほうが絶対に相乗効果がある。『俺が一番になるんだ』って言うよりは、『この人はすごく面白い』って言ってくれる人が隣にいてくれるといい。人力舎はそういう事務所」と持論を展開した。
さらに柴田は「1位になろうなんて絶対に思っちゃいけない。1位を狙ったら壁に当たりまくる!」と断言。「お笑いなんてセンスだから、たとえばコンテストである人に1位だと思われても、別の人には1位だと思われないことがある。上位の2位、3位にいるくらいの気持ちでいればいい。1位じゃなくても生きていける。お笑いで生きていくなんて、それだけで最高のことよ!」と熱弁する。この話を横で聞いていたリニアしょうへいが「ああ、深い……」とため息をつくと、相方のリニア酒井に「お前が一番学んじゃってる!」とツッコまれていた。
とはいえアンタッチャブルは見事「M-1グランプリ2004」で優勝し、1位となったコンビでもある。1位にこだわらないよう説いた柴田だが「ネタだけは人力舎の中で一番になれるといいよね。どこでネタやっても負けない人にはなると思う」と、人力舎がネタに強い事務所であることには誇らしげな様子だ。柴田は「舞台には月10回くらい、年間で100ステージくらい立っていた。そのたびにスベるから、スベったところを変えていって『こういうのがウケる』というのが身に付いてネタの質も上がっていった」と場数を踏んで実力を伸ばしたことを回想した。
ほかにもJCAの授業に関しては「ザ・基本を教えてくれるので、それは守ったほうがいい。センターマイクの立ち方とかね。マイクに背中を向けて立って漫才やりたいなら、それも見たいけど(笑)。先生に聞いて『違うよ』って言われたら、やめたほうがいい」と笑いを交えてアドバイスを送る。このトークの最後にはJCA生へ指針を示すかのように「自由だよ!」との一言を添えた。
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アンタッチャブル柴田のQ&A