東京03が出演した舞台「漫画みたいにいかない。」のDVDが8月13日に発売される。本人たちが「ドラマとコントの中間」と位置付けるこの作品は、連続ドラマとして2017年秋にHuluで配信開始。これに続く形で地上波、舞台と展開された。

お笑いナタリーでは、DVDの発売に合わせて東京03へのインタビューを実施。オファーを受けたときの心境、稽古中の裏話、作品の魅力などをたっぷりと語ってもらった。また共演者の山下健二郎（三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE）と山本舞香から手紙が到着。東京03への愛が詰まったメッセージに本人たちの反応は……。

取材・文 / 塚越嵩大　撮影 / TOWA

こういうことがしたかった

──ドラマ版に続き舞台「漫画みたいにいかない。」のDVDがリリースされますね。

飯塚悟志　この舞台は僕が2時間出ずっぱりだったんで、すごくしんどかったんですよ！ 一生に1回あるかないかの経験だと思うので、それがDVDになるのはありがたい。子供ができたら見せたいです。

豊本明長　「すごいだろ。お父さん、出ずっぱりだぞ」と。

飯塚　そうそう。「内容はいいからとりあえず見てみ！ 早送りでいいから！ はけないから！」って。

角田晃広　子供も「お父さん、出ずっぱりじゃないか！」ってさぞ感激するんじゃない？

──（笑）。「漫画みたいにいかない。」がドラマとしてスタートすると聞いたときにはどう思いましたか？

飯塚　「こういうことがしたかった！」って、めちゃくちゃうれしかったです。しかもオークラが監督して脚本を書いてくれるので「絶対に面白いものができる」という安心感がありました。

──東京03さんといえば、同じワンシチュエーションの「ウレロ☆」シリーズがあります。「ウレロ☆」と「漫画みたいにいかない。」に何か違いはありましたか？

飯塚　自分たちの中での「ウレロ☆」の位置づけは完全にコントだったんですけど、「漫画みたいにいかない。」はドラマとコントの中間だと思っていて。だからメッセージ性のあるしっかりとしたストーリーで、感動的なシーンも盛り込まれている点が「漫画みたいにいかない。」の特徴かもしれないですね。もちろん、がっつりコントっぽいところもあります。山下（健二郎）くんと（山本）舞香ちゃんは、撮影が進んでいくにつれてコメディの才能がどんどん開花していきました。

──山下さんや山本さんと初めて会ったときはどんな印象でしたか？

飯塚　自分らとは違う、華やかな世界の人たち（笑）。「三代目の人だ！」「モデルさんだ！」ってこちらがビビってしまうというか、同級生だったら絶対にしゃべらないんだろうなって思いました。

豊本　同じグループには入れないよね（笑）。

角田　でも、山下くんも舞香ちゃんも最初の印象と全然違いました。もっとツンとしてるのかと思ったけど、気さくな人で本当によかった。

飯塚　舞香ちゃんなんかすごく大人っぽく見えたけど、実際はアイスのことばっかり考えてたよね（笑）。でもオンオフはきちんとしていて、ピリッていう緊張感を出す芝居が本当にうまい。ふざけすぎちゃって元に戻せない状況になっても、舞香ちゃんが出てくるとお芝居に戻るんです。

豊本　いてくれると本当にありがたかった。

飯塚　勉強になりましたね。健二郎くんからも、やりきることの大切さを改めて教えてもらいました。健二郎くんは面白いと思ったことをそのまま素直にやりきって、一切照れたりしない。心が折れることも、気を抜くこともない。コメディセンスもあるから、すごくいい顔をするんですよ。

──なるほど。そんなメンバーでのドラマ撮影はいかがでしたか？

飯塚　自然に囲まれた場所で撮影していて、合宿みたいでした。山籠もりしてるみたいで、世間の情報が入ってこないんだよね（笑）。あとは、とにかく暑かった！

角田　そうそう。暑いから汗染みができちゃうのが困るんですよね……。

飯塚　角ちゃんのケツがびっちょびちょなんですよ！ 「なんでこんなに濡れてるんだ!?」って女性スタッフがドン引きしちゃって。本人は「汗だ」って言うんだけど、汗にかこつけて別のものを出してるんじゃないかっていう。

角田　出してねえわ！ こっそりと何を出してるんだよ！

飯塚　角ちゃんの“乾かし待ち”がありましたからね。泣きながらスタイリストさんが乾かしてた。

角田　そういうこと言うんじゃねえよ！

豊本　下半身を乾かしてる最中、時間を節約するために上半身の部分だけ撮ることもありました。だから上半身だけ映ってるシーンだと、実はパンツ一丁だったり（笑）。

豊本をケータリングの人だと思っていた

──続いて舞台の話を聞かせてください。台本を読んで最初に思ったことはなんでしたか？

飯塚　「はけるシーンがないな」と（笑）。「いや、そんなわけねえよな……」って思いながら読み進めたらそのまま物語が終わって。オークラにすぐ「無理！」って言いました。

角田　「どうやってもはけられるシーンが作れない！ すまん！」ってオークラさんに言われてるところ見てましたよ。

飯塚　そうそう。それで、説得材料に使おうと思ったのか、オークラが過去にお芝居で2時間出ずっぱりだった役者はいるのか調べ始めて。三谷幸喜さんの舞台で佐藤B作さんが最初から最後まで出続けていたらしくて「だからお前もやれ」みたいな。「いやいやいや！」っていう。比べるところが違うでしょ、それは（笑）。

──最初は無理だと思ったにもかかわず、2時間やりきれた秘訣はなんだと思いますか？

飯塚　適度に力を抜く（笑）。ほかの人たちが舞台上で一生懸命やっているのに、そのうしろで僕は水を飲んでいるだけのときがあって。そのときは完全に気を抜いてます。

角田　舞台上で気を抜く経験ってないよね。

豊本　僕は芝居にかこつけて、飯塚さんのために水を運んでました。コーヒーを差し入れるシーンだと、その中の1個が実は水で、僕が飯塚さんの取りやすい位置に置くっていう（笑）。

飯塚　豊本をケータリングの人だと思っていましたから（笑）。そういう協力があってやりきれたと思います。でも、もし続編があっても、さすがに出ずっぱりはないだろうな。

角田　わからないよ？ やれるっていう実績を作っちゃったから（笑）。

──角田さんと豊本さんも、体力的にキツかった部分はありましたか？

角田　舞台の終盤で、階段を何度も上ったり下ったりするシーンがあって、あれはけっこうキツかったです。普段はあまりしない動きだったので、よくケガせずに済んだなって感じ。一応体力作りはしていて、山下くんが教えてくれたストレッチをやってました。山下くんが「イスをこうして」「脚を上げて」とか先生みたいに教えてくれて、それが稽古場で流行ったんですよ。

──山下さんは、全員でのダンスシーンでも先生役として指示を出していましたよね。あのダンスはすんなりと覚えられましたか？

飯塚　僕はダンスに自信ないんですけど、とよもっちゃんは意外と踊れるよね。

豊本　踊れるっていうか、少林寺拳法を昔やっていて。型を覚えるのに苦手意識があまりないのかもしれないです。

飯塚　「チョコレイトハンター」っていうラーメンズやオークラとユニットライブをしていたときも、豊本は踊れていたイメージがあります。