角田のライブビューイング恐怖症
──DVDに収録されているメイキング映像では、お三方が舞台裏で「楽しい」と言っているのが印象的でした。具体的にどういった場面で楽しいと感じましたか?
豊本 やましげ(山崎樹範)さんと追いかけっこするシーンはしんどいけど楽しかったです。取っ組み合いをする場面では、やましげさんが最終日、僕のお尻に指を入れてきたんです。しかも、お客さんには見えないところで! むちゃくちゃですよね。
──そんなことが起きていたんですね(笑)。本番中、アドリブはけっこうあったんですか?
飯塚 「お客さん、ストーリー入ってきてるのかな」って思うくらいアドリブだらけでした(笑)。ドラマだと、アドリブを入れすぎちゃうとオークラが「ちょっと抑えようか」ってストップをかけるんですけど、舞台はやったもん勝ちですから!
豊本 やましげさんも「やったもん勝ち」だと思ってお尻に指を入れてきたのかな?
飯塚 それに関してはどっちも負けてると思うけど……。
──(笑)。角田さんが演じていて特に楽しかったシーンは?
角田 山下くんが演じる仮面のYouTuber・アバキンと対峙するシーンです。その仮面を間近で見ると、無表情だけど目だけすごく演技していて、それが面白い。でも笑っちゃいけないので、こらえるのがすごくつらかったです。
飯塚 この作品は個性的なキャラクターが入れ代わり立ち代わり登場して事件を起こすので、やっている側も楽しい。毎回毎回新鮮な気持ちでできるんです。
──本番では思わぬハプニングもあったのでは?
豊本 ありました。印象的なのは僕のマイクが壊れたこと。舞台裏に戻る一瞬でスタッフさんがマイクを交換してくれようとしたんですけど、僕が焦って出ていこうとしちゃって。「まだですー!」ってコードを引っ張られました(笑)。
飯塚 こっちはその状況を知らないから、豊本がなんで出てこないのか意味がわからなかったんですよ。僕とやましげさんが「早く豊本出てきてくれー!」って思いながら場を繋いでたんですけど、だんだんムカついてきちゃって(笑)。ようやく出てきた豊本に、ツッコむシーンで怒りに任せてビンタしました!
角田 僕はそれを「はい、豊本怒られた」って思いながら裏で見てました(笑)。
──機材トラブルのほかに、セリフが飛んだりするミスはなかったですか? 特に角田さんは舞台前の取材時、ライブビューイングで中継されていることを意識するとセリフを失敗してしまう「ライブビューイング恐怖症」だとおっしゃっていましたが……(参照:東京03「漫画みたいにいかない。」舞台化に感謝、第10弾くらいまでやりたい)。
角田 はい、いつも通り失敗しました(笑)。1回失敗しちゃうと「次のライブビューイングでは失敗しないように」って意識してまた失敗するんですよね。全ビューイングがダメでした。
飯塚 そんな人、逆にいないよ(笑)。大勢の人に見られてるところを想像しちゃうんでしょ。
──角田さんとしては、ライブビューイングを内緒にしてもらったほうがいいんじゃないですか?
角田 そうですね。ぜひ“こっそりビューイング”でお願いしたいです。
飯塚 そんなことしたら「いつライブビューイングしてるか」っていう不安が常に付きまとうじゃん!
角田 確かに! 全公演ダメになるわ! だったらちゃんと言ってもらって、その日だけダメなほうがマシか。
飯塚 いや慣れろよ! (笑)
まだまだやらなきゃ
──改めて舞台「漫画みたいにいかない。」のここを見てほしいというポイントを教えてください。
豊本 この作品の魅力はやっぱりストーリー。わかりやすいし、コメディとしてよくできているので、舞台をあまり観ない人でも自然に入り込める。間口が広い作品だと思います。
角田 王道のいいコメディになってるよね。僕が推したいのは、山下くんのコメディセンスが爆発している部分。あと自分に関しては、出はけを間違えずにちゃんとやっているところ。ちゃんと舞台に出てこられたところは評価してほしいです。
飯塚 ハードル低くない!?
──ライブビューイングのプレッシャーの中でがんばったということですね(笑)。ほかにもイラスト周りを担当したニイルセンさんやオークラさんといった、昔から東京03さんと活動してきた人たちが集まっている点もファンにとっては魅力的です。
飯塚 ニイルセンは単独ライブで散々お世話になっているので、信頼していました。でも実はイラストになったのは出演者だけじゃないんです。彼はスタッフさん全員の集合写真をもとに、1人ひとりイラストにしてくれて。圧巻でした。それ、誰にも頼まれてなくて、勝手に1人でやったんですよ。怖くないですか?
角田 なんで怖い話みたいに言うのよ(笑)。「すごい」で終わらせなさいよ。
飯塚 すごすぎて怖いというか(笑)。でもあの絵はいい思い出です。気持ちがこもっている感じがしたよね。ニイルセンのイラストは劇中にも登場するので、ぜひ注目してください。
──オークラさんともずっと一緒に作品を作ってきたと思います。オークラさんの脚本は昔と比べて変化を感じますか?
飯塚 ここ最近はメッセージ性が強い気がします。セリフの重みとか深みが、やっぱり若い頃とは全然違って、いいセリフが多い。今後、コント寄りじゃないドラマとかも書いていく人なんだろうなって思います。「漫画みたいにいかない。」の編集作業もオークラがやっていたんですけど、それがすごく楽しかったと言っていたので、そのうち映画も撮るんじゃないですか? そうなったらぜひ僕らも出たいですね!(笑)
──ぜひ実現させてほしいです! ちなみに、今後の展開として「漫画みたいにいかない。」がマンガ化されたらどうですか?
豊本 あはははは!(笑) 読んでみたい。
角田 すげえ読みたいですけど「俺らいらねえのかよ!」とは思います(笑)。
飯塚 そっちのほうが人気出ちゃったら複雑だよね!
豊本 それが映像化されたら、別の俳優がやっちゃうんでしょ?
角田 最悪だよ!
──(笑)。「漫画みたいにいかない。」は「こういうことがしたかった」と思えるような作品だとおっしゃっていましたが、それに出演できたということは、昔から思い描いていた目標に到達したと言えますよね。今は満足感や達成感で満たされているのでしょうか?
飯塚 やっている最中は満足感があるんですけど、作品が終わると「またやりたいな」って思います。終わったときは達成感というより喪失感が強いかも。
角田 「これをまた続けていきたい」ってなります。
飯塚 続けなきゃいけないから。終わったまま自分たちもパッと消えられたらいいけど(笑)。
豊本 まだいるからね(笑)。
飯塚 結局、満足しないまま死んでいくんだろうなあ。
角田 まだまだやらなきゃだね。
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山下健二郎&山本舞香からの手紙
- 舞台「漫画みたいにいかない。」
- 2018年8月13日発売 / バップ
-
[DVD]
4104円 / VPBF-14708
- 出演者
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東京03 / 山下健二郎 / 山本舞香 / 山崎樹範 / 島崎遥香
まったく売れないマンガ家の悲哀に満ちた日常をシニカルな笑いと哀愁で描くシチュエーションコメディ。うだつの上がらない中年マンガ家・戸塚オサムを東京03角田が、その担当編集者・足立徹を東京03豊本が、オサムの幼なじみで定食屋の店主をしている鳥飼昭雄を東京03飯塚が演じている。また山下健二郎(三代目 J Soul Brothers)がオサムと一緒に暮らすアシスタント・荒巻弘彦役、山本舞香がオサムの1人娘・るみ役を務めた。監督・脚本をオークラ、イラストをニイルセンが担当している。
舞台版にはゲストとして山崎樹範、島崎遥香が出演。東京03とコミカルな掛け合いを繰り広げた。
- ドラマ「漫画みたいにいかない。」上巻
- 2018年2月9日発売 / バップ
- ドラマ「漫画みたいにいかない。」下巻
- 2018年3月16日発売 / バップ
- 東京03(トウキョウゼロサン)
- 左 / 角田晃広(カクタアキヒロ)
1973年12月13日生まれ。東京都出身。 - 中央 / 飯塚悟志(イイヅカサトシ)
1973年5月27日生まれ。千葉県出身。 - 右 / 豊本明長(トヨモトアキナガ)
1975年6月6日生まれ。愛知県出身。 - 2003年に結成し、「キングオブコント2009」で優勝。今年7月から9月まで「第20回東京03単独公演」を12都市で開催している。プロダクション人力舎所属。