ナタリー PowerPush - JINRUI
奇跡の復活を遂げた名コンビ 第一弾ネタライブがDVD化
かつて「タモリのボキャブラ天国」時代に一世を風靡したお笑いコンビ・松本ハウス。人気がうなぎ登りだった1999年初頭にハウス加賀谷の体調不良により活動休止状態に陥り、“絶頂期に消えたコンビ”として人々の記憶に強く刻まれることとなった。
しかし、約10年の時を経た2009年10月にコンビ名を「JINRUI」に変えて完全復活。活動再開に伴い、松本キックは「シンカ」、ハウス加賀谷は「加賀谷くん」という新芸名に変更した。JINRUIはその後、今年2010年3月には東京・北沢タウンホールにて「松本ハウス復活第一弾ネタライブ『JINRUIの誕生』」を開催するなど、精力的な活動を続けている。
今回お笑いナタリーは、この復活第一弾ライブの模様を収録したDVDの発売を記念して、2人にインタビューを敢行。コンビの出会いから現在までを駆け足で振り返ってもらった。
取材・文/遠藤敏文 撮影/中西求
初めて会ったとき「こいつは犬だ!」と思った
──今回お笑いナタリーPower Push初登場ということで、あらためて2人の出会いのきっかけから聞かせていただけますか?
シンカ 今はフリーで活動しているんですけれども、前にいた事務所のオーディションがありまして、そこで初めて会いました。当時僕が22歳、加賀谷が17歳で、初めて見たときの加賀谷の印象は、「なんなんだこいつは!?」という感じでしたね。何もないところで、「……むふぅんっ、……ぁあんっ」って悶絶してるんです。気になったんで、じーっと見てたら「あっ」とひらめいて、「こいつは犬だ!」と思ったんです。なんか犬っぽい目をしてるなと。で、普通に「ワンちゃん!」って呼んだんですよ。そしたら「はいっ!」って振り向いて(笑)。そこからいまだにずっと「ワンちゃん」って呼んでるんですけどね。
加賀谷くん シンカさんは初めて会ったとき尖ってましたね、バリバリ。そのときシンカさん、LEEのジーパン履いてたんですけど、おしりムッチムチなんですよ。太ももパッチパチで、エッチだったんです。
シンカ おまえがそういうふうに見てるだけでしょ! それ見て「……むふぅん、あぁん」じゃ問題ありだよ、このコンビ。
加賀谷くん そういう意味じゃないですけど、たくましいお尻と太ももが、もうコーヒー入れるだけでもムチムチムチムチ動くんですよ。
シンカ そんなとこしか見てないだろ、おまえ!
──そんな2人がどうしてコンビを組むことになったんでしょうか?
シンカ その事務所に一緒に入った同期が3人しかいなかったんです。で、僕と加賀谷は漫才をやりたい、もう1人がコントをやりたいって言ったんで、そこで分かれて2人でコンビを組むことになりました。実は初期の頃に1回解散もしてるんですよ。
加賀谷くん あっ、そうでしたか! そうかもしんないです!
シンカ すべてお前に原因がある!
加賀谷くん すいません、すいません。申し訳ないです、兄貴。
シンカ 練習するときに、「じゃあ何時ね」って待ち合わせするじゃないですか。でも、全然来ないんですよ。電話すると、「すいません寝てました! 今からすぐ行きます!」って。しょうがないなと思って、ずーっと待ってると、1時間ぐらいしても来ないんです。また電話すると、「すいません2度寝しました!」って。「おまえまた寝てたのか!」「ホントにすぐ行きます! すいません!」で、また1時間ちょっと過ぎても来ない。電話したら「すいません! また寝てました!」と。最後に言ったのが「今日、行かなきゃいけないでしょうか?」ですよ(笑)。「ふざけんな、お前はー! お前なんかとやってられっか!」って漫才のオチみたいな話になって。
加賀谷くん 若気の至りですね。
シンカ その時点で1回解散したけど、最終的には事務所の意向で「加賀谷の面倒見てやってくれないか」って、保護者的な存在としてコンビを組むようになったっていう形ですね。
加賀谷くん えぇ、よかったですよ、本当に。
「ボキャブラ天国」時代のエピソード
──その後、お2人は“松本ハウス”として「ボキャブラ天国」(フジテレビ系)で一世を風靡しましたね。当時のエピソードで印象に残っていることは?
シンカ だいたい収録の1週間ぐらい前に10本の台本を制作会社のほうに送らなきゃいけないんですよ。10本送って「じゃあこれとこれ撮りましょう」っていう形になるんですけど、一切送らなかったんです。
加賀谷くん シンカさんがもう書かないんですよ。のんびり屋さんですからね、僕以上に。
シンカ いや-、ほんと腰重いんですねー。こいつに言わしたら「ケツに火がついても動かない」っていう。困ったもんなんですけどね。
──そんな状態でもずっと番組に出られていたのはすごい。
シンカ だから、結局ネタ撮りをする当日の朝とかに集まってバーって作ってたんです。本当にありがたいことに特別にそういう形を許してくれていたので、迷惑をかけたと思いますけど。
加賀谷くん シンカさんがそれじゃいけないと思って、1回「徹夜だー!」って言って夜中に稽古場で作ろうとしたこともありました。ただ、なんかちょっとシンカさん乗り気じゃないんですよ。「ちょっと、ゲームやろうか?」ってことになって……。
シンカ たまたまその稽古場にテレビとプレステがあったんですね。
加賀谷くん 「バイオハザード」があったんですよ。パート1が出たすぐの頃。そりゃ面白いですよ、あれは!
シンカ で、ずーっと「バイオハザード」やってて朝4時ぐらいになって、ネタ撮りが7時からだったんですけど、「これはマジでヤバい! あかん、やめる俺は! やめるから俺はネタ作るよ!」って言ったら、こいつがですよ。
加賀谷くん 「クリアさせなきゃいけないじゃないですか!」
──あはははは(笑)。
シンカ 続きやりだしたんですよ! で、6時半ぐらいになって「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!」って。結局移動の間に作りましたね。結構むちゃくちゃでした。
JINRUI(じんるい)
左/加賀谷くん(1974年2月26日、東京都生まれ)、右/シンカ(1969年3月8日、三重県生まれ)。1991年に松本ハウスとして活動開始。1999年から約10年間の活動休止期間を経て、2009年10月に新コンビ名「JINRUI」として完全復活。JINRUIという名称は、「加賀谷くんに人間になってほしい」というシンカの願いから名付けられた。