いや、お前らがやれって言ったんだろう！

──今回のDVDボックスに収録されている中で、特に印象的な企画はどれでしょうか。

（リストを見ながら）ちょっとマニアックなところを選ぼうかな……。「鬼奴が行く！超田舎に泊まろう in ラオス」。

──あはははは（笑）。

鬼奴の登坂能力のなさ。上り坂をあんなにゆっくり歩く人を初めて見ました。泊めてもらえたお宅で、自分の人生を振り返ってすぐ泣いちゃうところもいいですよね。あれは超笑えます。奴さん面白いんだよなあ。あの人に似ている人はいないです。それと、「私はやりたくない」って常に「イッテQ！」に対して否定的なところがいい。その気持ちを貫いているところを評価して、この企画を選ばせていただきます（笑）。

──ほかにはありますか？

BOX-BLUE「発展途上アクティビティ in ニュージーランド」より。

BOX-BLUE「珍獣ハンターイモトワールドツアー～アメリカ横断ツアー～」より。

「発展途上アクティビティ in ニュージーランド」は親方（＝森三中・大島）がスライダーで飛んでいった回ですね（笑）。親方のジャンプは何度見ても笑える。ディズニーアニメかな？と思いました。あとは「内村セレクション」として選んだ手越（祐也）くんの「世界一怖いバンジージャンプ」。「007」の映画でさえスタントマンがやっている、ダムからのバンジージャンプなんですが、本人がカメラ目線で、堂々と笑顔で何の気負いもなく飛び降りていったときに、すごいなと。彼の底知れなさというか、ただのカッコつけじゃないことを示すようなハートの強さを感じました。「珍獣ハンターイモトワールドツアー～アメリカ横断ツアー～」では、イモトがスタントマン顔負けの「ウイングウォーキング」にチャレンジしています。ジャン=ポール・ベルモンドと同じことをイモトがやっていることにびっくりしました。あの頃、彼女も狂っていたと思うんです。マックスの状態。ただのタレントじゃない、“冒険家女優”というのでしょうか。こんな存在、彼女しかいません。

──「内村セレクション」には盟友・出川哲朗さんがマジックショーを披露した「エンターテイナー出川 in アメリカ」も収録されています。

マジックショーの最中に「何の変哲もない」とか気に入ったセリフを何回も言うでしょう（笑）。出川さんはいろいろ面白いんですが、やっぱり彼の醍醐味は台本には書けないしゃべりですね。

──今回の特集を組むにあたり、ほかの出演者の方々にもアンケートに回答していただいています。そのうちの1つで、スタッフの方に対して「マジか!?」と思った瞬間があれば内村さんにもお聞きしたいのですが。

「マグロ一本釣り」のときです。「内村さん、ずっとこの2年間マグロ釣りたいって言ってたじゃないですか！」って言われて。あのときは信じられなかった！（笑） 一言も言ってませんから。それとまったく同じ手法で、「どうしてそこまでして大車輪をやりたいんですか？」とも言われました。いや、お前らがやれって言ったんだろう！っていう。そのすり替えが非常にうまい。その能力に長けたスタッフたちです（笑）。

成功しようがダメだろうが、自分をさらけ出している

──もう1つ、「イッテQ！」はこのたび10周年を迎えましたが、長く愛されている理由についてどうお考えでしょうか。

成功しようがダメだろうが、とにかくみんなが、すごく自分をさらけ出していることだと思います。ロケの間、毎日みんな一生懸命過ごしている。森山あすかは自分の手を噛ませて捕まえるヌードリングっていう漁に挑戦したんですが、毎日上達していくのを観ていて、なんか涙出そうになるんです。限界まで見せているのが観ている人にグッとくるんじゃないでしょうか。くだらなくて笑えるシーンもたくさんあるんだけど、「自分もがんばろう」って思う勇気をもらえるような気がします。

──以前お笑いナタリーでお話を伺ったとき（参照：DVD「謎とき冒険バラエティー 世界の果てまでイッテQ！」特集 内村光良×宮川大輔対談）に、「全員でロケをしたい」とおっしゃっていました。実現しそうですか？

行きたいですねー。日本でもいいから泊まりで。みんな宴会芸も持っていますから。10周年の間にできればいいなと思います。

──番組10周年の節目を迎えて、次の10年で番組がどうなっているのが内村さんの理想ですか？

あと10年となると、私と出川くんは還暦を超えるんです（笑）。そこで何をやれるか、ということになると思うんですが、できれば変わらずにやっていたい。「またこんなことやって体張ってるんだ」とか「まだ“出川イングリッシュ”やってるんだ」とか、やっていることは変わらないけど体が言うことを聞かなくなってるっていう、歳を取った感じも含めて面白がってもらいたいですね。