お笑いナタリー Power Push - 稲川淳二×ダイノジ大谷

ライブツアー「稲川淳二の怪談ナイト」23年連続公演決定! ダイノジ大谷が聞き出す稲川流・怪談の極意とは?

稲川淳二のラジオ局にまつわる怖い話

大谷 僕、今ニッポン放送でラジオをやっていて。稲川さんは「オールナイトニッポン」も含めての先輩なんです。「ラジオから出てきた方」っていう感じですもんね。ニッポン放送で霊を見たという話も……。

取材の序盤、大谷から繰り出されたこの言葉をきっかけに、稲川がラジオ局にまつわる怖い話を立て続けに披露してくれた。聴く者の想像力をかき立てる稲川の語りを、その魅力の断片ではあるが記しておく。

絶対に使えないシャワールーム

ラジオ局ってそういうの昔からあるんじゃない? 霊的なものが集まりやすい。磁場を作るというか。

あのねえ、当時の糖業会館(ニッポン放送やフジテレビが入居していたビル)って、砂糖が儲かった時期に作った建物なんですよね。建物を作ってる材料がよくて、シャンデリアとかステンドグラスとかあって、教会のような作り。文化放送も、もともと教会だったんですけどね。

ニッポン放送の地下にはシャワールームがあったんですよ。みんな泊まりがけで夜中まで放送するし、朝も放送するから泊まるじゃないですか。そういう人のために。でも「そこは使えないよ」って初めに言われたんですよ。なにか事件があったんでしょう。「絶対そこは使わないでくれ」って。入れないんですよ。

私そういうの好きだから、探検したことがあったのね。でも入り口がないんですよ。みんな行くんだけど、埋めてあってわかんない。

当時の社屋は3階に喫茶室があって、暗幕が下がってたんです。「あの暗幕はなんだろう?」と。私は設計をやるほうの人間だから、考えちゃう。幕の向こうには何があるんだろう、と思って幕をめくった。

そしたら、階段があったんですよ。上る階段と下りる階段があった。でも、下りる階段は途中で壁なんです。上の階段は、途中で天井なんですよ。上へも下へも行けない。それなのに暗幕が下がってる。あれはどうして、ああなったんだろうなあ。

写真に映らないスピーカー

ニッポン放送で、一度おすぎが私にね「淳二、コックリさんやって?」って甘えるんですよ。やってたら途中で、調整室の明かりがおかしくなって。「なんか変だなー」と思ってたんですよ。

その瞬間ですよね。スタジオの中に、いろいろ紙が置いてあるじゃない? その紙が全部スパーン!って飛んだんですよ。スタジオだから風なんか吹かないのに。おすぎが「イヤー!」って。

スタジオには白い壁に点々と穴が空いてるんですが、その向こうになんか見えてるんですよ。「なんだろう?」って。輪郭がこう見えたらさ、子供ですよ。走ってったの、シュー!って。それでみんな騒ぎになって。結果的にそのとき、放送は止まってたの。

当時はファンの人もスタジオに入って放送を観てたんですよ。常連さんが写真を撮ってた。スタジオには大きなスピーカーが2つあって、台の上に乗ってたんだ。その間には時計がある。常連さんの彼がスタジオで撮った写真には、そのみんなで騒ぎになっていた8分の間だけ、このスピーカーが映ってないんですよ。「なんで映ってないんだ?」って。こんな大きいスピーカーが。

そこにないのに鳴るピアノ

文化放送でも、私がずっと出てる番組があったんですよ。夏だからって怪談のコーナーがあって、私がそのコーナーで話してたんですね。一番大きいスタジオで、MC席には局のアナウンサーの人とアシスタントがいて。すごく怖い雰囲気になってたんです。

話が終わった瞬間、突然ピアノが鳴ったんですよ。「キャー!」って悲鳴が上がって。MCのアナウンサーが「誰だよ! ふざけてピアノ弾くのやめろよ!」って。そこにいつもグランドピアノも置いてあったから。でも、気付いたんです。ピアノがなかった。今までいつもあったピアノだから、鳴ったんだから、絶対そこにあるピアノが鳴ったと思うじゃない? でもピアノなんかないんですよ。おかしいじゃない?

また文化放送で、録音で番組をやったんです。「稲川さん、おかしいことがある。話をしている後ろで賛美歌が流れてる」ってスタッフに言われるんですよ。もともと教会だから賛美歌はわかるんだけど。「もしかしたら昔の音が空中にあって流れたんじゃないか」って。これは解明してもらおうと思って音の専門家のところに行って聞いたらば、賛美歌に聴こえるんだけど、ピアノの音だったんですよ。

後になってさ、文化放送が一部改装されて、スタジオを作り替えたんですよ。三角形になっているスタジオが作られたのね。そこでレギュラー出演を頼まれて。「面白いスタジオ作っちゃったんだねー」って思ってね。三角形でしょう? コーナーの端に、カーテンが閉まっているわけだ。「なんであんなところにカーテンなんか閉まっているんだろう?」って。開けてみたら、そのピアノが置いてあったんだ。

ダイノジ大谷の感想

チケット代払いたいです(笑)。ものすごく集中して真剣に聴いちゃう。聴く側のリテラシーが上がるんですよ。稲川さんは空間を支配してる感じがする。いやー、堪能しました。僕らも怪談ライブをやってて、いつか稲川さんをゲストに呼びたいなんて言ってましたけど、稲川さんがいらっしゃったら全部持っていかれる!

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「稲川怪談クラシック」
「稲川怪談クラシック」
[CD] 2015年7月8日発売 / 2160円 / ハッツアンリミテッド / HUCD-10187
クラシック音楽には恐怖をイメージして作られた名曲が数多く存在する。そんなクラシック音楽と稲川淳二の怪談が強烈な融合を果たした。このアルバムには、名曲の数々と稲川セレクトによる怪談が収録されている。

「MYSTERY NIGHT TOUR 2015 稲川淳二の怪談ナイト」

稲川淳二の怪談ナイトとは?

1993年に開催された「川崎ミステリーナイト」を発端に、1995年より毎年行われている稲川淳二の全国ライブツアー。怪談約90分、心霊写真解説約30分の2時間構成で怖い話を届ける。毎年趣向を変えた豪華な美術セットも魅力の1つだ。

「稲川怪談クラシック」 / 2015年7月8日発売 / [CD] 2160円 / ハッツアンリミテッド / HUCD-10187
「稲川怪談クラシック」」
稲川淳二(イナガワジュンジ)
稲川淳二

1947年生まれ。東京都渋谷区出身。タレント、工業デザイナー、怪談家。ユニJオフィース所属。

ダイノジ・大谷ノブ彦(オオタニノブヒコ)
ダイノジ・大谷ノブ彦

1972年生まれ。大分県佐伯市出身。相方の大地洋輔とダイノジとして活動中。8月27日(木)に静岡・沼津ラクーンよしもと劇場にて、「ダイノジ大谷ノブ彦の怖い話」を開催。同日同会場で行われる「よしもと歌うま選手権~ネタとカラオケ大会~」にも出演する。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。