「今田×東野のカリギュラ」シーズン1徹底解説  闇に葬り去られた企画書はいかに生まれ変わったか

総合演出・姉崎正広インタビュー

また大変な番組を背負っちゃったな

──まずは姉崎さんがどのようなテーマで「カリギュラ」を演出してきたか、教えてください。

姉崎正広氏

こだわったのは「人間のリアルを見せる」ということです。僕は人間の本質に迫れば迫るほど、地上波では映せない面白い部分が見えてくるのではないかと思っていて。例えば、人間が生き物を殺して食べるという行為の「殺す」の部分が世の中では隠されてしまっているので、“狩りシリーズ”はそこに焦点を当てました。最初、目の前で倒れている血だらけの鹿に僕も東野さんも絶句しましたが、そんなリアルをバラエティとしてどう見せていくのかを常に考えています。

──人間のリアルに迫る衝撃的な企画が好評で、シーズン2が決定しましたね。

「また大変な番組を背負っちゃったな!」って感じです(笑)。シーズン1を撮り終えたあとゆっくり正月休みをとってたんですが、そのときにシーズン2決定の連絡が来て、一気に不安になってきて正月休みどころじゃなかったです(笑)。カリギュラは「禁止されたらやりたくなる」という意味で、番組自体も「埋もれていた企画を好奇心で掘り起こしてリアルを追求していく」というコンセプト。企画の採用基準は「人間のリアルが見えるか?」なので、これが満たせるのだったら、成立させるのが難しそうなことでもやろうと思っています。その分ギリギリを攻めた企画に挑戦しなきゃいけないし、シーズン2となったらさらにプレッシャーもかかります。でも新作を撮れるのはうれしいし、それを今田さん、東野さんに見てもらうのも楽しみ。単純に“Wコージ”が2人きりで自由に少年のように楽しんでいる番組って今ないと思うので、そこも「カリギュラ」の醍醐味だと思います。

火だるまになったノブコブ吉村が「俺、カッコよかった?」

──シーズン2ではどんなリアルに迫っているのでしょうか?

「人間火の鳥コンテスト」より。

参加者が火だるまの状態でいかに遠くまで飛べるかを競う「人間火の鳥コンテスト」という企画では、一歩間違えたら大事故という極限状態に追い込まれた挑戦者からリアルな言葉があふれ出しています。チャレンジ後、ほとんどの人が「生きててよかった」と酒盛りしている中、平成ノブシコブシ吉村さんだけは「俺、カッコよかった?」って聞いてきたんですよ。昔のバラエティを取り戻したいという思いに燃える吉村さんならではのいい言葉だなと思いました。

──企画によって吉村さんの本質が引き出された瞬間ですね。

人間のリアルを突き詰めた結果、シーズン2はドキュメンタリー色や感動要素がより強くなっているかもしれません。あるAV監督さんが過去に迷惑をかけて以来、何十年も会えていない女優さんに再会するドキュメント「再会 ~地上波では会えないあの人に会いたい~」という、感動をメインにした企画もあります。あえて感動企画を作ろうと思った理由は、シーズン1の「母ちゃん、オレオレ詐欺選手権」に対して「感動した」「母親のホッとする顔で泣けてきた」という視聴者の声が届いたこと。あとは「僕も1回くらいギャラクシー賞を獲ってみたい」という欲が出たからです(笑)。

後藤祐樹が登場する「デスペラード ~ならず者よ、正気に戻ったらどうだい?~」より。

──(笑)。シーズン2には、前回のシーズンで自身の半生を語った元EE JUMPの後藤祐樹さんがまた登場するとお聞きしました。

今回は後藤くんがタトゥーを入れようと考えている一般女性を叱りに行くんです。彼は「女性がタトゥーを入れるのはリスクが大きいんじゃないか」という気持ちがあるらしく、かなり真剣に説得していました。タトゥー娘たちのリアル、人間の奥の奥のほうまで迫っていると思います。

──前シーズンから繋がっている企画もあるんですね。

「特効野郎 Aチーム」より。

はい。“平成最大の爆破”に挑んだ「特効野郎 Aチーム」という企画は、シーズン1の「自作自演やらせドッキリ ロバート秋山編」と繋がっています。「西部警察」などを担当していた大平特効(=大平特殊効果)が「やらせドッキリ」の爆発シーンを手がけてくれた際、火薬職人さんが「こんなに火薬使えるのは久々だ」って喜んでくれたので、バラエティ史上最大規模の爆破をしてもらうことにしました(笑)。このご時世、爆破シーンもCGが主流で火薬職人の仕事は減っているんですが、彼らのような専門職のリアルにも焦点を当てていきたいです。