バナナマンの単独ライブはこれからも続く「bananaman live H」発売記念インタビュー (2/3)

日村、稽古場で大量のお菓子を食べなくなった

──稽古はいつも通りに進みましたか?

設楽 なかなか日村さんと時間が合わなくて「やばい、やばい」なんて思っていたら、台本がわりかし早く上がったから練習はいっぱいできたよね。

日村 そうそう。僕はいつも後輩と合わせて、なんとなくセリフを覚えてからいざ本物と稽古するんですけど。

設楽 “本物”って僕のことです(笑)。

日村 今回は最初から本物とやれたのがよかったですね。だから覚えが早かったと思う。

設楽 僕も期間が空いて不安だったし、けっこう2人で合わせました。あとはまあ、稽古の楽しい部分、ごはんを稽古場で作って食べるとか、そんなのもやりましたね。

バナナマン

バナナマン

──今回稽古場ごはんでヒットしたものは?

日村 いろいろやりましたけど、お好み焼きがすごい印象的だったなあ。

設楽 お好み焼きね。

日村 もう稽古場でお好み焼きやってるんですよ(笑)。過去に食べたお好み焼きの中でもけっこう上位に食い込むくらいうまかった。稽古場で作ってるとは思えないくらい。

設楽 イワタニの卓上コンロ2台と、ホットプレートとかいろいろ持ち込んでね。

──稽古場飯のお店も出せそうですね。

日村 いいですね!(笑) 稽古場鍋も全部おいしいからね、うちは。

──衣装展あり、屋台ありのイベントをぜひ。

設楽 “バナナ万博”みたいな(笑)。前と変わったことで言うと、今回は日村さんがお菓子をあんまり食べなかった。

日村 毎回「日村まつり」と言ってドン・キホーテでお菓子をどさっと買うんですけど。

設楽 いつもはうまい棒の束をパンダが笹抱えて食べるみたいに、剥いては食べ、剥いては食べしているのに。

日村 250本、1カ月で食べちゃったりね(笑)。

設楽 「ソフトサラダ」って名前だから大丈夫だと思っているのか、せんべいもものすごい食べてる。

日村 そうそう。サラダだから。

設楽 そういう光景はあんまり今回見ませんでした。

日村 お菓子食べたり、昔だったらティッシュを丸めて遊んでたりとか、ああいうの全然やらなくなったね。

設楽 なかなか時間がないからね。丸めた紙でバレーボールみたいなことは毎回やってて、それが楽しくて稽古場に行ってた時期もありましたね。

バナナマン

バナナマン

オープニングコントの高揚感

──3年ぶりにライブの幕が上がったときの心境はいかがでしたか?

設楽 ライブが始まった瞬間、会場の熱量がグッと上がった気がしました。お客さんと我々との見えない何かを感じたというか。最近のスタイルとして、オープニングコントにはポスターの2人が出てくるようにしているんですけど、開場中の照明から完全暗転して、立っている日村さんの股の間から目つぶし(ステージの後ろから客席に向かって当てるライト)で光がビャーっと出てから2人の姿が現れると、「はあー……」ってお客さんの反応があるんだよね。

日村 あるね。あるだけに、緊張するんです! あのリアクションうれしいけど。

設楽 始まりを意識した演出なんですけど、あの高揚感、バッと現れた感がいいよね。

コント「House of God」のワンシーン。

House of God

3日前に辞表を出したという男。「好きに生きていく」と教会で決意表明をするが、友人が述べる正論を聞いて考えを改める。

設楽 このくらいの年代の人たちが抱えることや、世の中のムードみたいなものを入れ込んだ感じです。

日村 バナナマンらしいスタートのネタの印象ですね。だからこそ、この2時間の中で一番緊張しました。ここが決まるとライブ全体が決まってくるから、絶対に決めたい。それだけにやりがいもあります。

設楽 ネタの最後に「全部元に戻りますように」という日村さんのセリフがあって、「(コロナ禍の)世の中が元に戻りますように」みたいなメッセージもなんとなく乗っけていたんですよ。でも日村さん、たぶんわかってないなと思って伝えたら、「ああー、そうなんだ!」って。やっぱりわかってなかった(笑)。

日村 「いいねえ、それ」みたいな(笑)。そういう裏テーマがあったんだなと。

設楽 日村さんって昔からそうだよね。そんなに意味を深く考えない。でもそれで演じちゃう。すごいアクターですよ。

稽古の段階でA+出た

コント「Helpless」のワンシーン。

Helpless

自分は打たれ弱いのではないかと悩む男が、悪口への耐性をつけるため友人に“トレーニング”を依頼する。

──“ザ・バナナマン”という印象のコントでした。

設楽 お笑いライブとかに出ていた頃のネタっぽいですよね。ちょっと短くしてもできるような。台本上でギャグを言ってるわけではなくて、わりと演技で見せるやり取りだから難しいネタでもあります。上から言ったり、下手に出たり、キャラクターが変わるのでお互いがちょっとズレるだけで面白くなくなっちゃう。

設楽統
設楽統

設楽統

日村 肩の力が抜けて、いい間でできるとすごく面白いんですよ。

設楽 練習ですごい面白くなったときがあって。もう笑っちゃうんですよ。おかしくておかしくて。でも、それが本番で出なかった(笑)。

日村 あっはっはっはっは! やっぱりね、あれは超えられなかった(笑)。

設楽 あれを毎回出せるようにならないとダメなんですけど。

日村 けっこう稽古の序盤で正解を出しちゃって。

設楽 そうすると放置しちゃうんですよ。このネタできたなと思って。自分たちの中で査定があって、CとかBのやつを引き上げないといけないから、A+を出しちゃうと置いておいちゃう。でも本番も面白かったけどね。

日村 そうだね。いい回のやつが収録されたと思います。

実は20年以上前のネタ

コント「Happy Blueberry」のワンシーン。

Happy Blueberry

親戚からブルーベリーが大量に送られてきた。そのブルーベリーをジャムに、ジャムをパイに作り変え、施設に贈ると今度はお返しに大量のじゃがいもをもらってしまい……。

設楽 これ、実は20年以上前にやってるネタなんです。

日村 25年くらい前だね。

設楽 1、2回ライブでやっただけだし、映像化もされていないので、知ってる人はほとんどいないんじゃないかな。今回は「H」なので全部「H」から始まるネタのタイトルにしているんですけど、「History(ヒストリー)」という意味でバナナマンの歴史の要素も入れようと思ったときに、このネタを掘り起こしてみたんです。ネタ自体すごく好きで、単独ライブのときによく「ブルーベリーみたいなネタを入れたい」という話になるんですよ。こういうちょっと変わった目線のネタがあるとライブの幅が広がるから。それで今回やってみたら、意外と古さは感じなくて。もちろんやり方や細かい部分は直しているんですけど。

──確かに初期のバナナマンコントの雰囲気があって、恐ろしい終わり方をするんじゃないかと思いました。

設楽 まさにそういうイメージかもしれません。ブラックなオチだったんです、元は。お芝居は再演という形がありますけど、焼き直しして、なおかつ新しくして見せるってあんまりお笑いではできないじゃないですか。だから今回はちょっとそういう試みにもチャレンジしてみた感じですね。