映画「樹海のふたり」が来週7月6日(土)よりユーロスペースほかにて順次全国公開。主演を務める
富士山の麓にある原生林の森「樹海」を取材したテレビディレクターの実体験をもとに制作された「樹海のふたり」。人生の重さや、生きていくことへの希望と再生を描いたヒューマンドラマとなっている。フリーディレクターの竹内(板倉)と阿部(堤下)は「富士の樹海に入る自殺志願者」のドキュメンタリーの取材を続けながら、自身もまた家族とのさまざまな問題を抱え葛藤する。脚本・監督を務めたのは「新宿ノラ猫物語」「マンホールチルドレン」などのテレビドキュメンタリーを手掛けている山口秀矢。自殺志願者の中年男性役にきたろうが配役されているほか、遠藤久美子、中村敦夫、烏丸せつこ、長谷川初範ら多彩なキャストが脇を固めている。
本作で初主演を務めることとなったインパルスの2人。板倉が「ついに来たな、と。ここに到達するためにやってきたんで」と“役者スイッチ”全開で応答する中、堤下は「コンビで主演っていうのがびっくり。さらに『笑い』ではない作品にっていうのが驚きました」と話した。また、撮影が進むにつれ監督からの扱いが変化していったことも告白。「(堤下は)助演って言われてたからね、監督に」(板倉)、「監督もわかっちゃうんでしょうね、1カ月も接したら(笑)」(堤下)と話したほか、音声スタッフに板倉がイタズラを仕掛けて楽しんでいたことなど撮影中のこぼれ話も明かした。
相方とのダブル主演でやりやすかったかどうか尋ねると、堤下は「僕はやりやすかったです」ときっぱり。一方板倉は「異様にやりづらかったです。なんかね、波長が合わないっていうか」「彼の間は彼の間で正解なんだと思う。ただね、僕の間じゃない」と依然役者モードで淡々と語る。また、コントの大先輩であるきたろうについては「迫力がすごかった」(板倉)、「役にガッと入ってて。食べるシーンの前に、本当に腹空かせてくる」(堤下)と2人とも感心した様子だった。
役どころについて、お金や女性に揺らぐ阿部を演じた堤下は「まったく同じかな。そういった意味では」と潔く認める。それに対して板倉も「金欲と性欲が原動力だもんね」と太鼓判を押した。堤下は板倉演じる竹内の、1つのものに没頭する性格が板倉に共通すると分析。それを受けて板倉は「周りからは『すごいね』って言われるけど、本人からしたら、ただそれにハマってるだけなんです」と解説した。最後に思い入れのあるシーンを聞くと、堤下は「この映画じゃないと見られないんじゃないかな」ときたろうと3人でのシーンを挙げたほか、「あと主演なんてこれから先ないでしょうから、我々がずっと出続けてるのを見ていただきたいです」とコメントした。
インパルス コメント
──映画初主演ということですが。
板倉:怖いですね。こんだけそうそうたる人たちがいて、本業じゃない自分たちがいていいのかなって。
──ではプレッシャーもありましたか?
板倉:それはなかったかな……。そこ飲まれたら役者は終わり? って感じだった。毎朝生卵飲んで、そっから走って行ってたから、俺は。
堤下:……なんだ? お前。
──役作りはされましたか?
板倉:そうですね。僕はウエイトリフティングくらいかなあ。
堤下:ウエイトリフティング? 役作りで? 裸になるのなんか着替えるシーンだけじゃない。
板倉:でもそれが……役者?
堤下:なんだこいつ。嫌いだよ。
──竹内と板倉さんの共通点は?
板倉:パスタが好きなところですね。
堤下:パスタ食うシーンねえよ。お前が個人的に好きなだけだろうが。
板倉:好きだろうなと僕は思いますよ。裏設定として。オマール海老のクリームトマトソースが好きなんです。
堤下:それはお前のお気に入りのパスタだろ?
板倉:監督もそのへんは各々に任すみたいな感じだったから、そういうイメージで。
堤下:でも僕から見たらストイックっていうのは、板倉さんも彼(竹内)もそうかなって。すごい没頭するんですよ、1個のものに。
板倉:周りからは「すごいね」って言われるけど、本人からしたらただ、それにハマってるだけなんです。ゲームにハマったらゲームやるし。それがたまたま小説書くとか、ライブ前のネタ作るとかっていうのにハマってるだけで。
堤下:そういうところが一緒ですよね。
板倉:あと、靴下(スニーカーソックス)のかかとの部分がコロコロって脱げそうになっても、そうそう直さない。
堤下:今あるよ、ズレない靴下。
板倉:そういうんじゃない。ズレてもいい。ズレても限界来るまで直さない。靴下と俺の勝負みたいな。
堤下:電車も「つり革掴まない勝負」とか。勝負好きだな(笑)。
板倉:誰も見てなくていいんです。自分の人生の勝敗を決めるのは自分ですから。「俺は今まで何勝してきたんだ」っていうところで生きてるから。
堤下: ぎゅっとまとめたらロックンローラーだよ、ただの。
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