現代社会が忘れてしまった古きよき文化を受け継ぐ、癒しのパワースポット・スナック。本書では、そんなスナック通いをライフワークにしている玉ちゃんがさまざまな店を探訪、よりよい店と出会うための作法を読者に伝授する。
DVD化もされている「玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ」(BS11)の案内人で、お台場でも月1回のペースでイベント「スナック玉ちゃん」を開催している玉ちゃん。本書には、そんな「玉袋筋太郎のナイトスナッカーズ」ロケ密着取材や「スナック玉ちゃん」の舞台裏、スナック10軒の探訪記、初心者のためのスナック作法、「5時に夢中サタデー!」(TOKYO MX)で共演している宇多丸(RHYMESTER)との対談などが掲載されている。
お笑いナタリーではこのたび著者の玉ちゃんを直撃。本書とスナックにかける熱い想いを語ってもらった。
浅草キッド・玉ちゃんコメント
――発売の経緯についてお聞かせください。
以前からスナックの本を作りたいと思っていたところにお話が来て、書き下ろしました。よく冬季限定でラーメン本などのグルメ本が出ますが、これはそうじゃない、というのが裏テーマ。たしかにいいお店を紹介している本なんですが、むしろ「自分たちが扉を開ける勇気さえ持てば、いくらでもこういうお店があるんだよ」ということを啓蒙していきたい。
――スナック10軒の探訪記が収録されていますが。
昨年2011年の11月、12月あたりは、「ナイトスナッカーズ」もやっている関係で、1カ月で60軒くらい飲みに行くことになっちゃった。「体もたねぇよ」って(笑)。命削ってスナックに通ってる、って感じもありますね。ただ、プライベートも込みで行っていますので。
――スナック活動の中心はやはり東京でしょうか。
この本では、ね。でも、東京でも地方でもスナックは一緒だと思いますよ。仕事で地方に行ったときも絶対プライベートで行きますから。たとえばガイドブックを見ていく旅行ももちろんいいけど、夜の街に出て地元の人達と話すことによって完結する旅行もある。地方の温泉街なんかも衰退していて、今はスナックがホテルの中にあったりして、お客さんはその中だけですべてを済ましたりするでしょう。そういうところにも哀しさを感じるので、光を当てていきたいですね。
――本書には「スナック玉ちゃん」の様子も掲載されています。
ここでマスターをやるのは楽しいですよ。芸能人みたいな仕事を続けていると、こんな俺でも意外と職場のストレスとか溜まるんですよ。そのガス抜きには最高ですよね。またお客さんもガス抜きで来てくれてると思うんだ。「スナック玉ちゃん」はお台場(TOKYO CULTURE CULTURE)でやってるんだけど、お台場って生活臭がないから、あえてそういうところでスナックをやるところに意義があると思うんだよね。
――イベントの日はお台場に人情味が溢れますよね。
だから、これを読んで、マニュアル的な行動に満足している自分に疑問を持ってほしい。だいぶ前、冬場に牛丼屋に入って「つゆだっくだくにしてね」って言ったら、「すみません“つゆだく”はできますけど“つゆだっくだく”はできません」って(笑)。「いやいや、これは違うだろ」と。読者には、そういうところにも首を傾げていただきたい。
――この本では宇多丸さんとの対談が組まれています。出会いはやはり「5時に夢中サタデー!」がきっかけでしょうか?
そう。もう昨年4月からなので1年が経つんですけど、俺、あの人と本番中しか喋ってなかったんですよ。なぁなぁになるのがイヤだから、わざと仏頂面したりして、ずっと距離感を取ってたんです。でも、このとき初めて心を開いて飲んだ。そんなの意気投合して友達になるに決まってるよね。宇多ちゃんに告白したんだよ。「実はさぁ、友達になりたくてしょうがなくて、メールアドレスとか交換して電話したいとか思ってたんだよ」と。向こうも「そんな感じはしてました」とわかってたよね。
――スナックでの宇多丸さんの様子はいかがでしたか?
天才だからさ、スナックでもちゃんと馴染んでたよね。東京の人だから変に目立ったりとかしないもん。郷に入らば郷に従え、で動いてくれたのよ。ママさんやお客さんは「宇多丸」も「RHYMESTER」も知らないんだから。でも、カラオケで持ち歌を歌ってくれたりしてね。二次会では明け方の4時に、男3人で「宇宙刑事ギャバン」を歌ったりした(笑)。
――もうお1人、対談されているサイバーエックスの小柳津社長さんとのつながりは?
ケータイツールの中だけの人間関係にも「違うんじゃねぇか?」なんて思っちゃって。だから「サイバーな空間の中にスナックを作ってくれ」という話をプレゼンしに行ったわけ。カラオケで地方とつながってデュエットする、みたいなことをスナック的にやりたくて、その箱庭みたいなものを作ってくれと。若い社長でおもいきったことをやる人らしくて「面白いなぁ」って言ってくれた。俺、できると思うけどね。そこで一発当てちゃって、渋谷のすごいところに事務所を構えちゃったりするかも知れない。六本木のミッドタウンにスナックを出店するのもいいかも(笑)。
――都心にスナックというのは、似つかわしくないのが逆にいいですね。
東京駅前の新丸ビルにも都築響一さんがプロデュースした「来夢来人」というスナックがオープンしたんだけど、最高だよ。あんなシャレたビルの中にスナックがあって。完全にスナックを研究し尽くしていて。あそこのフロアって本来は天井が8メートルあるんだけど、そこをわざと低くしたりしている。完璧なんだよ。そこに丸の内の仕事バリバリできるOLさんが1人で来て、ガンガン歌って飲んで、始発で帰るんだって。すごいよね。スナックって今、女性のほうがハマってる。常連のおじさんにごちそうされたり、かわいがられるしさ。スナックは銭湯と同じだよ。混浴だと思ってる。ぬるめの半身浴。心のね。さらけ出しちゃったほうがラクになるしね。
――では、最後に本書のオススメポイントを。
お笑いナタリーをご覧のみなさまにも「スナックを知らずしてお笑いを語るべからず」と言いたい。スナックを知っていたほうが面白い引き出しが生まれると思う。芸人にしてもお客さんにしても。お笑いを見る目がもっと肥える。スナックで飲んでりゃ、そこらへんに芸人がいるみたいなもんだからさ。みんなアドリブだし。面白いよ。「そうは言っても扉を開けられない」という人のために、この本には虎の巻とかいろいろ書いてあるから、これを読んで、勇気を出して入ってみるべし!
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