「単独やっていないと胸張ってほかの仕事もできない」ニューヨークが新ネタ作り続ける訳

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8月から10月にかけて全国ツアー「将来の夢」を開催するニューヨーク。お笑いナタリーではインタビューを実施し、昨年起こったある“事件”のことから毎年単独ライブを行う理由、そして思い描く将来像まで聞いた。

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ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」ビジュアル

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着実に開催規模を拡大し、結成15周年を迎えた今年は過去最大となる全23公演、延べ1万5000人を動員予定だ。東京、福岡、大阪、新潟、静岡、宮城、愛知を巡り、最後は再び東京で凱旋公演を実施。昨年は凱旋公演を「追加公演」としてツアー中に発表したため、開催1週間前にしてチケット約1200枚が売れ残るという事態に。しかし緊急でアップした“土下座告知動画”がみるみる話題となり、情報が行き届いたことで結局すぐに完売した。

ニューヨークがそんな珍事件から学んだこととは? 昨年の振り返りからインタビュースタート。

「なんか怖かった」前回の“事件”

──昨年の“事件”について。改めてあれはなんだったのでしょうか?

屋敷:追加公演が売れ残っているから「来てください!」と土下座した動画を上げたら、1200枚くらいがすぐ売れたんですよ。売れたのはうれしかったしよかったですけど、「まだチケットあるなら行くよ」という層がいたってことですよね。まだまだ掘り当ててないゾーンがあるんだなと考えさせられました。どうにかしたいと思いつつ、かといってそこから1年で変えたことは特にないんですけど(笑)。いつもYouTubeを観てくれている人とは別に、単独があることはふわっと知っているけどチケットがまだあるとは思っていなかった人が多かったんですかね。

嶋佐:ツアーの途中でアナウンスしたので、単純に凱旋公演があることを知らなかった人もいたと思う。

屋敷:でも開催日が来週で、チケット6000円ってなかなかすごいことじゃないですか。それが1200人もおったから、なんか怖かったですね。こっちが何かをミスってるのかと思いました。単独を観たことない人が減ればいいなという気持ちはずっとあります。

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──ライブ自体の手応えはどうでしたか?

屋敷:毎年毎年、「今年一番よかったかも」と思えている感触はあります。

嶋佐:去年は去年で最大規模でやらせてもらって、過去一番お客さんが来てくれました。反応もいい感じだったし、面白いネタもいっぱいできたのでよかったなって感じです。

最近は「切り口」より「力技」が面白い

──ネタ作りの大変さは年々増していますか?

屋敷:今は1年に1回、3~4カ月かけてバッと集中して作るので、月に1、2本新ネタを作っていた昔とは脳みその使い方が違いますよね。

嶋佐:昔より「なんでもかんでも(ネタにする)」というわけにいかないですしね。今までやってないパターンやテーマを探したいし、「今それ言ってもな」とかもあるので。

屋敷:ほかの人とも自分らとも被りたくないってなると、どんどんなくなってきます。

嶋佐:でも年々大変になっているのかな? どうなんだろう。

──あまり実感はない?

屋敷:大変は大変。でも、今思えば10年前の単独も大変でした。昔と比べたら1年に1回、1万5000人が来てくれる、みたいなプレッシャーの大きさは違うかもしれないです。

──ネタの変化は感じますか?

屋敷:最近ふと思ったのが、目線や切り口勝負みたいなネタよりも、力技なネタのほうがどんどん面白くなってきていて。自分がやるのも、人のネタを観ていても、変な奴が変なこと言うてるみたいなほうがおもろい。さっき言っていた「まだこの切り口誰もやってないよな?」ばっかり考えているわけではない感じがしますね。

──ほかの芸人の単独ライブから刺激をもらうこともありますか?

屋敷:さらば(青春の光)さん、シソンヌさんなどの単独を観に行かせてもらったりして、ネタ自体は「おもろ!」って感じですけど、見せ方や演出の部分は勉強になるというか。刺激はもらいますね。「自分もがんばらないとな」と思います。

嶋佐:最近はあんまり行けてないですけど、ちょいちょい行かせてもらっているのはシソンヌさん、かもめんたるさん、しずるさん。けっこう前ですけど、囲碁将棋さんの漫才のライブも面白かったな。面白い人たちの単独観ると、「面白かったなー!」と思いますね。正直、「ああー」みたいな単独もありますし……あっはっはっは(笑)。

屋敷:そうなんですよね。だから、怖いんですよ。自分たちもそう思われたくないので。でもしゃあないからね、それは。

嶋佐:好みの部分もありますしね。

屋敷:かといって、“自分らっぽいネタ”をするのも違うと思うんですよ。「前回のほうがおもろかった」と言う人がおってもいいし、おらなあかんような気もする。自分たちが「今年の単独一番いいぞ」と思いながらやれるのが一番いいですけどね。

単独ライブを続ける理由

──単独をほぼ毎年欠かさずやってこられているモチベーションは?

屋敷:お客さんが来てくれるし、喜んでくれるから、というのが一番ですけど、いろいろありますね。年末年始とかに呼んでもらうネタ番組でなるべく新しいネタをやりたいというのもあるし。それと、今いろんな仕事をやらせてもらっている中で、単独もやっていないと胸張ってほかの仕事をできないんじゃないかと思っていて。今年「THE SECOND」のノックアウトステージでMCをさせてもらいましたけど、新ネタ1本も作ってない奴がやるのはちゃうような気もするし。

嶋佐:本当に僕らのことを好きな方を直接見られる機会って単独くらいしかない。寄席とは別じゃないですか。高いチケット代を払ってくれて、僕らのネタだけを目当てに来てくれる人がこれだけいる風景を見たらうれしいですし、そのやりがいはあります。あと、毎年ツアーという形でやらせてもらって、配信もあって、ある程度お金にもなるようになってきた。昔は2~3カ月かけて作って、200人くらいの会場で1公演きり、みたいな形でしたけど、今はスタッフさんも全国ついてきてくれて、1つの興行として成り立っているからやる意味はあるなと思いますね。

──さらば青春の光やシソンヌのお話も出ましたが、お二人はネタ以外の演出の部分も担いたいという欲求はないんですか?

屋敷:幕間VTRは「こんなんどうですか?」とかは言いますね。

嶋佐:そこはみんなで考えてます。

──さまざまなカルチャーに興味を持たれるお二人なので、クリエイティブな面にも挑戦したいんじゃないかと思ったのですが。

屋敷:ないですね。丸投げできるんやったら丸投げしたいです。今もわりと丸投げではあるし。

嶋佐:最初の頃はめっちゃふざけてやっていたんですが、それがよくなかった。

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──ふざけていたというのは?

屋敷:俺と嶋佐の顔が宇宙空間から出てきて、だんだん合体していく、みたいな。

嶋佐:「2001年宇宙の旅」のテーマに合わせて。

屋敷:今思えば、誰も笑ってなかったです(笑)。

嶋佐:「ビーチボーイズ」のオープニングパロディをわざわざ江の島まで撮りに行たり、DJ OZMAのPVパロディを撮ったりしたこともあって、面白いかなと思ったんですけど、ウケなかった。

屋敷:「ウケてないやん!」って最初の漫才でイジってやっとウケる、みたいな。あれ、全部無駄でしたね。

嶋佐:そこはある意味折れてしまったというか。カッコいいほうがお客さんも喜ぶってわかったので、今はやってもらっています。

屋敷:昔はそういうのも全部自分らで考えてましたね。

──今回のツアーは1万5000人を動員予定です。率直に、この数字いかがですか?

屋敷:昔に比べたら信じられないですね。でもさらばさんとか空気階段が3万、4万と言っているので、それを聞くと、あれですけど(笑)。でも単純に1万5000人が俺らの単独を目の前で見てくれるって考えたら、すさまじくありがたいです。

ニューヨークの将来を考える

──結成15周年です。この15年での変化は感じますか?

屋敷:売れたらもっと(自分が)芸能人っぽくなると思ってました。もちろん給料をいただいて、車買ったり、引っ越したり、昔に比べたら信じられんくらいいい思いをさせてもらっているんですけど、自分の根っこが変わってなさすぎるというか。街歩いたら「ワー」とか、わかりやすいチヤホヤがもうちょっとあるのかなと思っていました。売れたときには時代が変わってましたね。

──芸能人をチヤホヤする社会じゃなくなっていた?

屋敷:テレビに出ようが、知らない人は知らないって感じですよね。2010年より前だったら俺らくらいテレビに出ていれば全員知ってたと思うんですよ。

──屋敷さんのメンタル的にも“芸能人”になっていない?

屋敷:なってないですね。それでよかったと思います。芸能人になりすぎてチヤホヤされてたらおかしなってたかもしれない。

──単独も続けていないかもしれないですね。

屋敷:かもしれんし、不倫三昧やったかもしれんし。それはわかんないです。

──今後ニューヨークは、どうなる予定ですか?

屋敷:うわ、それわからんな。何歳まで芸人やってるとかもあんまり考えたことないですね。

──何年後にこれをやろう、とは考えていない?

屋敷:逆算ではやってないです。でも、50歳、60歳のときに「もうちょっとこうやっとけばよかった」とはなるべく思わないようにはしたいです。それこそスキャンダルで干されて、「あいつらみたいにもっとお笑いやりたかったのに」とか、妬んだり悔やんだりしたくないです。「これでよかった」みたいな顔をしていたい。で、できればシュッとしてたいです(笑)。

──振り返ったときにダサい自分でいたくない。

屋敷:そうですね。振り返ったときに「いい感じ、いい感じ」って思いたいです。それがここからの課題ですね。20~30歳より、40~50歳は難しいと思います。若いときは「ダサい」とか考える余裕もなかったので。みんなダサかったし。売れるために必死やから。20歳から40歳までってわりと“この間”という感じがしますけど、40歳からの60歳までは体感速いですよ。怖なってきたな……。

──嶋佐さんは?

嶋佐:俺はなんだろうな。まあ、ちゃんと資産を形成して。楽しくやれたらいいですけどね、機嫌よく。たぶん、何かをしないと20代、30代のようにはいかない気もします。

屋敷:うだまんも40歳になってるし。

嶋佐:俺らはうだまんとはわけが違うからな? うだまんはあのまんまでいいよ。あいつはなんも知らないから。うらやましいですよ。500万払ってうだまんになりたいよ。

屋敷:なんでそんなことすんねん(笑)。

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──20代から30代でいろんなことを経験して、新鮮さも感じにくくなってくるでしょうね。

屋敷:マンネリとの戦いでもありますよね。だからなんかおもろいことせんと。

嶋佐:贅沢な話ですよね。でもそういうもんじゃないですか? 人間って。

屋敷:いや、ほんとそう。

ニューヨーク単独ライブ「将来の夢」

料金:前売6000円 当日6500円 / 高校生以下3000円 / 配信2000円
チケット:6月14日(土)10:00にFANYチケット、チケットぴあ、ローソンチケットで一般発売。

スケジュール

東京公演
2025年8月15日(金)18:00開場 19:00開演
2025年8月16日(土)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
2025年8月17日(日)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
会場:IMM THEATER

福岡公演
2025年8月30日(土)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
2025年8月31日(日)13:00開場 14:00開演
会場:よしもと福岡 大和証券劇場

大阪公演
2025年9月12日(金)18:00開場 19:00開演
2025年9月13日(土)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
2025年9月14日(日)13:00開場 14:00開演
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

新潟公演
2025年9月15日(月・祝)15:00開場 16:00開演
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

静岡公演
2025年9月23日(火・祝)15:30開場 16:30開演
会場:静岡市清水文化会館マリナート 大ホール

宮城公演
2025年10月5日(日)13:00開場 14:00開演
会場:電力ホール

愛知公演
2025年10月12日(日)18:00開場 19:00開演
2025年10月13日(月・祝)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
会場:中日ホール

東京凱旋公演
2025年10月17日(金)18:00開場 19:00開演
2025年10月18日(土)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演
2025年10月19日(日)13:00開場 14:00開演 / 17:00開場 18:00開演(配信あり)
会場:有楽町よみうりホール

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