昨日6月1日に東京・神楽座で実施された書店員向けのトークイベント「第一芸人文芸部」に
このたび始動した「第一芸人文芸部」は、文才豊かな芸人たちが本について語り合うイベント。命名したのは又吉で、2011年発売のエッセイ集のタイトル「第2図書係補佐」が卑屈すぎたのではないかと考え、それを“昇格”させたのだという。
又吉は今年3月にエッセイ集「月と散文」(KADOKAWA)、ピストジャムは昨年10月に自身のアルバイト生活を綴った「こんなにバイトして芸人つづけなあかんか」(新潮社)、ファビアンは今年3月に短編小説集「きょうも芸の夢をみる」(ヨシモトブックス)を上梓。イベントでは3冊にまつわる話のほか、書店で本をアピールするのに有効な方法、発売から時間が経った書籍の売上を伸ばす方法といった話題も飛び出した。
又吉はピストジャムの「こんなにバイトして芸人つづけなあかんか」について「ピストジャムは50種類のアルバイトを経験していてかなり特殊な数字。しかも1つひとつのバイトの中でちゃんとエピソードを探してたんやろなという書き方。漫談のようなエッセイ。笑える話がかなりありました」とコメント。本のタイトルはピストジャムが母親にかけられた言葉だそうで、彼は「芸歴10年を超えたとき、両親に12時間くらいホテルに軟禁された状態で『絶対に芸人をやめろ』と説得された。そのときに母に『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』と言われて、『そのセリフおもろ!』と思ってメモしてたんです(笑)。この本が出たことで、うちの母親が一番喜んでくれました」と語るが、又吉から「変人やな! 感情があったら母のその言葉をメモってる余裕ないやろ」とツッコまれた。
ファビアンが芸人を題材に執筆した短編小説集「きょうも芸の夢をみる」について、又吉は「星新一さんがやり始めたショートショートの淡々とした文体に少し変化をつけている。重たい感情とかも描かれていて、それが(ショートショートの形式と)化学反応を起こしている」「芸人のリアルな日常が描かれているけど、そこからジャンプする。1つひとつも楽しめるし、全部読んだときにはまた違う感覚を味わえる」と称賛。ファビアンは「最初は芸人をテーマにすることに緊張がありました。芸人が芸人のボケやツッコミをイジったりするのってサブいこともあるじゃないですか。でも又吉さんは思いっきり正面突破で芸人を題材にして『火花』を書いた。それに影響と言うか刺激を受けたところもあります」と自著のテーマについて述べた。
終盤には観客との質疑応答コーナーも設けられ、「芸人としての自分と作家としての自分の乖離を感じることはありますか?」という質問が。これに対して又吉は「乖離を感じることもありますね。例えば取材を受けるとき、僕は『取材といえども笑ってもらいたい』『誌面を読んだ人にフフッとなってほしい』という気持ちがある。一方で質問に真剣に答えすぎてしまう癖がある。質問に答えながら面白いことを言おうとしていたつもりが、取材が終わって次の現場に向かってる最中に『面白いこと言うの忘れてた!』と気付くことがあるんです。芸人の肉体を持ってこれていなかった」と答えたあと、「今も面白いことを言うタイミングを忘れましたけど」と付け加えて笑いを誘っていた。
イベントのエンディングで、ピストジャムは改めて「今日のこのイベントにかけている。なんとかして本を売りたいです!」と書店員に情熱をアピール。又吉は「『第一芸人文芸部』は今後も機会があればやっていければ。今日はたまたま自分らの本の話をしたけど、それぞれ1冊ずつ持ち寄ってもいいかもしれない」と今後の展望を語った。
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お笑いナタリー @owarai_natalie
【イベントレポート】ピース又吉がピストジャム&ファビアンの著書を称賛、芸人像と作家像の乖離の話も
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