ナタリー PowerPush - ゼブラクイーン
仲里依紗インタビュー 2025年型歌姫の素顔を暴く
映画「ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-」で圧倒的な存在感を放つ“黒”の歌姫、ゼブラクイーン。2025年の音楽シーンを席巻し、ゼブラシティで40週連続1位の記録を誇る彼女がついに2010年の日本に光臨。デビューシングル「NAMIDA~ココロアバイテ~」をリリースした。
CD収録曲「NAMIDA~ココロアバイテ~」と「ゼブラクイーンのテーマ」は、どちらもパワフルなトラックが光るクラブチューン。今回ナタリーでは、ゼブラクイーン役を演じる仲里依紗を直撃し、その魅力的なキャラクターについて話を訊いた。さらに特集の最後には三池崇史監督へのメールインタビューも掲載している。
取材・文/大山卓也
ゼブラクイーンが歌ってるんで、私は関係ないんです
──映画拝見しました。仲さん=ゼブラクイーンが完全に主役を喰っている印象を受けたんですが、ご自身ではいかがですか?
ホントですか?(笑) でもゼブラクイーンは自分でもなんか、すごいなって思います。歌ってるところを客観視すると、私が芝居したものとは思えないぐらい。
──仲さんはこれまでもいろんな役を演じてきてますが、今回は相当異色ですよね。歌もあってダンスもあって。最初にこの役の話が来たときはどうでした?
歌もあってダンスもあって……「無理だよ!」って思いました。私、歌とかそんなに自分で歌いたいって感じじゃないし、カラオケ行ってもみんなの前で歌えないし。
──えっ、そうなんですか?
うん、すごく仲いい人と2、3人だったらいいんですけど。なんか打ち上げとかでみんなでカラオケ歌うみたいなのはダメですね。
──それはどうして?
恥ずかしいから。
──意外ですね。仲さんは女優で、人前に出る仕事なのに。
仲里依紗のままで歌うのが恥ずかしいんですよ。誰かを演じてればいいけど、自分が歌うっていうのがイヤなんです。だってそんな、ボイストレーニングとかやってないし、歌上手じゃないし。恥ずかしいです。
──じゃあ今回は仲里依紗として歌ってるわけじゃなく、ゼブラクイーンとして歌ってるわけで、それなら問題はない?
そうですね。ゼブラクイーンが歌ってるんで。だから私は関係ないですね。
──そう言い切ってしまうのもすごいですけど(笑)。
あのメイクとか衣装とか全部含めてゼブラクイーンだから、どっか1つでも欠けてるとできないですけどね。
仲里依紗としての歌手デビューは絶対にない
──劇中ではノリノリで歌っていますが、演じてみて楽しかったところはどこですか?
全部楽しかったですよ。歌ったり踊ったりするのは自分にとって新しいことだったし、なんかこう、自分でやってない感じがすごく楽しかった。
──自分でやってない感じ(笑)。
うん、昔、事務所でちょっとしたダンスレッスンみたいなのがあったんですけど、そこでは私、後ろのほうにいるやる気ないグループでしたからね。「ダンスとかマジ無理」みたいな(笑)、そういう感じだったんですよ。でもだから、今回こうやってちゃんとストーリーがあって役に入ってしまえばダンスや歌もできるんだな、っていうのは自分でも発見でした。
──でもいきなり“40週連続1位”の歌を歌わなければならないというのはすごいですよね。
やっぱり観てる人にそれぐらいの魅力を感じてもらえるように。でも歌もダンスも、なんか「できない」って言えない状況だったんで。もうすごく完璧に準備されて、周りが全員プロだったから、ここで「できない」とは言えないなっていう。だから「はい、わかりました」って言ってやりました。私、負けず嫌いなんで。
──誰も仲さんが歌ったり踊ったりしてるところを見たことがないのに、できるのが前提になってるんですね。
そう、最初は「なんで?」と思って(笑)。でもやってみたらできました。あはは(笑)。
──そういうものなんですか。
やっぱりゼブラクイーンっていう役があったからじゃないですかね。私自身が歌うのはイヤなんですけど(笑)。
──じゃあ仲里依紗として歌手デビュー! みたいな予定はないですか?
絶対イヤです! 恥ずかしい。役者として今まだこれからなのに歌手デビューとか、そういう中途半端なのが嫌いなんですよ。だからゼブラクイーンとしてCDを出すならいいですけど仲里依紗はダメですね。ちゃんとした歌手の人に申し訳ないなと思っちゃうんですよ。
「アンタのお墓も ゼブラに塗っちゃうわ」って最高ですよね
──歌というものは、多かれ少なかれ“自分”が出るものだと思うんですが、ゼブラクイーンとして歌われた今回のシングルには仲さんの素の部分は反映されてないんでしょうか?
うん、ほとんど作られてますね。だから客観視できるんです。「ゼブラクイーンすごい!」みたいな。今やれって言われたらできないですよ。恥ずかしいし。私、撮影のときのことは全然覚えてなくて、監督に「こういうふうにやって」って言われて、私は「えー、無理だよー」とか思ったんですけど、カメラが回ったらやってたんですよ。自然と体が動いてちゃんとやってたんです。それをモニタチェックして「こんなことやってる。すごい!」って。
──自分自身なのに(笑)。
そう。オンとオフのスイッチがあるっていうか。だから私が歌手を演じてる感じ。
──じゃあ歌を歌うのもセリフを言うのと同じ感覚で?
近いですけど……、でも歌のほうが難しいですね。芝居だと「ごめんね」も「ありがとう」も言い方でいろいろ変えられるけど、歌はメロディもリズムもあって、自分の間がとれないんで。そこは難しかったです。
──「ゼブラクイーンのテーマ」は歌詞もユニークですよね。ゼブラクイーンにしか歌えない歌詞だと思うんですけど。
うん、ふざけてますよね(笑)。「アンタのお墓も ゼブラに塗っちゃうわ」って、もう最高ですよね。最初歌詞を見たときは「ギャグでしょ」と思ったんですけど、それをすごくカッコよく仕上げてもらって、面白かったですねえ。
ゼブラクイーン
2010年5月公開の映画「ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-」で物語の核を握る“黒”のアイコン。劇中で歌う楽曲はゼブラシティで40週連続1位の記録を打ち立てる。2010年4月には現実世界において「NAMIDA~ココロアバイテ~」をソニー・ミュージックレコーズよりリリース。演じるのは気鋭の実力派女優、仲里依紗。