ゆるミュージックほぼオールスターズが発信したい、生きやすくなるための“ゆる”の概念 (3/3)

時間とともに成長する「満ちる愛・繋ぐ夢」

──2月28日に配信リリースされる、ゆるほぼの新曲「満ちる愛・繋ぐ夢」は、覚えやすいキャッチーな曲だなと思ったら、元いきものがかりの山下穂尊さん書き下ろしなんですね。

トミタ そうなんです。しかも歌詞は「ゆるリリック」といって、全国の皆さんから募集したアイデアから穂尊さんがワードやフレーズをチョイスして1曲にまとめてくださったんです。なので穂尊さんらしさもありつつ、みんなの気持ちが詰まった曲ですね。

──この曲は3年後に大阪・夢洲で開催される「2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)の応援ソングです。理想の未来社会を作り上げることを目指す万博の参加型プログラム「TEAM EXPO 2025」の一環で制作されました。

トミタ この曲の歌詞はどんな人にも重なる部分が多いと思うんです。愛や夢をテーマにしていてピンポイントすぎないからこそ、たくさんの人に聴いていただきたいですし、しかもこの曲の歌詞はまだ一般公募が続いていて、リリースしたあともどんどん増えていく予定なんです。

LINDA THE 虎舞竜さんの「ロード~第○章」みたいな感じで(笑)。誰でもコミットできるところがゆるほぼの魅力なので、いろんな方の歌詞をどんどん集めて、みんなで歌っていくところはポイントになってくるのかなと思ってます。メンバーの言葉も今後入っていく予定です。

──時間とともに成長していく曲なんですね。

トミタ 私、歌詞全部覚えられるかな? それがちょっと心配(笑)。

タイププレイヤーやはらドラム……担当楽器を紹介

──それでは「満ちる愛・繋ぐ夢」で、皆さんの担当されている“ゆる楽器”について教えてください。

小澤 私は“タイププレイヤー”担当です。見た目はシンセサイザーのようですけど、キーボードの部分が鍵盤ではなくパソコンのキーボード型になっている楽器なんです。私はピアノにあまり親しみがないんですけども、普段、日本IBMという会社で働いてるので、パソコンのタイピングなら誰よりも得意かなと思っていて。タイピングのスキルを生かしてピアノが弾けるという不思議な楽器をやらせていただいてます。3年ぐらいのタイピング経験があれば誰でも弾けるので、身構えずにできるゆるい楽器です。楽器と言うと「ずっと小さい頃からやってます」とか、「楽譜が読めます」という人しか弾けないイメージが強いかもしれませんが、「誰でも楽しく弾けるよ」という思いが伝わればいいなと思います。

タイププレイヤー

タイププレイヤー

──タイピングが速い人なら「タタタタタタ」っと速弾きできそうですし、慣れてくれば今度はピアノのキーボードにも抵抗がなくなっていきそうですね。

小澤 確かに私の中でもピアノに対して「無理!」という気持ちは、ちょっと薄れた気がします。今までは「うまく弾かなきゃ」という意識が強かったんですけど、そうではなく、「ただ鳴る音を楽しんで弾けばいいんだ」と実感しているところですね。

LINDA 私のパートはお腹を叩く“はらドラム”です。太鼓の形をした円形のハーネスにセンサーとスイッチが付いていて、それをかぶってお腹を叩くといろんな音が鳴る楽器を、メンバーの村木ひらりと2人で担当させていただいてます。けっこうハードで次の日はいつも筋肉痛です。みんなの前で披露するときは毎回汗だくになる(笑)。

はらドラム

はらドラム

ラヴィ 僕が担当してるのは「KOOV®(クーヴ)」というソニー・グローバルエデュケーションが作っているロボットプログラミング学習キットを使ったギターです。小さいギターのように見えるんですけど、シンセサイザーのようなきれいな音が簡単に出ます。11月の“ハッカソン”でも「KOOV」のほか、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのロボットトイ「toio™(トイオ)」などを自由に楽器に使えるように貸出をしていました。「プログラミングを学べばこんなことができるんだ」ということが皆さんに広がれば、自分でいろいろ楽器を作る人が増えると思ってます。楽しいので、皆さん試してほしいです。

KOOV®

KOOV®

toio™

toio™

──センスとアイデアで無限に広がりそうですね。そして最後はボーカルのトミタさん。

トミタ 私は喉が“ゆる楽器”です(笑)。この曲は歌詞自体に意味が込められたワードが多いので、邪魔しないように自分の気持ちを込めすぎないように歌いました。

バンドでしか味わえないワクワク感

──2025年まで「大阪・関西万博」を盛り上げつつ、ダイバーシティをさらに広めていくという大変な役割を担っていますね。

トミタ みんなと一緒にがんばっていきます!

──トミタさんもソロでの音楽活動とは違う手応えを感じていますか?

トミタ そうですね。私は2013年にデビューしたんですけど、ゆるほぼだと、ソロにはないエネルギーを感じることが多いんです。孤独を感じない。2025年の「大阪・関西万博」を応援するという目標があること自体、なかなかないことだと思うんです。具体的な目標が見えるからこそ、ゆるいけど、みんな同じ方向を向いて進めている感じがして。1人ではなく、みんなでやっていく楽しさを感じながら臨んでいます。

──表情からも伝わってきます。

トミタ (笑)。あと声を発しているのは私だけだから、パフォーマンスやライブでの責任感が今まで以上に芽生えました。ソロのときは間違えても自分でカバーすればいいんですけど、バンドとなると自分のミスがみんなのミスにつながるし、私が歌詞を間違えたら、ゆるほぼのメッセージが伝わらないので。ゆるいけど、ちゃんと締めるところは締まった活動をしていきたいです。

──それもバンドならではの醍醐味ですよね。

トミタ 自分のワンマンライブではバンマスの人が毎回メンバーを選んでくれて、いろんな人とその時々のライブを作り上げるやり方でやってきたんですけど、ゆるほぼみたいに同じメンバーでずっとやっていくバンドは初めてなので、密かに憧れてたんです。みんなで方向性を相談したり、意見を言い合ったりすることに。みんなで作り上げていくっていう意味でも、すごくワクワクしています!

プロフィール

ゆるミュージックほぼオールスターズ

誰でもすぐに弾ける“ゆる楽器”を通じて音楽の楽しさを提供する世界ゆるミュージック協会発のバンド。メンバーはトミタ栞、小澤綾子、五十嵐LINDA渉、大福くん、ラヴィクマール、村木ひらり、杉本星斗。2021年11月に配信シングル「るるる生きる」でデビューした。2022年2月には「TEAM EXPO 2025」の一環として制作した「大阪・関西万博」の応援ソング「満ちる愛・繋ぐ夢」を配信リリース。