安田レイデビュー10周年特集|10のキーワードで振り返る輝かしい軌跡、著名人からのお祝いコメントも (2/4)

Keyword:「レコード大賞新人賞」

──デビューから2年後の2015年(シングル「あしたいろ」リリース時)には、「第57回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞しましたね。

あの時は、本当にびっくりしました。いろんな世代の方々が注目する、誰もが知っている大きな賞なので、「私がここにいていいの?」「私でいいの?」っていう気持ちになってしまって(笑)。とはいえ、自分に関わってくれているたくさんの人たちへの感謝の気持ちもすごく浮かんできたし、本当にうれしかったです。新人賞をきっかけに、私の名前と楽曲がより幅広く届いていった実感もありましたね。そう言えばレコード大賞って、登壇するアーティストは大事な人を1人だけ会場に招待することができるんですよ。

──へえ。安田さんはどなたを招待したんですか?

中学時代にとても仲のよかった先生を招待しました。私が音楽の世界に進むかどうか迷っていたとき、その先生が温かく背中を押してくれたんです。芸能活動と学校のどちらを優先するのかっていう選択を迫られたときに、「レイちゃんは本当に歌が好きなんでしょ? 小さい頃からシンガーになりたかったんでしょ? だったら芸能活動ができる学校に転校したほうがいいよ。この学校のみんなはレイちゃんのことをずっと応援してるからね」と言ってくれたんです。だから、その先生にはレコード大賞という大きなステージに立っている私の姿を生で見てもらいたかったんですよね。ママには「ごめんね、この日は我慢してね」って謝りましたけど(笑)。

──こうやってバイオグラフィを紐解くと、ソロデビューから順調に歩を進めている印象がありますよね。その時期、ご自身の気持ちはどうでしたか?

どうだったかなあ。周囲の方々のおかげで貴重な経験をたくさんさせていただけていたので、未来への不安みたいなものはたぶんなかったと思います。ただ、この世界が生やさしいものではないということは痛いほど感じていましたね。当時のマネージャーさんには毎日怒られてばかりだったんですよ(笑)。いろんなことを厳しく叩き込まれて、「こんなにも厳しい世界なんだな」と思う日々。でもいろんなことを教えてくれた当時のマネージャーさんには今もすごく感謝しています。

安田レイ

Keyword:ライブ観

──リリースにまつわるイベントなどを経験しつつ、2015年には初のワンマンライブツアーを開催しました。

単発でのライブとツアーではこんなにも違うんだなという発見がありました。「ツアー面白っ!」って思いましたね(笑)。私は一度のツアーで何十公演もするタイプではなく、行っても東名阪、福岡くらいではありますけど、それでも公演ごとにどんどんライブが進化、成長していくのを実感できるんですよ。それがとにかく面白いです。ライブでは毎回必ず新たな発見があるし、その地域ごとのお客さんの雰囲気でまた変化が生まれたりもしますからね。これからは訪れたことのない土地でもライブをしてみたい。各地に応援してくれている人がいることは知っているので、その人たちに直接会って、一緒に作り上げるライブがどんなものになるのか、すごく楽しみなんです。

──2015年には3本のツアーを開催しているんですよね。トータル12公演。

え、そうでしたっけ? 1年でツアー3本? それはやりすぎですよね(笑)。すごい勢いだなあ。ソロデビューから2年の間に溜まっていたツアーやりたい熱が一気に爆発したんでしょうね(笑)。ちなみに最初のツアーはオケを流すスタイルでのライブだったんです。ステージセットもない素舞台で歌う感じ。でも2度目のツアーからはバンドを入れてもらえるようになって。そこでバンドメンバーと一緒にパフォーマンスする楽しさを知れたところもありましたね。

安田レイ

──活動を重ねていく中で、ライブ観に変化が生まれたりもしましたか?

ここ数年でライブの本当の楽しさがわかってきたような気はします。昔はとにかく「ちゃんと歌わなきゃ!」という気持ちで、歌うことだけに気持ちを集中していたんですよ。でもここ最近はファンの方々に自分の思いを直接伝えることこそがライブで一番大切なことだと感じるようになって。そのためにはもちろん歌をしっかり届けることも大事なんですけど、そこだけにとらわれない余裕が生まれてきたような気がします。

──ライブにおいても、どこかでカッコつけてしまっていたところがあったのかもしれないですよね。

そうですね。いろんな面で無理していたところがあったかもしれないです。ここ数年はセットリストの中に自分が作詞作曲した楽曲が入ることも増えてきたので、より等身大でファンの方とのコミュニケーションが取れるようになったんだと思います。今の自分にとってライブは、昔よりもさらに居心地のいい場所になっていますね。

Keyword:海外

──安田さんはデビュー当初から海外進出への夢を語られていましたよね。

はい。デビュー時のインタビューでは「海外との架け橋のような存在に」みたいな、すごく大きいことを言ってたと思うんですけど(笑)。でも、その思いは今も明確にありますね。アニメタイアップのおかげで、最近はYouTubeに海外からのコメントが届くことも多くて。日本以外の場所でも安田レイの音楽が聴かれているのはすごくうれしいですし、だからこそ海外に行ってライブをしてみたい気持ちがより大きくなってくるんですよね。楽曲を作るうえでも、海外の人たちにも届くものにしたいという意識は常に持っています。

──2014年にはロンドンに行かれたこともありましたよね。

ロンドンへは「iTunes Festival」のレポーターとして行かせていただいたんですよ。アーティストとしてパフォーマンスをしたわけではなかったんですけど、海外ならではの、日本とは違った雰囲気を肌で感じることもできましたし、海外アーティストのライブを現地で観ることもできたので、ロンドンでの経験はすごく刺激になりましたね。海外での活動への思いがより強くなりました。ここで自分が歌ったらどんな反応をもらえるのかな、みたいな妄想をずっとしたりして(笑)。

安田レイ

──その思いが現実になったのが2016年。台湾で開催されたイベント「JAPAN MEDIA MIX FESTIVAL in TAIPEI 2016」で、初の海外ライブを経験しました。

親日家である台湾の皆さんは、日本の音楽はもちろん、ドラマやアニメのこともすごく詳しくて。とてもアットホームな雰囲気でライブをすることができましたね。英語と日本語でMCを用意していったんですけど、日本語でしゃべったときのほうが皆さん盛り上がる(笑)。私の曲を皆さんが一緒に歌ってくださっている光景を見たときはもう感動しちゃいました。

──そういった反応を生で浴びられるのは最高ですよね。

そうですね。日本の音楽、そして安田レイを愛してくれてる人がこんなにいるんだなっていうことをちゃんと実感できました。そんな素晴らしい経験ができたからこそ、ほかの国でもライブしてみたいという気持ちがより強くなったところもあって。私にはアメリカの血が半分流れているので、自分のルーツであるアメリカでいつかライブをしたいんです。アメリカの方は反応が直球なので怖さもあるけど、安田レイをどう受け取ってもらえるかが楽しみなんですよね。

Keyword:ラジオ

──2016年から約6年間、ラジオ番組「CITY GIRLS MUSIC」のパーソナリティを務められました。

この番組はもう私の趣味全開でやらせていただいて。たぶんこんなに自由奔放にやってた番組はほかにないと思います。トークは激ユルだったんですけどね(笑)。この番組を通して自分の本当の姿、自分のマインド、そして私が本気で好きな音楽をたくさんの人に知ってもらえたような気がします。

──安田さんが本気で好きなアーティストをゲストに招き、それがのちのち、楽曲でのコラボレーションにつながることも多かったですよね。

そうなんですよ! 2021年11月に発表したEP「It's you」や、今年2月にリリースしたアルバム「Circle」に参加していただいたメンバーは、ほとんどラジオのゲストに来ていただいたことがあって。そこで私が直接口説き倒したという(笑)。普段から楽曲を聴いているし、ライブにも行っているし、とにかく大尊敬している方々なので、その思いを思い切りぶつけさせてもらった感じですね。番組はもう終わってしまったんですけど、この「CITY GIRLS MUSIC」がなければ、今の私が生きている世界はまた違ったものになっていただろうなって。それくらい大切な場所でした。

安田レイ

──一方、2017年にスタートした、ヒット曲をチャート形式で紹介していくラジオ番組「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」は現在も続いていますね。

はい。こちらは今をときめくアーティストの方々の楽曲を紹介していく番組で。最新の楽曲にいち早く触れることは自分にとってのいいインプットにもなっていますね。毎週、生放送で豪華なゲスト、それこそドームクラスのアーティストの方に来ていただけるのもすごく刺激的で。貴重なお話もたくさん聞けるので、いつも相方のジョージ(・ウィリアムズ)さんと「この番組ってすごいよねえ」って感動してます(笑)。

──そこでのつながりからコラボレーションに発展する可能性もあるわけですよね。

それがこの番組は生放送だから、進行がジェットコースターのように早くて、ゲストの方と本番以外の部分であまりお話できないんですよ。だからなかなか難しいかなあ。でも、自分の好きなアーティストさんがいらっしゃるときにはジョージさんと「アピールがんばろうね!」って気合いを入れたりはしてます(笑)。いつかこの番組をきっかけにコラボが実現できることを願いつつ、10年20年と続けていけたらいいなと思います。この番組も私にとってとても大切な場所なので。

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Keyword:作詞・作曲