おかえり山猿

──昨年10月のライブで名前をLGMonkeesから山猿に戻して再始動することを発表したんですよね。まずはその理由を伺いたいんですが、いつ頃から名前を戻すことを考えてたんですか？

LGMonkeesとしてメジャーデビューしたんですけど、デビュー当時からライブ中にファンの子が誰も俺のことを「LGMonkees」って呼ばなかったんですよ。だからずっと「なんで『LGMonkees』って呼んでくれないんだろうな？」って思ってて。

──常々疑問があったんですね。

そうなんですよ。普通ファンの子って、MC中にアーティストの名前を呼んだりするじゃないですか。それが俺の場合まったくなくてシーンとするんですよ、MCなのに（笑）。それが4年間続いたんです。次第に「なんで俺のこと呼んでくれないんだろう、俺っていったいなんなのかな？」って悩み出しまして。そんなときにファンの子が俺のことを「山猿！」って呼んだんですよ。それを聞いて「あ、俺って山猿なんだな」と思った。それがけっこうデカいきっかけでしたね。で、今年が自分が音楽活動を始めて10年目なんです。LGMonkeesとしては4年間活動してたんですけどね、10年目のタイミングに合わせて初心に帰るっていう意味で戻しました。

──そもそも「山猿」という名前は、どういった由来で付けたんですか？

俺は福島の会津出身なんですけど、地元の山に野猿がいるんですよ。野猿ってすごい自由に生きてるんですよね。自分も彼らみたいな自由さで音楽活動ができたらいいなって思って「山猿」っていう名前にしましたね。

──そうして名前を山猿に戻してから約半年が経ちましたけど、音楽活動に変化はありました？

歌ってて楽しいし、ライブのMC中にファンの子が堂々と「山猿！」って呼んでくれるので、戻してよかったなと思いますね。みんな楽しそうに呼んでくれるんで。あと、みんななぜか「おかえり」って言ってくれるんですよ。そういう言葉を聞いて「ああ、俺って山猿なんだ」って改めて思いましたね。

周りの人がくれた「あいことば」

──アルバムリリースは前作の「あいことば」以来2年半ぶりですね。今作のタイトルを「あいことば2」としたのはどうしてですか？

前作の「あいことば」っていうアルバムは“愛の言葉”がたくさん詰まったアルバムって意味で名付けたんです。そこから2年半リリースが空いてしまったんですけど、その2年半の間に俺はいろんな人に愛をもらっていたなって思って。ファンの子がずっと離れずにライブに集まってくれるのもうれしかったし、名前戻してリスタートできたのも周りの支えのおかげだしね。「おかえり」とか「がんばれよ」とか、自分にとってプラスになるたくさんの言葉をかけてもらったんですよね。なので、みんなから愛の言葉をかけてもらったっていう意味で、今回も「あいことば」っていう言葉を使いました。

──作品にはバラエティ豊かな曲がそろいました。アルバムが完成して、どんな手応えを持ってますか？

これ1枚で山猿のことを知ってもらえるようなアルバムになったなって思います。なんか遊園地みたいなアルバムですね。いろんな乗り物に乗れるっていうか……この例えいいな（笑）。

──人生のいろんなシーンを歌った曲が詰め込まれてますよね。卒業ソングの「桜色の記憶…」から始まり、青春時代の悩みについて歌った「いったいぜんたいなにがしたいかもわからない…」があれば、子供の誕生がテーマの「3090～愛のうた～」も。

そうですね。1年間を通して人々のいろんな出来事を表現するようなアルバムを作りたかったんです。だから「桜色の記憶…」があれば「夏の日」もあるし、冬を歌った「カジカ」もあるしっていう。これに関しては、リリースが2年半空いたことがよかったのかなって思いますね。歌詞は毎日欠かさず書いていたし。

ほぼ100％実体験

──歌詞を書くときって、テーマをしっかり決めてから書くんですか？

そのときに思ったことをそのまま書くんで、書いているうちにテーマが決まっていく感じですね。ストーリーを作ろうと思って書いたりはしないです。

──じゃあ、「歌詞を書くぞ！」と机に向かうわけでもなく。

友達と遊んでるときや電話してるときによく書いてますね。ほんと普段の生活の中で浮かんできた言葉を歌詞にしているんで、出てくるフレーズはみんなも共感しやすいんじゃないかな。

──確かに「これは山猿さんの実体験なのかな？」っていうようなフレーズが多々登場します。

ほぼ100％実体験から生まれてますからね。だからレコーディングのときにも歌詞を書いたときに思ったこと……悲しかったり楽しかったり、日々生活していて感じたことを表現してる感じです。