ナタリー PowerPush - 山嵐

ミクスチャーを牽引し続けた15年間と今

酔って記憶がないうちに曲の構成が完成していた

──3月11日以前に書いた曲もありますか?

KOJIMA 前のもありますよ。俺のデモから作った曲が何曲かあって、それは震災の前です。

SATOSHI 俺はだいたい後です。なんならレコーディング当日とかです。

──えっ!!

SATOSHI 最近、みんなヤキモキもしなくなってきて(笑)。

KOJIMA いや、心配だよずっと(笑)。レコーディングしている場所に、ゲームとかビリヤードとかあるんですよ。石井(Dr)とか武史(B)とか、早く録り終わったらそれで遊んでるんですけど、その相手が必要になるんですよ。で、俺は早く準備しているから遊べてるんですけど、なんでこいつも一緒に遊んでるんだ!? って。

SATOSHI 遊ぼうって言うじゃん!(笑)

KOJIMA 気持ちが切り替わるときがあるの! そう言えばできてないなって(笑)。

ライブ写真

SATOSHI いや、遊んでる最中もずーーっと考えてはいるんですよ。でも、作ってもほぼすぐにはOK出ないんです。最初に書いたものって、自分には一番しっくりきてるじゃないですか。だから、OK出ないダメージはデカいんですよ。5人がお山の上で待ってるんだけど、俺が登ろうとすると、岩とか落としてくる感じです。

KOJIMA そんな悪い奴らじゃないだろ!(笑)

SATOSHI 最後に昇りついたときに、みんなが見ていた景色はここだったんだ……って(笑)。

KOJIMA ドMだな(笑)。

SATOSHI そういう作品です(笑)。

──(笑)。今回も岩をたくさん落とされたということ?

SATOSHI いや、僕に問題がたくさんあるんですよ(笑)。HAN-KUN(湘南乃風)とKAI-SHINEをフィーチャーした「LINK UP」のときとかひどかったもんね。僕たちはドライなフィーチャリングが嫌いで、できた曲を投げて、ここに入れてよっていうやり方を極力止めたいんですよ。まあ、今はデータでやり取りできる世の中なので、そういうこともしますけど、HAN-KUNもKAIも湘南出身の後輩なんで、俺らのスタジオに来れるねって話になって、プリプロを設けようってなったんですけど、来た瞬間にテキーラ祭りになって。

──プリプロなのにお酒が!?(笑)

SATOSHI ライブハウスでやってるんで、お酒がいっぱいあるんですよ。

KOJIMA で、相当飲んで。

SATOSHI 最終的に僕は記憶なくしちゃって。

KOJIMA いなくなったんだよね。

SATOSHI そう。で、スタジオで目を覚ましたら、俺のノートに殴り書きで「SATOSHIここ8小節」とか書いてあって。曲の構成ができあがっていたんですよね(笑)。

──(笑)。いない間にできあがっていたということ?

SATOSHI いや、記憶がないんですけど、いたらしいんです。ラフのオケを録るときのボタンを押したのが俺らしいんです(笑)。そんなリンクアップをしたんです(笑)。

無我夢中になっている瞬間を一番大事にしたい

──フィーチャリングといえば「fellowship」ではJESSE(RIZE)さんとKj(Dragon Ash)さんも参加されてますよね。

SATOSHI ケンジとJESSEは本番一発でしたね。でも、ケンジはやり取りできていたけれど、JESSEは本番前日まで電話がつながらなかったんです(笑)。去年の音祭でテーマソングを作ろうってなったときに、RIZEとDragon Ashは皆勤賞だから参加してもらおうって思って、一応、ここの部分は誰っていうふうに決めてたんですよ。それで、ケンジとKOJIMAはスムーズに録れてましたね。JESSEは15分くらいでリリックを作ってました(笑)。

──それもすごいですよ(笑)。

SATOSHI 前日やっと電話がつながったときは、「俺は大丈夫だよ」って言われたんです。でも、来ても一向に書かないんです。ケンジもKOJIMAもできてるのに。俺は、いつでも取り掛かれる準備はできてて……気持ちのね(笑)。そうしたら、JESSEが15分くらいいなくなって、書いてきて。それを見て、いいけど俺はどこを歌うの? って(笑)。そこから、2人で作って、一瞬にして録った感じです。

──まさにライブ感がある作業ですね。なんだか、今作の「ライブ」っていうテーマは、バンドの一貫したスタンスなのかもしれないですね。

KOJIMA レコーディングに関しても、ライブ感を大事にしたくて。無我夢中になっている瞬間を一番大事にしたいバンドなんですよね。やってる音楽は変わっても、姿勢は変わらないですね。

SATOSHI あと、小難しくは絶対ならないですね。いろいろやっているわりには、頭の中にはシンプルになっているので。

──わかりました。最後に、今年の音祭は開催が見送りになってしまいましたけど、まだ続きますよね?

SATOSHI 来年はやりたいって言っています。今年は、音祭番外編っていう形で、全国でライブをやります!

ミニアルバム「YAMABIKO」 / 2011年8月31日発売 / 2100円(税込) / 徳間ジャパン / TKCA-73677

  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Future is now
  2. OVERDRIVE
  3. LINK UP feat. HAN-KUN (湘南乃風) & KAI-SHINE
  4. BE STRONG
  5. ROCK流刑地
  6. 心眼
  7. fellowship feat. JESSE (RIZE) & Kj (Dragon Ash)
  8. BOXER'S ROAD (SONPUB remix)
山嵐(やまあらし)

KOJIMAとSATOSHIのツインボーカルを擁する湘南出身のロックバンド。1996年の結成以来、日本におけるミクスチャーロックの草分けとしてシーンを先導し続けている。2000年10月に麻波25のYUYA OGAWA(G)が加入し、現在の6人編成となる。2005年よりライブイベント「湘南音祭」を主催し、少しずつ規模を拡大して今や恒例の人気野外フェスへと成長している。