音楽ナタリー PowerPush - WORLD ORDER

世界秩序の先にある“よい1日”

WORLD ORDERの多忙な日々

──これまで創作に行き詰まることってありました?

須藤 曲作り、映像作りって時間がかかるものではあるんだけど、アイデアが出ずに立ち往生することはないですね。「HAVE A NICE DAY」は楽曲自体に思い入れが強かった上に、AKB48さんとコラボレーションできるっていう気負いもあったから行き詰まっただけで。ただ今回のアルバム収録曲にせよ、これまでの曲にせよ、基本的に曲作りはスムーズ。……あっ、でもダンスは、ねっ?

落合将人

落合 そうですね。ダンスに関しては以前から「HAVE A NICE DAY」の詞と同じような作り方をしていて。みんなでアイデアを持ち寄って作っているんですけど、作品数が増えてくると、そうやっていろんな人間のアイデアを集めていても、似たような動きしか思い付かなくなることも多いんですよ。今回もせっかく作った振りを「あの曲のにちょっと似てるよね」ってボツにしたりしてますし。そういう苦労は多いですね。

──WORLD ORDERはダンスユニットである上に、シングルやアルバムは「CDと付属Blu-ray / DVD」という形態ではない。「Blu-ray+CD」「DVD+CD」というようにダンス映像を音源と同格扱いしているだけに。

須藤 音はもちろん、ダンスや映像の制作にも時間を割いて、心を砕かなければならないんです。

──その映像についても聞かせてください。今作のBD / DVDに収録されているビデオクリップって、AKB48とコラボレーションしたり(「HAVE A NICE DAY」)、ロンドンロケを敢行したり(「INFORMAL EMPIRE」)、明らかに以前よりも画が豊かになっていますよね。

須藤 以前よりWORLD ORDERが認知されてきているから、やりたいことができるようになってきた気はしています。認知されているからこそ秋元(康)さんから「AKBとコラボしてもいいよ」って言ってもらえたわけですし、ロンドンにも行ける。ただその一方で、認知されたことによる悩みもあって。「MACHINE CIVILIZATION」(2012年)を発表して以降、おかげさまでいろんなお仕事をいただけるようになったんですけど、そのぶん自分たちのダンスや映像をじっくり作ることがちょっと難しくなってきたんですよね。僕らが受ける仕事は「映像を作ってくれ」っていうものが中心なので。企業広告であったり、テレビ番組の中で使用される映像であったり。

──そうですね。

須藤 ここ1年くらいは、その手の映像を作りつつ、自分たちのダンスと映像も作る毎日だったんです。1つの仕事がひと段落したところで自分たちの作品を作ろうとすると、また別の仕事が舞い込んできて「自分たちの曲の振り付けをする時間がない!」ってなることの連続。そんな状況の中、1年近くかけてようやく出揃ったのが「HAVE A NICE DAY」に収録されている映像と音なんです。さっき落合が言っていた「どうも振り付けが似通ってくる」っていう行き詰まりもそういう環境だったからこそ起きたんでしょうね。

落合 時間に追われていっぱいいっぱいになっていた印象はありますね。

濃密な時間がWORLD ORDERをなじませる

──でも楽曲だけでなくダンスも映像も確実に新しくなっている。

落合 逆にそういうお仕事を通じて、いろいろな風景を見せてもらった部分もありますから。そのとき感じたこと、考えたことを持ち寄れたから、似通ってしまいそうになってもそれを修正できた。新しいものを作れたんでしょうね。

上西隆史 確かに自分たちの映像やダンスの制作にまったく着手できない時間が逆にいい意味で“寝かせ”の期間になっている気はします。客観的に自分たちを見つめることができたというか。

森澤祐介 今回に限らず、実は時間って大事で。例えば振りを作るときって必ず動画を録ってるんですけど、その映像は全メンバーが一旦家に持ち帰るんですよ。で、1週間くらいかけて観直してみるんですけど、それによって、振りを作っている最中にはわからなかった部分に気付けることも少なくないですし。

上西 今回について言うなら、以前の振りと似ることを避けるための挑戦に試行錯誤しましたから。みんな、新しいアイデアを思い付きはするんだけど、いざ踊ってみたら「ちょっとWORLD ORDERっぽくないよね」っていう話になることも少なくなかった。でも“寝かせ”の時間があったから、メンバー全員「新しいんだけどWORLD ORDERっぽい着地点ってどこだろう」って探れたのかなっていう気はしています。

内山隼人

内山隼人 あと時間の話をするなら、この1年間、自分たちの作品作りと、企業やテレビでの仕事を同時に進めていたこともあって、メンバーが一緒にいることがすごく多くて。そうやって多くの時間を共有したから、メンバー全員の中にWORLD ORDERがなじんできた感覚もありますし。

──WORLD ORDERがなじんできた?

内山 「ちょっとWORLD ORDERっぽくない」っていうことを共有できるのはWORLD ORDERとはなんなのか、みんなが理解しているからですし。あと、そのボツになったダンスについても、それを踊ってみたことをきっかけに「でもこの振りってあの曲でならWORLD ORDERっぽく使えるかもしれない」みたいなアイデアを膨らませられるようにもなってますし。

富田竜太 個人的な話になってしまうんですけど、僕は最後にWORLD ORDERに入っているから(2013年加入)、特にこの1年間っていう時間の持つ意味が大きかったんですよ。入ったばっかりの頃はある意味外野というか、みんなの動き方や過去の映像を観ながらWORLD ORDERの世界観を探っていた感じだったんですけど、1年っていう時間を共有できたから、ようやくみんなの世界や空気の中に入れたのかなって思ってますから。

須藤 加入時点からまったく違和感なく、そこにいた気がするけどね(笑)。

富田 実は僕の中ではすごく様子を見ていて。ずっとWORLD ORDERっていうドアをノックしていたつもりでした(笑)。

須藤 じゃあそのまま鍵を閉めておけばよかった(笑)。

ニューアルバム「HAVE A NICE DAY」2014年12月17日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤 [2Blu-ray+CD] 8316円 / PCXP-50264 / Amazon.co.jp
初回限定盤 [2Blu-ray+CD] 8316円 / PCXP-50264 / Amazon.co.jp
初回限定盤 [2DVD+CD] 7020円 / PCBP-52308 / Amazon.co.jp
通常盤 [Blu-ray+CD] 5076円 / PCXP-50265 / Amazon.co.jp
通常盤 [Blu-ray+CD] 5076円 / PCXP-50265 / Amazon.co.jp
通常盤 [DVD+CD] 4104円 / PCBP-52309 / Amazon.co.jp
Blu-ray / DVD収録内容
  1. IMPERIALISM
  2. LAST DANCE
  3. WELCOME TO TOKYO
  4. THIS IS LIFE
  5. HAVE A NICE DAY
  6. INFORMAL EMPIRE
CD収録曲
  1. IMPERIALISM
  2. LAST DANCE
  3. THIS IS LIFE
  4. HAVE A NICE DAY
  5. INFORMAL EMPIRE
  6. WORLD ORDER ~Welcome to TOKYO Remix~
  7. MACHINE CIVILIZATION ~ Inner Child Remix~
  8. AQUARIUS ~3.8 Remix~
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容
  • 2014年Zeppツアーのロードムービー「ON THE ROAD AROUND JAPAN 2014 Zepp Tour」
WORLD ORDER(ワールドオーダー)

WORLD ORDER

元格闘家でタレントや作家としても活躍する須藤元気が、男性ダンサー6名(落合将人、高橋昭博、内山隼人、森澤祐介、上西隆史、富田竜太)とともに活動する7人組ダンスパフォーマンスユニット。スーツにきっちり整えた髪型という統一感のあるファッションと、須藤が歌うポップなダンスミュージック、ダンサーたちの高い身体能力を生かしたロボットダンスがアジアをはじめアメリカ、カナダ、ヨーロッパ圏で熱烈に支持されている。2012年6月にDVD / Blu-rayとCDからなる2枚組作品「2012」、同年11月に初のシングル「FIND THE LIGHT / PERMANENT REVOLUTION」を発表した。2013年8月には東京・日本武道館公演の模様を完全収録したBlu-ray / DVD「須藤元気 Presents WORLD ORDER in 武道館」をリリース。そして2014年12月、3枚目のアルバム「HAVE A NICE DAY」を発表した。