WONDER SNAKE | 3人でなら一緒に歩いて行ける“メルヘンカミツキアイドル”がセルフタイトル作で見せる、1つになった姿

WONDER SNAKEが2ndミニアルバム「WONDER SNAKE」をリリースした。

WONDER SNAKEは、名古屋を拠点に活動する3人組の“メルヘンカミツキアイドル”。メンバー1人がピエロのメイクをしているという奇抜なビジュアルや、ヲタ芸を取り入れたライブパフォーマンスで、名古屋圏のアイドルファンを中心に注目されている。このたび発売されたミニアルバムは、リーダーであるオーキュペテー・スイミンが作詞作曲を手がけた表題曲を含む9トラックが収録されている。

音楽ナタリー初登場となる今回は、新作「WONDER SNAKE」についてはもちろん、グループの成り立ちや各メンバーのバックグラウンドについて話を聞いた。

取材・文 / 土屋恵介撮影 / 前田立

かわいさと毒々しさを持った“メルヘンカミツキアイドル”

──まずはWONDER SNAKEというグループのコンセプトを教えてください。

オーキュペテー・スイミン アイドルらしいかわいさとヘビのような毒々しさを持った“メルヘンカミツキアイドル”がコンセプトで、略称は“夢蛇”です。WONDER SNAKEという名前は、「サンダースネイク」というヲタ芸と、私がヘビを飼っているというところから来ています(笑)。あと、WONDER SNAKE結成当初に、ポイズンラットという姉妹グループがいて、「ネズミの先輩たちには負けないぞ」という気持ちも込められています。

キマイラ・レバー・クラウン 曲調はポップで明るいんですけど、歌詞は病んでいるというか、心の叫びが詰まったようなものが多いです。

歪・アイリス・聖 ライブでは“メルヘン”と“噛み付き”を意識して、かわいさとダークさの二面性を出しています。

スイミン かわいい系の曲は、アイドルらしくみんなと一緒に踊ったりしているんですけど、ライブのラストでよく歌う「ロンリーゴースト」では「そんなもんかー!?」と煽ったり、クラウンがシャウトしたり、いわゆるアイドルっぽくない盛り上げ方をするんです。あと、ペンライトを使ってオリジナルのヲタ芸をしたりしています。

WONDER SNAKE

ピエロメイクは仮面のようなもの

──では、皆さんのキャラ紹介としてそれぞれの特徴を聞かせてください。まずはクラウンさん。

クラウン 私は見ての通りピエロメイクで、“かわいい”よりも“カッコいい”を目指しています。歌は、こう見えて3人の中で一番うまいです(笑)。

キマイラ・レバー・クラウン

──もともと歌が好きだったんですか?

クラウン はい。小さい頃から歌うことが好きで、よく家族でカラオケに行って倖田來未さんの曲などを歌っていました。中学生の頃にももクロさんを知って、有安杏果さんに憧れて自分もアイドルになりたいと思ったんです。人前に出るのは苦手なタイプなんですけど、ステージで曲がかかると変わります。

──スイッチが入るわけですね。基本的な質問ですけど、なぜピエロメイクをしているんですか?

クラウン もともとピエロが好きだというのと、あとは自分の顔が好きじゃないので、仮面を着けるような感覚でメイクをしています。

──メイクをすると切り替わるような感覚がありますか?

クラウン ありますね。しかもピエロメイクをしていると目立つじゃないですか。「WONDER SNAKE? ああ、ピエロがいるところね」という感じで、お客さんに認知してもらいやすいかなと。

──なるほど。聖さんはどのようなきっかけでアイドルを目指すようになったんですか?

 初めて持った夢が、歌手になることだったんです。私も小さい頃から歌うことが好きで、小4のときに「けいおん!」にハマったのをきっかけに、ガールズバンドに憧れるようになって。楽器を習わせてもらえなくて、その夢は終わったんですけどね(笑)。でも、自分の中にずっと変身願望があったのかもしれないです。ジメジメした生活を送っていたので、キラキラしているものに憧れを抱いていて、それでアイドルを目指すようになりました。

歪・アイリス・聖

──憧れの人はいますか?

 元ZOCの香椎かてぃさんが好きです。佇まいはクールだけど、「がんばってるんだろうな」という熱さも伝わってきて。私もそういう人になりたい。あと、憧れとは違うけど、ロックバンドもずっと大好きで。中でもヴィジュアル系バンドのR指定やDEZERTが好きです。

名前の由来は不眠症?

──リーダーのスイミンさんはWONDER SNAKE唯一のオリジナルメンバーなんですよね。

スイミン はい。“おやすいみん”と覚えてください(笑)。名前の由来は、寝るのが大好きというのと、あとアイドルを始める前に精神的な浮き沈みが激しくて不眠症気味になってしまったんです。その頃にアイドルに興味を持って。アイドルから元気をもらって、寝られるようになったんです。なので、自分もそういう存在になりたいなと思って、この名前にしました。理想のアイドル像は乃木坂46のまなったん(秋元真夏)です。ただ、私は最初アイドルをやりたかったわけじゃなかったんですよ。

オーキュペテー・スイミン

──そうなんですね。では、どのようなきっかけでアイドルになったのでしょうか。

スイミン もともと音楽が好きで、小学生の頃から作曲はしていて、中学に入ってから作詞も始めたんです。昔から人前に出るのが好きで、目立ちたがり屋だったので(笑)、学園祭で弾き語りをしていて。とにかく音楽が好きで、たくさん聴いたり歌ったりしていたんです。でも、いつからかカラオケに行って人の曲を歌っていても楽しくないなと思うようになったんですよ。自分で作詞作曲をして、「めっちゃいいのができた!」と思えるほうがやっぱりうれしいし。であれば、自分は作る側として音楽に携わる仕事をしたほうがいいのかなって。将来的にアイドルのプロデューサーになって、自分が作った曲をアイドルの子に歌ってもらいたいと思ったんです。それで今のプロデューサーに「スタッフとして勉強させてください」とお願いしたら、「新しいグループを立ち上げるから、そこでリーダーとして、グループを引っ張りながら勉強してみない?」と言われて、それがきっかけでアイドルになりました。

──実際にアイドルとして活動してみてどうですか?

スイミン 今はやっていてすごく楽しいです。それに、新しいミニアルバム「WONDER SNAKE」に自分が作詞作曲した曲を入れてもらって。自分の曲を皆さんに届けたいという夢も叶っちゃいました。とてもうれしいです。

3人が1つになった2周年ワンマン

──WONDER SNAKEは、もともとスイミンさんと別のお2人の、3人グループとして活動していたんですよね。

スイミン そうなんです。2019年7月14日がデビューライブで、その年の10月にクラウンが、2020年の1月に聖が入って、5人になったんです。でも、もともといた2人が抜けてしまって、去年の1月に今の3人体制になりました。

──今の体制になって、グループの活動に変化はありましたか?

スイミン 5人のときは「楽しんでいる私たちを見せることで、お客さんにも楽しんでもらう」という感じだったんです。今のほうがもっと音楽に対して熱いと思うし、「ライブをやってやるぞ!」という感覚があります。ただ、3人になってすぐの頃は、歌割りも振り付けも全部変わるので、けっこう大変でした。「3人でやっていくぞ!」という気持ちはもちろんあったんですけど、お客さんも減っちゃったし、「5人のときがよかった」という声もあって、けっこうつらかったですね。新しい自分たちを見てもらいたいという気持ちはあったけど、最初はパフォーマンスの息があまり合わなくて。

WONDER SNAKE

クラウン 3人になってすぐの頃はボロボロでしたね。でも、今の体制になってから半年後に開催された2周年ワンマンを経て、初めて「この3人ならいける」と思いました。お客さんをたくさん集めることができたし、3人でも5人分くらいのパフォーマンスができたんです。5人のときのワンマンよりも、3人でやった2周年ワンマンのほうがよかったという手応えがありました。

スイミン 私もそう思った。

クラウン 気持ちの切り替えがちゃんとできた日だったよね。

 うん。2周年ワンマンはすごく緊張したけど、いいステージができたと思います。3人のパワーを見せることができた、3人が1つになった瞬間だったと思います。

──それ以降、ライブは楽しくできていますか?

 めちゃくちゃ楽しいです。

クラウン 今すぐにでもライブがしたいくらい(笑)。

スイミン わかる!(笑)

──WONDER SNAKEのライブの魅力をひと言で言うと?

クラウン お客さんとの一体感ですね。お客さんが私たちと一緒に踊ってくれているのを見ると「うわっ!」と思います。愛おしさすら感じる(笑)。

 お客さんの結束力もすごいんです。