ビッケブランカ「夏の夢 / WALK」 PR

ビッケブランカ×竹内良貴監督×白石晴香|映画「詩季織々」鼎談 ビッケの歌声が彩る中国の“衣食住行”

ビッケブランカが8月8日にリリースした両A面シングル「夏の夢 / WALK」。表題曲のうちの1曲「WALK」は、映画「君の名は」を手がけたコミックス・ウェーブ・フィルム制作によるアニメーション映画「詩季織々」の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。

音楽ナタリーでは、ビッケブランカと「詩季織々」の3つの短編のうちの1つ「小さなファッションショー」の監督である竹内良貴、そして物語に登場する姉妹の妹・ルルの声を担当した声優の白石晴香のインタビューをセッティング。3人に主題歌「WALK」と「詩季織々」について話してもらった。

取材・文 / 内本順一 撮影 / 星野耕作

世界観が確立されていたから、少し寄り添うだけでいいんだなと思ったんです

──こうして3人でお話をされるのは……?

左からビッケブランカ、竹内良貴、白石晴香。

竹内良貴 3人では初めてですね。

ビッケブランカ そうですね。僕は白石さんとは今日初めてちゃんとお話するし、監督ともゆっくりお話するのはこれが初めてです。

──ビッケがアニメ映画の主題歌を担当するのは、これが初めてですよね。話をもらって、どんなふうに感じました?

ビッケブランカ 初めに聞いたときは“日中合作”という言葉が響いて。中国と日本の架け橋になる作品の主題歌ということだったので、グローバルな感じなんだなと。しかもコミックス・ウェーブ・フィルムという日本の名のある制作会社の新作ということだったので、これは気合い入れて作らないといけないなと思いましたね。

──曲は作品を観終えてから書いたんですか?

ビッケブランカ はい。音楽以外はほぼできている状態だったので、全部通して観てから書きました。すぐにイメージが浮かびましたね。もともとそんなに考え込んで書くタチでもないんですけど、これはどういう曲を作ればいいかという答えがすぐにわかった。作品の世界観が確立されていたから、少し寄り添うだけでいいんだなと思ったんです。

竹内 僕はそのときまだ、会社に泊まり込んだりしながら必死に絵を作っていて。そんなときに曲のデモがあがってきて、「ああ、いいなあ」と。歌詞も作品に合ったものをあててくれていたし。3つの短編はそれぞれ色が違うんですけど、この曲で1つにまとまったなと思いました。

ビッケブランカ 本当ですか? 光栄です。

──作品を観たうえで「このシーンをこういう言葉に変換しよう」と考えながら歌詞を書いていったんですか?

「陽だまりの朝食」

ビッケブランカ いや、そこはそんなに捉われてなくて。観たあと2日間の制作日をもらって、その2日間でもう曲ができあがったんですけど。

白石晴香 早い……!

ビッケブランカ そうなんですよ。普通なら歌詞を書くだけで2日かかるんですけど、今回は映像を観たその日の夜から取り掛かって、初めに適当な英語で歌ってリズムを録りつつ、同時に楽器も入れて。翌日1日で音を全部完成させることができた。それでコミックス・ウェーブ・フィルムさんに「こんな感じになってますけど、方向性的に合ってますか?」って確認するため送ろうと思ったんですけど、英語より日本語のほうがイメージしやすいかなと思って、なんとなく日本語に置き換えたんですね。その作業も、前日に観た映像の記憶が鮮明に残っていたから単純に置き換えようとした言葉が偶然にも的を得た感じになって。「最終的にちゃんとした日本語の歌詞に整えますから、とりあえずその前提で聴いてください」って言葉を添えて送ったんですけど、その段階で「歌詞が素晴らしい」という返事をいただけた。僕としては「あら、そうですか?」って感じでした。だから、その段階で送ったデモと完成したものとでは、基本的な部分はほとんど変わってないですね。

竹内 だからこそ3本の短編をまとめる力が曲にあるんでしょうね。

これから歩いていく未来のように感じられて、すごく感動したのを覚えています

──白石さんは、初めて主題歌「WALK」を聴いたとき、どんなふうに感じましたか?

白石晴香

白石 初号試写で初めて聴かせていただいたんですが、より感動的なエンディングになる素敵な曲だなと思いました。歌詞の中の「呼ぶ声が標識のような光や色を抱いて さあ歩こう歩こう歩こう」という部分が、ルルちゃんとイリンちゃんがこれから歩いていく未来のように感じられて、すごく感動したのを覚えています。

ビッケブランカ 「光や色を抱いて」ってところは、映像を観て単純に「光と色がなんて美しいんだろう」って思ったから、口をつくように出てきたんですよ。

──“光と色”はこの作品において非常に重要ですよね。

竹内 そうですね。そもそもうちのスタジオの特徴として背景美術がすごく緻密だったりするので、光の表現はかなりこだわってやってます。

ビッケブランカ あれって、どうやって作っているんですか?

竹内 基本的に、背景はPhotoshopというソフトを使って描くんです。ただ、うちは背景にかなり時間をかけるほうで、普通の会社が1日で2枚描くところを1枚で3日とか1週間とか、丁寧に時間をかける。それでああいうふうに緻密な絵になるんです。

ビッケブランカ ものすごく緻密ですよね。雲間から光がササササーって広がっていくところとか、すごいなって思って。

竹内 最初はわりとフワっとしてるんですけど、光を足したり動きを足したりしながらキャラクターと背景の合わせを調整していって、そこで調整したものが最終的な絵になるので、撮影とかコンポジットといった工程もうちは相当細かくやってますね。

「上海恋」

白石 私、以前からコミックス・ウェーブ・フィルムの作品が大好きだったんですが、やっぱりあの背景とか光がいつもキレイだなあと思っていて。だからこの中で私がルルちゃんという役の声を演じ、命を吹き込むというお仕事をさせていただけるのはすごく幸せなことだなと思いました。

──これまで観た中で特に好きだった作品はなんですか?

白石 どれが一番って選べないくらいどの作品も好きなんですが、初めて観たのは「秒速5センチメートル」でしたね。小学生のときのことです。

竹内 小学生のときに「秒速」を観たんですか!? 僕もその作品から仕事を始めたんですよ。そこでCGと背景をやってまして、それからもう10年(笑)。

白石 あ、そうなんですね!?

自分の真骨頂はミドルバラードにあるんじゃないか

──監督はこの作品と主題歌「WALK」のマッチングについて、どのように感じましたか?

竹内 今回の作品は3編とも、登場人物が子供ではないけど大人でもないというくらいの年代じゃないですか。その微妙な年代の感受性みたいなところに、すごくマッチしている曲だなと思いましたね。

──確かに。ビッケはそれを意識しながら書いたんですか?

ビッケブランカ

ビッケブランカ 子供でもなく大人でもなくってところですか? いや、そこはそんなに。本当にこんなに短時間で作れたことは今まであまりないので、何か別の力が働いたんでしょうね。意識せずともそうなったと言うか。作品がこの曲を書かせた感じなので、マッチするのは当然なのかなって思います。

──ビッケの曲にはパーティソング的な弾けた曲もあるし、じっくり聴かせるバラードもあるけど、この「WALK」はスローでありながらもテンポ感がある。その絶妙なテンポ感がこの作品のトーンにピッタリ合ってるんですよね。

ビッケブランカ そうなりましたね。と言うのも、僕はそんなにアニメをたくさん観るほうではないですけど、それでも最近のアニメって昔のものよりテンポが速い印象があって。例えば僕がよく観てた「ドラゴンボール」なんかは、戦うまでにずっとにらみ合いをしているから長いわけですよ。でも最近のアニメはもっとポンポンポンと展開していく。じゃあ映画はどうなんだろうって思ったら、この作品もテレビアニメほどではないにせよ、やっぱり実写とか昔のテレビアニメよりも展開が速い印象を受けたんです。それだけに、僕の曲が流れた途端にダレたりしたら終わりだなと。テンポのいい映画なら最後までテンポよくいかないと。そうやって世界観とか空気の流れを変えないように、って意識だけはあったんです。

竹内 今回、ビッケさんのほかの曲もいろいろ聴かせてもらったんですけど、曲によって雰囲気がけっこう違いますよね。それは意識してそうしてるんですか?

ビッケブランカ 同じような曲調ばかりだと飽きちゃうんですよ。いろんなことをやってないと退屈しちゃうんで、そういうふうにしているだけですね。だからこの曲ができたあとは、また全然違うハッピーソングを書いてました(笑)。自然とそうなってる感じです。

竹内 どれが一番素に近いんですか?

ビッケブランカ それ、難しいところなんですよ。自分でもよくわからなくて(笑)。ただ、明るく弾けていて遊び心のある曲を書くようになったのは最近になってからで、曲を書きだした頃は「WALK」に近いミドルバラードが多かったように記憶してます。だから自分の真骨頂は今回のようなミドルバラードにあるんじゃないかと思いますね。

白石 ビッケさんはすごく優しい歌声をしてらっしゃるので、こういう曲調だと特にそれがジーンと胸に沁みわたって、初めて聴いたときから「ああ、落ち着くなあ」と思いました。素晴らしい作品に出させてもらえたんだなっていう感動が、あの曲を聴いてさらに大きくなりました。

ビッケブランカ ありがとうございます! この名作の一端を担えたなら、よかったです。

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衣食住行

ビッケブランカ「夏の夢 / WALK」
2018年8月8日発売 / avex trax
ビッケブランカ「夏の夢 / WALK」初回限定盤

数量限定生産盤
[CD+サコッシュバッグ]
2160円 / AVCD-94135

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ビッケブランカ「夏の夢 / WALK」通常盤

通常盤
[CD]
1296円 / AVCD-94136

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収録曲
  1. 夏の夢
  2. WALK(movie ver.)
  3. 夏の夢(cold water remix)
  4. Black Rover(feat.SKY-HI city raven remix)
「詩季織々」
テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかで公開中
「詩季織々」
「陽だまりの朝食」
スタッフ / キャスト

監督:イシャオシン

キャスト:坂泰斗 / 伊瀬茉莉也

ストーリー

北京で働く青年シャオミンは、ふと故郷・湖南省での日々を思い出す。祖母と過ごした田舎での暮らし、通学路で感じた恋の気配や学校での出来事……子供時代の思い出のかたわらには、いつも温かい、心のこもったビーフンの懐かしい味があった。そんな中、シャオミンの祖母が体調を崩したとの電話が入る。

「小さなファッションショー」
スタッフ / キャスト

監督:竹内良貴

キャスト:寿美菜子 / 白石晴香 / 安元洋貴

ストーリー

広州の姉妹、人気モデルのイリンと専門学校生のルル。幼くして両親を亡くした2人は、共に助け合いながら仲良く一緒に暮らしていた。しかし、公私ともに様々な事がうまくいかなくなってきたイリンはついルルに八つ当たりしてしまい、2人の間には溝ができ、大ゲンカをしてしまう。

「上海恋」
スタッフ / キャスト

監督:リ・ハオリン

キャスト:大塚剛央 / 長谷川育美

ストーリー

1990年代の上海。石庫門(せきこもん)に住むリモは、幼馴染のシャオユに淡い想いを抱きながら、いつも一緒に過ごしていた。しかし、ある事がきっかけとなり、リモは石庫門から出ていき、お互いの距離と気持ちは離れてしまう。そして現代、社会人になったリモは、引っ越しの荷物の中に持っているはずのないシャオユとの思い出の品を見つけるのだった。

ビッケブランカ
ビッケブランカ
愛知県出身の男性シンガーソングライター。高校卒業と同時に上京しピアノを習得した後、本名の山池純矢としてソロ活動を開始する。2012年にビッケブランカに改名。その後はライブを中心に活動を続け、美麗なファルセットボイスとピアノが紡ぎ出すポップチューンを武器に各地のイベントなどに出場し話題を集めている。2014年7月に配信シングル「追うBOY」をリリース。同年10月に1stミニアルバム「ツベルクリン」を発売した。2015年8月には2ndミニアルバム「GOOD LUCK」を発表。2016年10月にミニアルバム「Slave of Love」でavex traxよりメジャーデビューを果たす。デビュー作収録の「Natural Woman」はメタボリックのスムージー「enNatural」、「Slave of Love」はGoogle Play MusicのCMソングに採用された。2017年1月にワンマンツアー、5月にツーマンツアーを行い、各公演のチケットはソールドアウトを記録する。7月に1stフルアルバム「FEARLESS」をリリースし、8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」や「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO」といった大型フェスに出演。9月からワンマンツアー「FEARLESS TOUR 2017」を行い、10月の東京・赤坂BLITZでのツアーファイナルを含め満員御礼となった。2018年4月にメジャー1stシングル「ウララ」を発表。8月に2ndシングル「夏の夢 / WALK」をリリースした。
竹内良貴(タケウチヨシタカ)
竹内良貴
1985年生まれ。東京工科大学メディア学部卒業。映画「秒速5センチメートル」(2007年)より、すべての新海誠作品に背景美術・CGスタッフとして参加。「星を追う子ども」(2011年)、「言の葉の庭」(2013年)、「君の名は。」(2016年)では、3DCGチーフとして各3Dカットを担当し、新海作品を支える。自身でもアニメーション作品やCMなどに演出、監督として携わり、「小さなファッションショー」でオリジナル作品の監督デビューを果たす。
白石晴香(シライシハルカ)
白石晴香
1995年4月8日生まれ、東京都出身の女優、声優。特技はジャズダンスとバレエ。2011年公開の映画「コクリコ坂から」の松崎空役で声優デビューし、以降、2014年公開の映画「思い出のマーニー」などに参加。同年NHK BSプレミアムで放送されたテレビアニメ「山賊の娘ローニャ」では主人公のローニャ役を務める。声優として活動するほか、舞台作品にも多く出演。またテレビアニメ「ゴールデンカムイ」では、アシパ役を担当している。