師崎のポップとオルタナ
──収録曲についてもいくつか聞かせてください。リード曲の「星空とリバース」はURCHIN FARMのポップネスが強く出ている曲ですね。
師崎 ポップなものが好きですからね。例えて言えば「1人で家にいるときの自分ではなくて、外に出て、人前にいるときの自分を見てほしい」という感じかな。
SHITTY どういうこと?(笑)
師崎 ポップとオルタナの違いって、家の外と内みたいなものだと思っていて。部屋に1人でいるときのテンションも好きだけど、それは人に見せるものじゃないですよね。外に出るときはそれなりにオシャレもするし、言葉遣いにも気を付ける。そういう外向けの感覚がポップってことだと思うんですよ。URCHIN FARMの曲を作るときも、外向けの自分をチョイスしてるということですね。「星空とリバース」は歌詞も僕が書いてるんですけど、「昔も今も星空は変わらなくて、ずっと前に好きだった女の子と一緒に見た星空がフラッシュバックする」っていう内容なんです。自分としてはWeezerみたいなイメージなんですけどね。
──ちょっと女々しいと言うか。
師崎 そうですね(笑)。そういうことをはっきり日本語で歌ってもいいと思ってます、今は。
──和風のメロディとダンスビートを取り入れた「下北モノノ怪さん」もインパクトありますね。
浅野 これはモロさんのオルタナティブなところが出てるのかも。
SHITTY 確かに(笑)。かなり危ういバランスだからね。
師崎 自分としては特に変わったことはやってないと言うか、芯はブレてないつもりなんだけどね。このタイトルは壮太が決めたんですよ。「『下北モノノ怪さん』しかない!」って。
矢澤 気色悪い感じがいいかなと思って(笑)、だったら妖怪かなと。下北沢でライブがあると朝まで飲んでたりするんですけど、夜中になると街中に酔っぱらった妖怪がたくさん出るんですよ。もちろん自分のことでもあるんですけど(笑)。それを毎日のように繰り返している人もいるので。この曲の歌詞に出てくる妖怪たちにはモデルがいるんですよね。
──「人生謳歌」は超ストレートな応援ソングです。
矢澤 モロに「このタイトルでお願いします」って言われたんです。「内容は全部お任せします」という感じだったから、メロディから受けた印象から歌詞を書いて。モロから投げられたメロディを受け止めて、自分を介してリスナーに向けて投げるような感覚ですね。確かにかなりシンプルですよね。
──「怖くたって 狭い道だって 未来に向かって さあ 人生謳歌」というフレーズを堂々と歌うためにはメンタルの強さも必要ですよね。
矢澤 そこはもうプロとしての意地ですね。ステージに立っているときは「自分が一番強いんだ」と思っていいし、そういうモチベーションを維持することが大事なので。
1本1本のライブでお客さんをがっちりつかめるバンドに
──11月19日には「ワイヤードテレグラフィー」リリースツアーのファイナルとなるワンマン公演が東京・TSUTAYA O-WESTで開催されます。「CALENDER FILMS」「ワイヤードテレグラフィー」によって新曲が増えているので、ライブの雰囲気も変わっていきそうですね。
矢澤 合わせると17曲ですからね。今は長い時間のライブをやりたくて。
師崎 当然「ワンマンライブを続ける」ということにつながるんですけどね。バンドとして体力をもっと付けて、ワンマンをやれる状況を作っていかないと。自分たちの足でしっかり立ったうえで、仲間とも協力できるバンドが好きなんですよ、もともと。11月のワンマンでは、その姿勢を見せたいと思ってます。瞬発力だけではなくて、時間をかけてお客さんに伝えていきたいので。
矢澤 しっかりとワンマンができるようになれば、フェスやイベントでも自分を持って「短い時間だけど、楽しんでいって」と言えると思うので。1本1本のライブでお客さんをがっちりつかめるバンドになりたいんですよね。
- URCHIN FARM「ワイヤードテレグラフィー」
- 2017年10月4日発売 / Blue Phrase Music
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[CD]
2052円 / BPMR-1002
- 収録曲
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- 星空とリバース
- 眠れぬ夜の症状
- 下北モノノ怪さん
- 君の街まで
- 人生謳歌
公演情報
- URCHIN FARM Release Tour FINAL ONEMAN
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- 2017年11月19日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST
- URCHIN FARM(アーチンファーム)
- 1999年に結成された4人ロックバンド。リリースやライブを重ね、精力的に活動を行うも、2009年に活動を休止する。2014年にオリジナルメンバーの矢澤壮太(Vo, G)、師崎洋平(G, Cho)、SHITTY(B)に新メンバー・浅野智基(Dr, Cho)を加えた4人で再始動。同年10月にアルバム「LIVESRAVE BEST」を、2016年2月にミニアルバム「By Blue」を発表する。2016年6月からは12カ月連続で無料配信を行い、2017年7月に12曲を集めたwebアルバム「CALENDER FILMS」を完成させた。2017年10月にミニアルバム「ワイヤードテレグラフィー」を発売。