東京スカパラダイスオーケストラ×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)|“補色の交わり”が生み出した鋭利なラテンスカ

東京スカパラダイスオーケストラが11月29日にニューシングル「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」をリリースする。

シングルの表題曲はテレビ東京系 「ドラマ24『新宿セブン』」のオープニングテーマで、今回のドラマのために書き下ろされた楽曲。タイトルにある“モントゥーノ”とは、サルサにおいてコーラスとボーカルのコール&レスポンスが行われるセクションを指した音楽用語で、ラテン調の踊り出したくなる情熱的な“攻め”のアレンジにゲストボーカル・斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / Vo, G)のハイトーンボイスが絡み合うことで極上のスリルが表現された1曲だ。

今回音楽ナタリーでは斎藤とスカパラの谷中敦(B.Sax)、沖祐市(Key)、茂木欣一(Dr)が会したインタビューを実施。レコーディングの舞台裏から互いのスタイルの相違点、さらに今回の作詞者でもある谷中の作詞術までを大いに語ってもらった。

取材・文 / 内田正樹 撮影 / 草場雄介 ヘアメイク(斎藤宏介) / 中井正人(DEUCE)

東京スカパラダイスオーケストラ「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」
2017年11月29日発売 / cutting edge
東京スカパラダイスオーケストラ「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」通常盤

通常盤 [CD+DVD]
2484円 / CTCR-40390/B

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東京スカパラダイスオーケストラ「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」通常盤

通常盤 [CD]
1296円 / CTCR-40391

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CD収録曲
  1. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)
  2. WORLD RUDO CONNECTION feat.Los Auténticos Decadentes
  3. Moon Bow
  4. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN) Instrumental
DVD収録内容
  • 「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」MUSIC VIDEO
  • 「Latin America Tour 2017ドキュメンタリー前編」

高性能な才能を持った好青年

──まず今回の顔合わせが実現した経緯からお聞かせ下さい。

左から谷中敦、沖祐市、斎藤宏介、茂木欣一。

谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ / B.Sax) ずっと一緒にやりたかったんですよ。素晴らしいボーカリストだからね。

茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ / Dr) 事務所も同じだし、実は意外と昔からの知り合いでね。

谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ / B.Sax)

谷中 UNISON SQUARE GARDENとスカパラは何回か対バンさせてもらっていて、彼らが素晴らしいのは重々承知だった。彼らの曲はアレンジが複雑なのにちゃんとポップスで、しかも斎藤くんは複雑なギターテクニックを見せながら歌う、その歌の正確さが半端ない。とてつもない才能と、ものすごい性能を持った人だなあと。高性能な才能と言えばいいのかな。

茂木 高性能な才能を持った好青年だ!(笑)

斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / Vo, G) もう32歳ですよ?(笑) でも、ありがとうございます。僕が中学生くらいの頃から「スカパラのコラボ曲はヤバいぞ」という思いは持っていて。なんとなく将来について考えたときに、「好きな歌が歌えるようになったら、いつかスカパラさんと一緒に歌えるようなボーカリストになれたらなあ」と思い描いていました。それが叶ったんですから、誘ってもらえたときは本当にうれしかったです。

茂木 スカパラは今年の3月にアルバムを出してツアーをやっていて。「そろそろ新しいシングルを出して、また新たにキックオフしたいな」と考えていた時期に、ちょうどドラマの主題歌タイアップの話をいただいたんです。「“新宿の闇がざわつく”というドラマの内容がそそるよね」と言う話から「どんな人とやりたいか?」と言う話になったときに宏介くんの名前が出てきて、またとないタイミングだと思いました。新しいスカパラの音楽の未来が見えそうだし、ワイルドなものに仕上がりそうな予感もしたので。

「俺が斎藤だ!」みたいな歌を

──そこからこの楽曲へとたどり着いたプロセスは?

谷中 俺はボーカリストをフィーチャーしたスカパラのコラボレーション楽曲はすべて名曲だと思っていて。なぜかと言うと、メンバーみんなで曲を出し合って、全員でブラッシュアップしていくから。いい曲にならないわけがないんですよ。今回はわりと早い時期に「沖の曲がいい」って話になったよね?

茂木 僕らは大抵の場合メンバーそれぞれから出てきた楽曲をリハーサルのように音出ししながら確認していくんですけど、沖さんからこの曲のモチーフのメロディが出てきたとき、みんなすぐに「これは!」とピンと来て。

斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN / Vo, G)

沖祐市(東京スカパラダイスオーケストラ / Key) 僕は「スカパラに少しでも新しい雰囲気を持ち込めたら」と毎回思っているんですが、この曲ができたときは自分でも「1つ“見えた”な」という手応えがありましたね。転調や音階の飛びもかなりあるから、斎藤くんが歌ってくれたらバッチリだという確信もありました。

斎藤 めちゃくちゃカッコいい曲を用意していただいたので、あとはどれだけ自分の色を出せるかが勝負だと思いました。自分が歌を歌ううえでは、普通に歌える歌と仕上がりをイメージしてあれこれと策を練って歌う歌があるんですが、この曲は後者の塊みたいな曲でしたね(笑)。曲をぶち壊さない限り、自分の表現したいことはすべて盛り込んで「俺が斎藤だ!」みたいな歌を歌えたらと思っていました。

キレッキレだから起こった偶然

──なるほど。実際のレコーディングはどのように進みましたか?

 スタジオではブースで歌っている斎藤くんが一節一節歌い終わった瞬間や、歌詞の切れ目で「フッ」と漏れる息の切れ具合が聴こえるたびに、みんなで「クーッ!!」とシビれちゃっていましたね(笑)。なんと言うか、ブルース・リーが見得を切って「アチョー!!」と叫んだあとの余韻みたいだなあと思った。

──もしかして、この曲のミュージックビデオで加藤(隆志)さんが「死亡遊戯」のブルース・リーのジャンプスーツを着ている演出はそこから生まれたアイデアですか?

 それは偶然だったんです(笑)。監督の番場(秀一)さんは最近僕らとよく組んでいて、南米のツアーも一緒に回ったんですが、以心伝心で感動しました。でも何より、斎藤くんの歌がキレッキレだったからこんな偶然が起こったんだと思いますよ。

谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ / B.Sax)

斎藤 僕も含めた全員でジャンプスーツを着ようか?という話もありましたよね(笑)。

谷中 そうそう。着てみたい気持ちもあるんだけど、身体が大きいから大抵の場合、用意される衣装の寸が足らなくて恐怖症気味なんですよ(笑)。それにどうせ俺が着ても「死亡遊戯」の敵役の黒人みたくなっちゃうし。

 あれは似合う、似合わないがあるよね。俺の場合は職員室の先生みたいになるし(笑)。加藤くんは、前のツアーでチャイナっぽい模様が施されたスーツを着たりしていたのでよく似合う。ヨーロッパツアーのバスの中でも、酔っぱらうと僕と2人で、ジャッキー映画のシーンのモノマネとかして遊んでいたのでね(笑)。

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東京スカパラダイスオーケストラ(トウキョウスカパラダイスオーケストラ)
東京スカパラダイスオーケストラ
NARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor Sax)、谷中敦(Baritone Sax)、沖祐市(Key)、川上つよし(B)、加藤隆志(G)、大森はじめ(Perc)、茂木欣一(Dr)からなる、日本国内のみならず諸外国にて多数の公演も行う、日本が世界に誇るスカバンド。1989年にインディーズデビューし、1990年にシングル「MONSTER ROCK」でメジャーデビューする。2013年12月からはデビュー25周年の一環として亀田誠治をプロデューサーに迎えた「バンドコラボ3部作」を展開し、10-FEET、MONGOL800、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとのコラボシングルをリリースした。2015年3月にはベストアルバム「The Last」を発表し、東京・日本武道館公演を実施。7月にクリープハイプの尾崎世界観(Vo, G)との共作シングル「爆音ラヴソング / めくったオレンジ」を、12月に片平里菜とのコラボシングル「嘘をつく唇」を発売する。2016年6月に東京スカパラダイスオーケストラ feat. Ken Yokoyama名義によるシングル「道なき道、反骨の。」、9月には同じくKen Yokoyamaとのタッグによる「さよならホテル」をリリースする。2017年3月には20枚目となるオリジナルアルバム「Paradise Has NO BORDER」を発売。そして11月にUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介をゲストボーカルに迎えたシングル「白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」を発表。
UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)
UNISON SQUARE GARDEN
斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、同年12月には初の単独ライブを成功させる。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマとして制作した2011年5月リリースのシングル「オリオンをなぞる」で広く注目を集める。全国各地の音楽フェスやライブイベントにも精力的に出演し、NHKホールなど大規模な単独公演にも注力。2015年5月にアニメ「血界戦線」のエンディングテーマ「シュガーソングとビターステップ」をシングルリリースし、同年7月にはバンド結成10周年を記念したアルバム「DUGOUT ACCIDENT」を発表した。2016年1月、バンド史上初の東京・日本武道館でのワンマンライブの模様を収めたライブDVD「UNISON SQUARE GARDEN LIVE SPECIAL "fun time 724" at Nippon Budokan 2015.7.24」をリリース。7月に約2年ぶりとなるフルアルバム「Dr.Izzy」を発表し、本作を携えて40カ所44本というバンド史上最多公演数となる全国ツアーを行う。2017年には11月8日に12thシングル「Invisible Sensation」を、翌週11月15日に13thシングル「fake town baby」をリリースした。