音楽ナタリー Power Push - 東京スカパラダイスオーケストラ×尾崎世界観(クリープハイプ)
刺激的な共作がもたらした相互作用
「絶対に面白いものができる」という確信
──「めくったオレンジ」にはスカパラが2001年にリリースした楽曲「めくれたオレンジ」も引用されてます。やはり尾崎さんは、こういう言葉のセンスが抜群ですよね。単なるパロディではなく、絶妙の距離感でリンクさせながら「そう来たか!」と思わせるインパクトがあって。
加藤 驚かされますよね。さっき言い忘れましたけど、2013年の「COWNTDOWN JAPAN」で声をかけた半年後に、蔦谷好位置くんを介して一緒に飲むことになったんですよ。最初は谷中さんも入れて4人で飲むはずだったんだけど、蔦谷くんと谷中さんが来れなくって、いきなりサシ飲みになって。
尾崎 そうでしたね。
加藤 初めはちょっと緊張してたんだけど、話がグルーヴして、午後7時から朝方4時くらいまで飲んで(笑)。そのときに「曲を作ろうよ」って話になって、尾崎くんが「加藤さんがメロディをくれたら、歌詞を書きます」って言ってくれたんですよね。で、次の日にフッと浮かんだメロディを送ったら、1、2週間後に歌詞と新しいサビが付いた状態で戻ってきたんです。弾き語りで歌ってくれてたんだけど、その歌詞もすごくよかったんですよね。2人で飲んでるときの感じを反映してくれていて、「やっぱりハンパないな」って思って。そこからですね、「一緒にやったら、絶対に面白いものができる」と思ったのは。ただシングルは自分たちにとっての決意表明なので、ノリでやるんじゃなくて、慎重に企画しましたけどね。メンバーにもしっかり話したし、今の音楽シーンにたくさんボーカリストがいる中で「尾崎世界観を選んだ」ということもアピールしたかったので。
「The Last」後の初作品を振り返って
──スカパラにとっても尾崎さんにとっても、本当に意義のあるシングルになったと思います。尾崎さんが今回のコラボレーションで得たものって、何ですか?
尾崎 いろいろありますけど、一番は「楽しかった」ということですね。
谷中 ほら、全然緊張してない。
尾崎 してますって(笑)。クリープハイプのレコーディングも、徐々に楽しくしようと思ってるんですよ。カオナシ(長谷川カオナシ[B / クリープハイプ])も今回の曲のコーラスで参加したから、レコーディング現場の雰囲気を知ってるし(笑)。
加藤 はは(笑)、カオナシくんのコーラスワーク、かなり天才的だったよね。
茂木 すごかった。自分でどんどんフレーズを重ねていって、ブライアン・ウィルソンみたいだなって。毎回来てほしいくらい。
尾崎 貸し出します(笑)。そういえばこの前、スタジオで休憩してるときに3人が「爆音ラヴソング」を演奏してくれたんですよ。ホーンのフレーズも小川(幸慈[G / クリープハイプ])くんが弾いてくれて(笑)。それもうれしかったですね。
──スカパラにとっても、今回のシングルは起爆剤になりそうですね。
茂木 うん、すごい起爆剤。ロケットエンジン並の。
加藤 25年のキャリアを解放して、また1年目に戻った感覚でやりたいという気持ちが強いんですよね。ベスト盤や日本武道館公演の「The Last」というタイトルも、そういう意味で付けたし。
茂木 そうだよね。
加藤 そういう意味でも今回のシングルはすごく大きいんだけど、一番感じたのは「これをやりたい!」というモチベーションが音楽にどれほど大きく作用するかってことなんです。スカパラは人数が多いから、全体主義みたいになりがちなんだけど、「今俺はこれがやりたい。一緒にやってみないか?」というのが大事なんですよね。そのことに改めて気付けたのは、本当によかったと思います。
- 東京スカパラダイスオーケストラ ニューシングル「爆音ラヴソング / めくったオレンジ」2015年7月29日発売 / cutting edge
- 「爆音ラヴソング / めくったオレンジ」
- 初回限定盤 [CD2枚組] 2160円 / CTCR-43371~2 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 1296円 / CTCR-43373 / Amazon.co.jp
DISC 1収録曲
- 爆音ラヴソング
- めくったオレンジ
- 爆音ラヴソング(instrumental)
- めくったオレンジ(instrumental)
DISC 2収録曲(初回限定盤のみ)
- ルパン三世'78 (Live at club asia 2015.05.11)
- Can't take my eyes off you(Live at club asia 2015.05.11)
- ペドラーズ2015(Live at club asia 2015.05.11)
- DOWN BEAT STOMP(Live at club asia 2015.05.12)
- Sunny Blues 7inch.(Live at club asia 2015.05.12)
- SKA ME CRAZY(Live at club asia 2015.05.12)
- スキャラバン(Live at club asia 2015.05.13)
- Raise it all(Live at club asia 2015.05.13)
- Sweet G(Live at club asia 2015.05.13)
東京スカパラダイスオーケストラ
(トウキョウスカパラダイスオーケストラ)
NARGO(Tp)、北原雅彦(Tb)、GAMO(Tenor sax)、谷中敦(Baritone sax)、沖祐市(Key)、川上つよし(B)、加藤隆志(G)、大森はじめ(Per)、茂木欣一(Dr)からなる、日本国内のみならず諸外国にて多数の公演も行う、日本が世界に誇るスカバンド。2013年12月からはデビュー25周年の一環として亀田誠治をプロデューサーに迎えた「バンドコラボ3部作」を展開し、10-FEET、MONGOL800、ASIAN KUNG-FU GENERATIONとのコラボシングルをリリースした。2015年3月にはベストアルバム「The Last」の発表と東京・日本武道館公演を実施。7月にクリープハイプの尾崎世界観(Vo, G)との共作シングル「爆音ラヴソング / めくったオレンジ」をリリースした。
クリープハイプ
尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)からなる4人組バンド。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を開始する。2012年4月に1stアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」を、2013年7月に2ndアルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」をリリース。2014年12月には「寝癖」「エロ / 二十九、三十」「百八円の恋」といったシングル曲などを収めた3rdアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」を発表した。2015年は5月に映画「脳内ポイズンベリー」主題歌の「愛の点滅」をリリースしたほか、4カ月間におよんだ全国ツアーの総集編となる単独公演を東京・日比谷野外大音楽堂で実施。9月には明星「一平ちゃん 夜店の焼そば」のCMソングを収録したニューシングル「リバーシブルー」をリリースする。